JA、社協、NPO…農業ボランティア結成 園地復旧 救いの手 泥撤去に400人 長野市
2019年11月15日

リンゴの木の周りに堆積した泥をかき出すボランティア(14日、長野市で)

農地に散乱した資材やごみを回収するボランティア(同)
台風19号で甚大な被害を受けた長野市で14日、ボランティアによる農地の復旧支援が始まった。JAながのや長野県NPOセンターなどが、全国的にも珍しい「信州農業再生復興ボランティアプロジェクト実行委員会」を組織。同市穂保・津野の両地区で、約400人がリンゴなど果樹の周りに堆積した泥の搬出や、農地に流れ着いた資材・ごみの撤去などを行った。(藤川千尋)
実行委員会は、被災から1カ月がたち農家などから農地復旧への要望が高まっていることを受けて発足。社会福祉協議会や生協、労働組合など幅広い組織が参加し復旧作業を本格化させる。14日は、各団体の呼び掛けやSNS(インターネット交流サイト)などの情報を見て集まった人が参加した。
これまで長野市でボランティアは、住居に流入した泥や汚れた家具の搬出などに協力してきた。農業の専門的なノウハウがなかったため、農地復旧の支援活動は十分行われていなかった。
同日は農業知識があるJA職員や県の技術員らが農地を巡回。ボランティアに「土砂と、畑にもともとあった土の境界線を見極めて、堆積した土砂を搬出してほしい」「ごみを回収する時に樹木を傷付けないように気を付けて」などと呼び掛けた。
地域の農家も、ボランティアを農地まで誘導するなど活動に参加。NPOや社協のメンバーらは、災害ボランティア活動の経験を生かし、作業手順の伝達や動線の確保などを担当した。
ボランティアはごみの撤去と、木の周りの泥のかき出しの班に分かれて作業。泥の撤去作業はリンゴの木の半径2メートルの範囲で行った。木の根が酸欠状態となり枯れてしまうのを防ぐためだ。
新潟県上越市から参加した池田正彦さん(63)は「木の枝が低い場所では、体が触れて枝を折らないように中腰の姿勢になり、重い泥をかき出さないといけないから大変だ」と汗を流した。
JA営農部の小林芳則次長は「台風被害から1カ月が経過したが農地の復旧は遅れていた。多くのボランティアが参加してくれてありがたい」と感謝する。
今後は、14日の活動で見えた課題を踏まえ、作業規模や泥の置き場所、片付けの手順などの改善点を整理し、継続的な活動につなげる方針だ。
長野県NPOセンターの山室秀俊事務局長は「次回以降の活動の時期や規模は未定だが、地域の農家や住民の期待もあり、息の長い取り組みにしていきたい。(農業ボランティアの)先行事例になるはずだ」と強調する。
長野県では、千曲川の氾濫で県北部6市町の903ヘクタールの果樹園に土砂が堆積している。このうち長野市は520ヘクタールを占め、泥のかき出しなどに掛かる人手の確保が大きな課題となっている。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=U292wi1F8HQ
「息長い取り組みに」
実行委員会は、被災から1カ月がたち農家などから農地復旧への要望が高まっていることを受けて発足。社会福祉協議会や生協、労働組合など幅広い組織が参加し復旧作業を本格化させる。14日は、各団体の呼び掛けやSNS(インターネット交流サイト)などの情報を見て集まった人が参加した。
専門知識で助言
これまで長野市でボランティアは、住居に流入した泥や汚れた家具の搬出などに協力してきた。農業の専門的なノウハウがなかったため、農地復旧の支援活動は十分行われていなかった。
同日は農業知識があるJA職員や県の技術員らが農地を巡回。ボランティアに「土砂と、畑にもともとあった土の境界線を見極めて、堆積した土砂を搬出してほしい」「ごみを回収する時に樹木を傷付けないように気を付けて」などと呼び掛けた。
地域の農家も、ボランティアを農地まで誘導するなど活動に参加。NPOや社協のメンバーらは、災害ボランティア活動の経験を生かし、作業手順の伝達や動線の確保などを担当した。
ボランティアはごみの撤去と、木の周りの泥のかき出しの班に分かれて作業。泥の撤去作業はリンゴの木の半径2メートルの範囲で行った。木の根が酸欠状態となり枯れてしまうのを防ぐためだ。
新潟県上越市から参加した池田正彦さん(63)は「木の枝が低い場所では、体が触れて枝を折らないように中腰の姿勢になり、重い泥をかき出さないといけないから大変だ」と汗を流した。
JA営農部の小林芳則次長は「台風被害から1カ月が経過したが農地の復旧は遅れていた。多くのボランティアが参加してくれてありがたい」と感謝する。
全国の先行例に
今後は、14日の活動で見えた課題を踏まえ、作業規模や泥の置き場所、片付けの手順などの改善点を整理し、継続的な活動につなげる方針だ。
