災害ボランティア 生協学び戦略的支援を

 災害ボランティアが被災地の復旧に欠かせないものになっている。JAグループもこの機能を強め、農業復旧はもとより、被災住民の生活再建にマンパワーを発揮したい。

 多発する風水害の復旧には、土砂、がれきなど災害ごみの撤去が障害になる。家の中に入り込んだ土砂、泥、破損した家財道具などを運び出さないことには何も始まらない。ごみ出しや浸水した家屋の清掃、カビ発生を防ぐ消毒や畳の外干しなどは人力に頼る以外ない。冬を間近にして被災地では朝晩めっきり冷え込む日々が続く。東北・北関東でボランティア活動に当たる支援団体は、今回の被災地支援の課題を「時間と寒さとの闘いだ」と指摘する。

 ボランティアの不足も浮き彫りになっている。台風19号の被災地域は関東、長野、東北をはじめ極めて広範囲に及ぶ。このため、ボランティアの全体的な人数不足と地域偏在という問題が生じている。関係者によると、ボランティアの行き先はテレビ報道や交通アクセスに左右される面が大きいという。

 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)は、支援の「もれ、むら」をなくして効果的なサポートを目指す全国団体だ。今回のような大規模災害での支援状況の情報共有や、県、市区町村段階での自治体・社会福祉協議会(社協)・ボランティア団体の「三者連携」を促進する取り組みをしている。被災地に設置されるボランティアセンターは、社協を中軸にこの三者が運営に当たる。日頃からの横のつながりと意思疎通がなければ、いざという時に有効に機能しない。

 日本生活協同組合連合会(日生協)は、JVOADに協同組合セクターから唯一加盟する。生協は、創設者の賀川豊彦が関東大震災時に神戸から大規模な救援活動に入ったように、災害支援に積極的に取り組んできた。日本での「ボランティア元年」とされる1995年の阪神・淡路大震災でも、地元の生協が活発に支援活動を展開した。

 JAグループも、被災地に支援隊を派遣し、農地や農業用ハウスでの泥出し、ごみの撤去、JA施設の復旧などに取り組んでいる。被災農家の評価は高いが、大規模災害が地方、中山間地域で頻発する今日、調整役としての役割発揮も考えるべき時に来ているのではないか。協同組合の仲間である生協は、プレーヤーとしての支援活動に加え、ボランティアセンターの運営にも参画する。

 災害支援への国民の関心は高く、その重要性は今後ますます高まるだろう。JAグループも自己改革の地域貢献の中に支援活動を戦略的に位置付けるべきだ。産直先の支援活動に助成するボランティア基金の造成、学習会による災害支援経験・ノウハウの蓄積など、生協の事例は参考になる。災害助け合いの強化で「地域になくてはならないJA」の存在感を高めたい。
 

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