デュラム小麦産地化実現 農研機構日本製粉が日本向け開発 兵庫で100トン突破 

スーパーの店頭に並ぶ国産デュラム小麦で作った“スパゲッティ”(大阪府茨木市のイズミヤ新中条店で)

99%が輸入 国産パスタで差別化へ


 パスタに最適とされる「デュラム小麦」の産地化が兵庫県内で進んでいる。農水省によると、2019年産の国内生産量は全量が県産で、初めて100トンの大台を突破した。農研機構と大手製粉メーカーが開発した品種が栽培され、関西限定で製品のパスタも売り場に並ぶ。デュラム小麦は国内流通量の99%以上を輸入が占めるだけに、国産を売りにでき産地が増産に動いている。(北坂公紀)

 デュラム小麦はタンパク質「グルテン」を豊富に含み、加工品に硬さや弾力が出るのが特徴で、主にパスタの原料に使われる。だが湿気に弱く、収穫期が梅雨と重なる日本では、生産が難しいとされてきた。

 農研機構は16年、大手製粉メーカーの日本製粉と共同で、日本初のデュラム小麦「セトデュール」を開発した。同品種は一般的なデュラム小麦の品種に比べ成熟が早く、温暖な瀬戸内海沿岸地域だと梅雨前に収穫ができる。

 兵庫県内では同品種をいち早く導入し、産地化を目指した。産地化の中核を担っているのが、同県加古川市の農事組合法人、八幡営農組合だ。

 水稲や麦など110ヘクタールを手掛ける同法人は17年産から本格栽培を開始。19年産の作付面積は前年産比2割増の27ヘクタールに上り「セトデュール」の国内生産量の7割を占める。同法人は「国内生産がほとんどなく需要は旺盛。販売単価も高水準で増産を進めたい」と話す。

 同法人が生産する「セトデュール」は全量、日本製粉に販売される。同社は県産の同品種を100%使った「オーマイ瀬戸内生まれのスパゲッティ」(300グラム入り)を18年2月に発売。現在、関西地区の5社のスーパーで販売する。

 同社は「国産原料の安全・安心を消費者に訴求できる。日本人好みのもっちりとした食感が人気だ」と話す。原料小麦の増産に合わせ、今後も販売を拡大する方針だ。

 県内では「セトデュール」以外にも、デュラム小麦の生産が広がる。生パスタの製造・販売を手掛ける淡路麺業(淡路市)は14年産から、地元・淡路島の生産者に依頼してデュラム小麦を栽培。同社がイタリアから取り寄せた種子を使い、生産量は年間で最大5トン程度に上る。

 同社は、デュラム小麦を生パスタに加工し、主に業務向けに販売している。「輸入麦のパスタより価格は高いが、他店との差別化につながると一定の需要がある」と手応えを感じている。
 

需要応じた生産今こそ


 農水省によると、19年産のデュラム小麦の国内生産量は117トンで、前年産から倍増。統計上、全量を兵庫県産「セトデュール」が占める。

 一方、デュラム小麦の輸入量は、データがある直近の17年度で20万1000トン。単純計算すると、国内流通量の99%以上が輸入品となる。他にも年間14万トン程度のパスタを輸入している。

 同省は「小麦全体で見ても、自給率は1割にとどまる。食料自給率の向上には、需要に応じた生産拡大が鍵を握る」(穀物課)と話す。
 

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