長野県NPOセンターの山室秀俊事務局長は「次回以降の活動の時期や規模は未定だが、地域の農家や住民の期待もあり、息の長い取り組みにしていきたい。(農業ボランティアの)先行事例になるはずだ」と強調する。
長野県では、千曲川の氾濫で県北部6市町の903ヘクタールの果樹園に土砂が堆積している。このうち長野市は520ヘクタールを占め、泥のかき出しなどに掛かる人手の確保が大きな課題となっている。
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メガFTAと食肉 影響見据え対策加速を
大型自由貿易協定(メガFTA)の影響が心配される食肉の動向から目が離せない。輸入の増加は依然として続き、国産の相場は弱含みで推移している。関税引き下げの影響が出るのはまだ先だとみられていたが、生産者・産地と政府、業界は警戒を強め、生産・販売対策を加速させる必要がある。
環太平洋連携協定(TPP)は昨年末に発効し、今年2月には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が発効した。牛肉、豚肉などの食肉は、関税引き下げによる国内への影響が最も心配された分野だ。深刻になるのは税率の下げ幅が大きくなる5年後、10年後との見方もあるが、そう悠長に構えてはいられない状況が出始めている。
最大の要因は食肉輸入の増加が止まらないことだ。豚肉は、2017年に93万トンと過去最高を記録し、昨年も横ばいの高い水準だったが、今年は10月までの累計で17年同期を既に4万トン上回った。過去最高を更新するのは確実な情勢だ。TPP、EPAともに2回の引き下げで従価税が1・9%へと2・4ポイント削減されたが、予想を超える輸入ラッシュとなった。
背景には、日本市場でのシェア争いが早くも始まっていることがあるとみられる。特に、この10年で対日輸出量を2倍に増やし、シェアを3割に高めたEUが今年の増加の一因だ。TPP、日欧EPA加盟国はいずれも、前年を上回っており、最大の輸出国の米国だけが前年を下回っている。
輸入が増えているのは豚肉だけではない。牛肉も、10月までの累計が、この20年間で最も多かった18年をわずかとはいえ上回っている。従来9割を占めてきたオーストラリアと米国の二大輸出国が前年を下回る中で、TPP加盟のカナダ、ニュージーランドなど新興国が追い上げている。鶏肉も10月累計で過去最高水準の輸入量となった。
食肉輸入の増加は、国産の枝肉相場に影響を及ぼし始めている。豚肉は1年ほど前から国産豚の生産回復に輸入の増加が追い打ちを掛け相場低迷となった。今年は回復の兆しが見え始めたが、夏場から輸入増で、再び弱含みの展開となっている。鶏肉相場、和牛相場も似たような構図だ。
これまで枝肉相場を大きく左右してきたのは国内の景気動向だ。この10年ほどでは、リーマン・ショック、東日本大震災が相場低迷の要因となった。この5年ほど大きな景気後退もなく、相場は安定するはずなのだが、輸入の増加で相場はますます不安定なものとなっている。
TPP、EPAに加え来年1月には日米貿易協定も発効の見通しだ。抑制効果を発揮してきた牛肉のセーフガード(緊急輸入制限措置)は、TPPからの米国離脱でほとんど期待できない。関税という防波堤が低くなる中、それを越えて食肉輸入が増えるのは先のことではない。始まっているとみるべきだ。
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2019年12月02日
どっちを向いているかを若者は敏感に感じ取る
どっちを向いているかを若者は敏感に感じ取る。政権を担うものは顔の向け方に気を付けなればならない▼観光都市香港で繰り広げられる反政府運動はどうなるのか気に掛かる。発端となった犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」は撤回されたが、学生や市民の怒りは収まらず、区議選では民主派が圧勝した。「一国二制度」が踏みにじられているのに“北京”の顔色をうかがう香港政府への不信は根深い▼半世紀ほど前の日本にも同じような光景があった。日米安保問題で米国の顔色をうかがう政府に若者が反発した。学生運動は燃え上がり、東京の新宿駅では騒乱罪が適用された。評価はいろいろだが、政治を正そうとするエネルギーはみなぎっていた▼その頃に人々の心を捉えたのが渥美清主演の『男はつらいよ』(山田洋次監督)である。第1作が出て今年でちょうど50年。50作目の『男はつらいよ お帰り 寅さん』が完成し、先日、試写会があった。寅さんのおいで作家となった満男を軸に、昭和と現代が交差する。はちゃめちゃな寅さんの小気味よい言いっぷりに、胸のつかえが吹っ飛ぶ。今月27日に全国で封切りされる▼そろそろ物言う若者が現れても良い頃だろう。政権が海の向こうに顔を向けっぱなしなのだから。
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2019年12月01日
20年度畜酪対策 中小支援で基盤維持を
2020年度畜産・酪農政策価格、関連対策で、政府・与党の本格論議が今週始まる。最大の焦点は生産基盤維持・強化だ。特に都府県の中小規模の家族経営を含め生産の底上げ策が問われる。今後10年間の展望を示す酪農肉用牛近代化方針(酪肉近)とも密接に絡むだけに、生産意欲を促す価格、政策決定が必要だ。
まず、論議すべきは、改正畜産経営安定法の下で酪農家の生乳出荷を巡り「いいとこ取り」が横行し、飲用向けが増え用途別需給取引に支障が出かねない現状の是正だ。法改正に伴い、指定生乳生産者団体の一元集荷体制が廃止された。結果的に酪農家全体の所得が減る事態になれば、「何のための法改正だったのか」との疑問がさらに大きくなる。農水省は、生産者の公平性確保を前提に適正な制度運用と指導を徹底すべきだ。
今回の最大の焦点は、生産基盤の弱体化を食い止め、どう経営を立て直すか。これには大規模経営ばかりでなく、家族農業が中心の都府県の中小経営への支援拡充も欠かせない。
問われるのは、従来にも増して将来の展望が持てる政策価格と関連対策だ。日米貿易協定承認案の国会審議も大詰めを迎える中で、相次ぐ大型自由貿易協定に生産者の将来の不安も募る。今回の畜酪政策価格、関連対策は、こうした自由化進展への対応や酪肉近論議の方向性を示す“発射台”の意味合いも持つ。
特に酪肉近では、国産乳製品の需要の強さを受け、現行約730万トンの1割増、最大800万トンを目指すべきだ、との具体的な提案も出ている。生産者団体と乳業メーカーなどで構成するJミルクの将来ビジョンでも、10年後の生乳生産を775万~800万トンとしている。大前提は、生乳全体の55%を占める北海道の増産傾向が続き、都府県の減産に歯止めがかかることだ。チーズ、液状乳製品の需要増を想定している。同時に酪農所得対策の議論も必要だ。
畜酪農家戸数の減少が続く中で、規模拡大などを支援する畜産クラスター事業では一層柔軟な対応が求められる。中小経営を念頭に具体的な条件緩和などが必要だ。高齢者から若手への円滑な経営継承も大切だ。放置すれば離農につながりかねない畜産環境対策や、ふん尿処理施設の更新支援も欠かせない。
政策価格では、加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金が大きな課題だ。配合飼料価格の値下がりなどから補給金単価算定では下げ要素も多いとされるが、生産意欲の観点から特段の配慮が必要だ。決定水準によっては20年度飲用乳価交渉への悪影響も懸念される。また、指定団体を対象とした集送乳調整金には物流コスト高を反映すべきだ。同調整金の引き上げは酪農家の結集を促し、用途別需給調整にも結び付く。
政府・与党の折衝は、農業団体の意向を十分踏まえ、酪肉近論議など今後の展望を開く決着にすべきだ。
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2019年12月03日

日米協定“拙速”承認 来年1月1日発効へ 参院
日米貿易協定は4日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、承認された。来年1月1日に発効する見通し。牛肉、豚肉などは環太平洋連携協定(TPP)と同様に関税を削減。生産額の減少は過去の大型協定に匹敵する。昨年末に発効したTPP、今年2月に発効した欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に続き大型協定の発効が迫り、日本農業はかつてない自由化に足を踏み入れる。
同協定を巡る交渉は4月に開始。9月に最終合意し、10月に署名した。合意内容の公表から協定の国会審議までは1カ月足らず。TPPなど過去の大型協定と比べても異例の短さで、情報開示や国民的な議論の不十分さが目立った。
同日の採決では、自民、公明両党と日本維新の会などが賛成。立憲民主党、国民民主党などの共同会派や共産党は反対した。
政府は今後、関連する政令改正などの国内手続きを終え、米国に通知する。米国側は国内法の特例に基づき議会審議を省く方針。両国の合意で発効日を決められ、米国の要望に応じて1月1日の発効となる見通しだ。
発効後、日米は追加交渉に向けた予備協議に入り、4カ月以内に交渉分野を決める。政府は関税交渉について「自動車・自動車部品を想定しており、農産品を含めてそれ以外は想定していない」(茂木敏充外相)としているが、具体的な交渉範囲は協議次第だ。
協定では、牛肉は関税率を最終的に9%まで削減する。セーフガード(緊急輸入制限措置=SG)を設定した一方、発動した場合、発動基準をさらに高くする協議に入る。TPPのSGと併存し、低関税で輸入できる量がTPPを超えるため、政府は加盟国との修正協議に乗り出す。
今後、追加交渉での農産品の扱いやSGの発動基準数量の引き上げの動向などが焦点になる。
日本の攻めの分野の自動車・同部品の関税撤廃は継続協議となった。
政府の影響試算では、農林水産物の生産額は、米国抜きのTPP11の影響も踏まえると最大2000億円減る。国会審議で野党は、日欧EPAなど発効済みの他の貿易協定も含めたより精緻な試算を求めたが、政府・与党は応じなかった。
政府・与党は現在、中長期的な農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の見直しの議論を進めている。一連の大型協定による農産品の自由化にどう対応するか具体策が問われている。
国内対策 農家規模問わず
政府は4日、日米貿易協定に伴い、国内対策の指針となる「TPP等関連政策大綱」改定案を自民、公明両党に示し、了承された。農業分野では、中山間地を含めた生産基盤強化の必要性を強調し、「規模の大小を問わず、意欲的な農林漁業者」を支援する方針を明記。新たに肉用牛や酪農の増頭・増産対策などを盛り込んだ。政府は5日に正式決定し、2019年度補正予算に農林水産業の対策費として3250億円程度を計上する。
改定案では、国内外の需要に応え、国内生産を拡充するため農林水産業の生産基盤を強化する必要性を指摘。畜産クラスター事業による中小・家族経営支援の拡充や、条件不利地域も含めたスマート農業の活用も盛り込んだ。規模要件の緩和や優先採択枠の設置で対応する。
自民党TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部(本部長=森山裕国対委員長)などの会合で、西村康稔経済再生担当相は「(農業の)国内生産を確実に拡大するため、中山間地域も含めた生産基盤を強化していく」と述べた。森山本部長は会合後、「(家族経営を)政策の横に置くのではなく、中心に据えてやっていくことが大事だ」と記者団に語った。
改定案には輸出向けの施設整備、堆肥活用による全国的な土づくりの展開、家畜排せつ物の処理円滑化対策、日本で開発した農産物の新品種や和牛遺伝資源の海外流出対策なども盛り込んだ。
農林水産分野の対策の財源について、既存の農林水産予算に支障のないよう「政府全体で責任を持って」確保する方針は改定案でも維持した。
TPPの牛肉SGの発動基準見直しを巡っては、「日米貿易協定の発効後の実際の輸入状況などを見極めつつ、適切なタイミングで関係国と相談を行っていく」との記述にとどめた。
日米協定国会承認 期限ありき審議不足 再協議規定 農業扱い不透明
日米貿易協定は、踏み込んだ議論には至らないまま、国会審議が終結した。来年1月1日発効を目指す政府・与党は、野党側の資料請求にも応じず、議論がかみ合わないまま審議が進展。野党も最終的には4日の参院本会議での採決に応じたため、農産品の再協議の可能性をはじめとした懸念を掘り下げることなく、協定は承認された。衆参両院の委員会審議は22時間余り。過去の経済連携協定を大きく下回る。
参院本会議では、これまでの委員会審議と同様に、農産品について、米国が「特恵的な待遇を追求する」と明記した再協議規定への懸念が続出。採決の最終盤となっても不明瞭な部分が残っている実態が改めて浮き彫りになった。
国民民主党の羽田雄一郎氏が再協議規定について「米国の強い意志を感じる」と指摘。大統領再選を目指すトランプ氏の強硬姿勢を警戒した。
協定に賛成した日本維新の会の浅田均氏も「米国がさらに強気の姿勢で交渉に臨んでくるのは不可避。積み残しになった自動車・同部品の関税撤廃の確定も含め、交渉は一筋縄ではいかない」と警鐘を鳴らした。
ただ、野党側は採決を容認。会議場内では「反対」などの声が出たが、賛否の投票作業は淡々と進んだ。
衆参両院を通じて、審議不足は否めない結果となった。衆院では、自動車の追加関税の回避の根拠となる議事録など示さない政府・与党に対し、主要野党が反発して退席。与党側が審議時間の消化を優先。質問者不在のまま割当時間を消化する「空回し」を含めても、審議時間は22時間余りにとどまる。
一方、環太平洋連携協定(TPP)は2016年、衆参両院に特別委員会を設けて計130時間以上審議。日米協定の審議時間は短さが際立つ。
さらに衆院では、協定の審議が「桜を見る会」の説明責任を巡る与野党の駆け引き材料になった部分も多い。野党内からも「政争の具にせず、審議の充実を追求していくべきだった」(幹部)と審議運営を批判する声が出ている。
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2019年12月05日

柿じまん 富山県朝日町、入善町
富山県朝日町と入善町の農家女性でつくるグループ「美の里じまん」が製造するドレッシングタイプの調味料。朝日町産の柿「刀根早生」を熟成させて造った柿酢にしょうゆをブレンドし、ユズ果汁などを加えた。おひたしや豆腐料理に掛けて食べるのがお勧め。
朝日町の南保柿出荷組合の女性らから、2013年に同グループが製造を引き継いだ。地元の宿泊施設や学校給食などにも使われている。
1瓶(180ミリリットル)411円。入善町にあるJAみな穂の農産物販売加工施設「みな穂あいさい広場」や両町のスーパーで販売している。甘さを抑えたタイプもある。
問い合わせはみな穂あいさい広場、(電)0765(72)1192。
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2019年12月04日
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[営農ひと工夫] 積み重ね最大50束 はさがけ台組み立て簡単 岐阜県富加町の吉田さん考案
岐阜県富加町の吉田正生さん(65)は、鉄製パイプを組み合わせ、短時間で作成できる「はさがけ台」を考案した。シンプルな構造だが、稲穂を最大50束掛けることができる。稲穂を掛ける土台を回転するように工夫し、日当たりを調節できるようにした。材料はホームセンターで購入でき、費用は3000円程度という。
材料は鉄製パイプと金具、鉄製のくいだけ。まずは、鉄製のくい1メートルを地面に約30センチ埋め込み、金具で2メートルの鉄製パイプとつなげる。つなげたパイプと垂直になるように、収穫した稲穂を掛ける台として80センチに切ったパイプを取り付ければ完成。吉田さんは「組み立ての作業時間は5分以内で終わるので楽。誰でもすぐに作ることができる」とアピールする。
稲穂は最初の1束だけパイプを挟むように二つに分けて掛ける。2段目以降は、下段の稲穂から90度回転して2束ずつ重ねる。高さは、縦に取り付ける鉄製パイプの長さで調節でき、最大2メートルで50束を掛けることができるという。
吉田さんがこのはさがけ台を考案したのは昨年。昨年は鉄製パイプ3本を正三角形に組み合わせて使っていたが、風通りが悪く、一部の稲穂にかびが生えたという。今年は鉄製パイプ1本ではさがけができるように改良。土台部分のパイプはねじを少し緩めれば回転でき、日光の当たり方を変えることが可能だ。今のところかびの発生はないという。晴天日が3日あれば1週間程度で、乾燥機にかけなくてもよい程度の乾燥度合いになる。穴を開けた防水シートを穴から鉄製パイプに通し、シートで稲穂を覆うことで雨風対策もできる。
吉田さんは「コシヒカリ」などを1ヘクタールで栽培する。そのうち20アールで栽培する水稲もち品種「モチミノリ」は、全て考案した方法で乾燥させる。
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https://www.youtube.com/watch?v=Fbj_omjeE9A
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2019年12月04日

種で作ろう花飾り Xマス、正月華やかに
身近にある野菜や花の種で、アクセサリーやインテリアの小物を作ってみませんか? 「たねアート」を提案するタキイ種苗(本社・京都市)の大嶋優子さん(43)に、クリスマスや正月の飾りに利用できる花飾りの作り方と楽しみ方を聞きました。
大嶋さんは、女性社員が中心となって立ち上げた「たねぢからプロジェクト」のメンバーです。大嶋さんらは、色や形、模様などが個性的でかわいらしい種の魅力に着目。「検査基準を満たさず廃棄される種を利用して、魅力を伝えたい」と、種を使った作品作りを始めました。
紹介する花飾りは円形の台紙の上に、花びらや花芯に見立てた種を貼って作ります。特別な道具は使わないので、誰もが手軽に楽しめるのが特徴です。
「台紙の裏にブローチピンを付けてアクセサリーにしたり、磁石を付けてメモを挟むマグネットにしたりと、いろいろな楽しみ方ができる」と大嶋さん。マニキュアのトップコートを塗るとつやや光沢が出て、耐久性も高まります。色を付けるときはアクリル絵の具を使いましょう。
野菜を食べた後に残った種を利用する場合は、水で洗い、しっかりと乾かしてから使います。10センチ角ほどの紙の上に台紙を置いて作ると、作りやすくて便利です。
花飾りの手作りキット「フラワーマグネット」は、同社のネット通販で販売しています。
「たねアート」の作り方
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https://www.youtube.com/watch?v=gM6T52tS_QE
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2019年11月29日

「市田柿」 こく、うまみを楽しもう 長野・JAみなみ信州
長野県南信州地域特産の干し柿「市田柿」は、あめ色の果肉と小ぶりな外観で、もっちりとした食感と上品な甘さが特徴です。JAみなみ信州管内では、11月下旬から出荷が始まります。高齢化が進む生産現場での品質と生産量の確保に向けた取り組みやこだわり、風味を引き出す食べ方を紹介します。
栽培500年 歴史伝える
「市田柿」は渋柿の品種名であり、それを干し柿にしたものも指します。現在の高森町市田地区で栽培されていたことが名前の由来で、500年以上といわれる栽培の歴史があります。干し柿としての「市田柿」は2016年に農水省の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
JAみなみ信州管内では、柿部会に所属する約1800戸が、約260ヘクタールで栽培しています。JAは19年度、取扱数量1200トン、販売額25億円を計画しています。
柿の品質が、加工後の出来を左右します。農家は、柿の状況を見ながら剪定(せんてい)や摘果、防除などを行い、10月下旬の収穫に向けて作業を進めます。
「今年は大きさも甘味も十分。ぽってりとしたおいしい市田柿ができると思う」と太鼓判を押すのは、JA柿部会上郷支部長の井坪功さん(74)です。井坪さんは、11月上旬に家族や親戚などで手分けをして柿の皮をむき、柿のれんを作ってつるす作業などに汗を流しました。
生産・加工を後押し
おいしい「市田柿」作りを後押しするのが、地域の気候です。東西を中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地で、その間に天竜川が流れています。晩秋から冬にかけて朝に発生する川霧が、鍵となります。柿が一気に乾かないようにする天然の加湿器の役割を果たし、独特のもっちり、ねっとりとした食感を生み出すといわれます。
JAは品質と生産量の確保に向けて13年、加工や包装、荷造りを担う施設「市田柿工房」を設立しました。高齢化などで加工まで手が回らない農家から、生柿での出荷希望が増えてきたことも背景にありました。19年9月には工房を拡張。生柿を受け入れる能力は、従来の2倍の年間600トンに強化。「市田柿」生産の拠点となっています。
栽培面では、JA出資法人「市田柿本舗ぷらう」が活躍します。同社は、高齢化などで維持・管理が難しくなった農家の8・5ヘクタールと、遊休農地を活用した13ヘクタールで柿を栽培しています。古木誠専務は「市田柿は3週間ほどの短い期間で一気に収穫しなければならず、労力が必要だ。今後も産地のブランド維持のために頑張りたい」と意欲的です。
<ショッピングメモ> JAみなみ信州の農産物直売所「りんごの里」など管内の農産物直売所の他、全国のスーパーや百貨店などで購入できます。
市田柿のブルスケッタ
「市田柿の魅力は、他のドライフルーツにはない圧倒的なこくとうま味が詰まっていること。長年、農家が作ってきた市田柿は地域の宝だ」と語るのは、長野県飯田市にあるシルクホテルのレストラン「カジュアルダイニングフルフル」で西洋料理の料理長、秦峰男さん(40)です。
今回紹介するのは「市田柿のブルスケッタ」。赤ワインと砂糖を煮詰めたシロップに「市田柿」を漬けて作ったコンポートにクリームチーズを混ぜたものや、生ハムなどを、薄切りにしたフランスパンの上に載せて楽しむものです。
「市田柿」の表面を覆う白い粉がこの料理のポイントとなります。秦さんは「白い粉は、柿を干した時に発生するブドウ糖だ。この粉が煮詰めたワインに溶けることでコンポートにこくが生まれる。濃厚なクリームチーズとの相性が抜群だ」と解説します。
コンポートはアイスクリームに添えたり、汁を煮詰めてソースにして肉に掛けたりします。食材の味が引き立ち、用途の広さも魅力だといいます。
<カジュアルダイニングフルフル> 地産地消を基本に料理を提供。ランチは午前11時半~午後2時。ディナーは午後5時半~午後9時。JR飯田駅から徒歩3分。長野県飯田市錦町1の10。(電)0265(23)8383。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=etP3zKSUc74
2019年11月23日

JA、社協、NPO…農業ボランティア結成 園地復旧 救いの手 泥撤去に400人 長野市
台風19号で甚大な被害を受けた長野市で14日、ボランティアによる農地の復旧支援が始まった。JAながのや長野県NPOセンターなどが、全国的にも珍しい「信州農業再生復興ボランティアプロジェクト実行委員会」を組織。同市穂保・津野の両地区で、約400人がリンゴなど果樹の周りに堆積した泥の搬出や、農地に流れ着いた資材・ごみの撤去などを行った。(藤川千尋)
「息長い取り組みに」
実行委員会は、被災から1カ月がたち農家などから農地復旧への要望が高まっていることを受けて発足。社会福祉協議会や生協、労働組合など幅広い組織が参加し復旧作業を本格化させる。14日は、各団体の呼び掛けやSNS(インターネット交流サイト)などの情報を見て集まった人が参加した。
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これまで長野市でボランティアは、住居に流入した泥や汚れた家具の搬出などに協力してきた。農業の専門的なノウハウがなかったため、農地復旧の支援活動は十分行われていなかった。
同日は農業知識があるJA職員や県の技術員らが農地を巡回。ボランティアに「土砂と、畑にもともとあった土の境界線を見極めて、堆積した土砂を搬出してほしい」「ごみを回収する時に樹木を傷付けないように気を付けて」などと呼び掛けた。
地域の農家も、ボランティアを農地まで誘導するなど活動に参加。NPOや社協のメンバーらは、災害ボランティア活動の経験を生かし、作業手順の伝達や動線の確保などを担当した。
ボランティアはごみの撤去と、木の周りの泥のかき出しの班に分かれて作業。泥の撤去作業はリンゴの木の半径2メートルの範囲で行った。木の根が酸欠状態となり枯れてしまうのを防ぐためだ。
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JA営農部の小林芳則次長は「台風被害から1カ月が経過したが農地の復旧は遅れていた。多くのボランティアが参加してくれてありがたい」と感謝する。
全国の先行例に
今後は、14日の活動で見えた課題を踏まえ、作業規模や泥の置き場所、片付けの手順などの改善点を整理し、継続的な活動につなげる方針だ。
長野県NPOセンターの山室秀俊事務局長は「次回以降の活動の時期や規模は未定だが、地域の農家や住民の期待もあり、息の長い取り組みにしていきたい。(農業ボランティアの)先行事例になるはずだ」と強調する。
長野県では、千曲川の氾濫で県北部6市町の903ヘクタールの果樹園に土砂が堆積している。このうち長野市は520ヘクタールを占め、泥のかき出しなどに掛かる人手の確保が大きな課題となっている。
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2019年11月15日

リフターでコンテナ移動軽々 洗浄で活躍 サツマイモ生産者が作業場に導入 徳島市
徳島市でサツマイモ「なると金時」を栽培する吉田敬さん(84)は、20キロを超すコンテナを軽々と持ち上げられるリフターを導入し、労力軽減につなげている。「なると金時」を出荷する際の家庭での洗浄作業に用い、水槽から持ち上げるなどの負担をなくした。岡山県赤磐市で機械設計業を手掛ける松本殷昌さん(81)が開発したもの。コンテナで出荷する品目全ての作業の負担が軽くできるとして、期待が高まっている。
リフターは、天井のレールに取り付けた滑車からつるす。吉田さんは、横3・3メートル、縦5・2メートルの範囲を移動できるようにした。洗い場からコンテナ置き場までがカバーできる範囲だ。高さは、コンテナ3段分に当たる90センチまで持ち上げられるようにした。高さは、取り付ける作業場に応じて調整が可能。水に漬かる部分の素材は、さびないようにステンレスを使っている。
「なると金時」が20~25キロ入ったコンテナは、洗浄で水を含むとさらに重くなる。吉田さんはこれまで、水槽に漬かったコンテナを手作業で持ち上げていた。8月~5月中旬まで作業が続き、最盛期には一日にコンテナ40個ほどを処理しなければならなかった。高齢の吉田さん夫妻には負担が大きい作業だった。
吉田さんは「洗浄作業は、収穫作業後の疲れた時間帯にするので、リフターは本当に助かる。作業時間の短縮にもつながる」と導入メリットを説明する。
松本さんは2016年、同じ仕組みで米袋を持ち運ぶリフター「お米はこぶ君」を開発した。「サツマイモ農家には高齢者が多いと聞いている。ミカンやリンゴなど他の作目にも応用可能なので、ぜひ活用してほしい」と強調する。
設置場所や範囲で価格は異なるが、30万~40万円で注文を受け付けている。
問い合わせは松本さん、(電)086(955)4819。
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2019年11月08日

ジャガイモ 線虫通行止め 北海道の建設会社車両洗浄装置開発 タイヤ高圧噴射で確実
北海道芽室町の建設会社、北土開発は、ジャガイモのシストセンチュウ対策で車両洗浄装置の開発を進めている。最新の画像処理技術を用いて、動いている車両のタイヤを自動検知するのが特徴だ。車両の速度に合わせて車両側面やタイヤに水を噴射。確実にタイヤを洗う。大型トラックのダブルタイヤの隙間も自動で高圧洗浄できる。現在、同社の敷地に試作装置を設置し、洗浄方法などを検討しているところだ。来春の発売を目指す。
開発中の装置は、低速の車両が走り抜ける際に、水を噴射してタイヤやタイヤ回りを洗う。装置への侵入口付近に取り付けたカメラでタイヤの形を捉え、車両の侵入を検知。大型車や中・小型車も判別する。
前洗浄では、循環水を床面に散水し、タイヤの走行面をぬらす。
前洗浄をした後は、精密洗浄エリアで高圧水を32個のノズルから噴射。
左右の両方向から噴射することで水圧を高め、タイヤ側面や走行面だけでなく、ダブルタイヤの隙間の高圧洗浄を可能とした。車両の下部やタイヤをめがけて噴霧するためフロントガラスや荷台の農産物に水がかかりにくく、汚れにくいのも特徴だ。
後洗浄エリアでは床面に消毒液などを散水し、走り抜けるタイヤの走行面を除菌する。車両が通過した後は、後洗浄エリアを水で洗い流す。洗った後の水は、泥の層で油分などを分離し、上澄みを前洗浄に再利用する。泥などは別に処理する。
現在は洗浄試験を重ね、効率的な洗浄方法や低コストな施工法などを検討している。近隣の畑作農家の意見も踏まえて開発を進める。2020年4月に発売する予定だ。
粒状ライムや石灰入り肥料を販売する同社は「シストセンチュウのまん延防止にも貢献したい」(事業本部技術部)と強調する。
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2019年11月06日

各県組織の支援拡大 復旧に向け職員派遣 台風19号
台風19号で被害に遭った地域では、JAグループによる支援の動きが広がっている。17日にはJA全中の中家徹会長がJA宮城中央会を訪れ、被害状況を聞き取った。JAグループ福島、JA長野県グループは被災地に中央会、連合会職員の派遣を開始。JA長野県女性協議会は、片付けに必要なタオルなどを寄贈した。
みやぎ仙南に職員10人派遣 宮城
台風19号の被災地を支援するため、JAグループ宮城の県連組織は17日、JAみやぎ仙南管内に職員10人を派遣し、復旧作業を支援した。18日も行う。
床上70センチまで浸水し、現金自動預払機(ATM)などが水没、営業できなくなっている丸森支店では、JA宮城中央会と農林中央金庫仙台支店の職員4人が、ぬれた書類などを近くにある旧店舗まで運び出した。
角田市の角田ライスセンターと北郷倉庫には、JA全農みやぎとJA共済連宮城の職員が3人ずつ駆け付け、米の移動作業に汗を流した。
角田地区の農業倉庫では、保管米約7万袋が浸水被害を受けている。
丸森支店で作業した宮城中央会の元木清貴さんは「現地に来て、改めて被害の大きさを痛感した。ちょっとでも手伝えたことはうれしい。復興に向けて、これからも力になりたい」と語った。
支援活動は取りあえず2日間実施し、今後も継続を検討していく。
なお、丸森支店が営業できないため、JAみやぎ仙南は15日から、丸森地区事業本部に臨時窓口を設けて営業している。
ボランティア職員20人参加 長野
JA長野県グループは17日、台風19号の影響で千曲川の堤防が決壊した長野市穂保地区の特別養護老人ホーム「りんごの郷」で、土砂やぬれた家具の搬出など、復興支援のボランティア活動を行った。JA長野中央会やJA全農長野などの職員20人が参加。18日も同規模の人数で行う予定だ。 施設は、社会福祉法人ジェイエー長野会が運営。堤防の決壊地点から300メートルほどの場所にあり、千曲川が越水し始めた13日午前1時ごろに、入所者87人と15人の職員が2階に避難。その後、堤防が決壊し、床上80センチほどまで浸水した。入所者と職員は、夕方までにヘリコプターやボートで救出され、全員無事だった。
施設は流れ込んだ水の影響で、1階部分の居室や浴室などは家具や介護機材が散乱し、泥に覆われた。参加した職員は、施設の隅々まで流れ込んだ、水気を含んだ重い泥をスコップですくい上げ、台車に置いた箱などに入れて搬出した。
作業に参加したJA長野厚生連の今井謙一郎さん(31)は「水気を含んで重くなった、ベッドやたんすなどの家具を移動させないと、泥を外に出すことができない。大変な作業だ」と汗を流した。
JAの支援活動を受けて、同施設の千野真施設長は、「これだけの災害で人手が足りない中で、JAグループが作業に協力してくれのは、本当にありがたい」と感謝する。
JA長野中央会総合企画室の新芝正秀室長は「協同組合に働く者として協同の力を発揮して復興を支援したい」と話す。
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2019年10月18日

稲わら細工で 米に親しみを
実りの秋。稲刈り後に、子どもと稲わら細工に挑戦しませんか。楽しみながら米を身近に感じ、食農教育に効果的です。慣れれば5~10分で、手軽に作れます。和歌山県田辺市で米や野菜を生産する河原明さん(44)に、犬の稲わら細工の作り方を教えてもらいました。
湿らせ、爪で折り目を
河原さんは「稲わら細工は折り紙のように、日常的に遊べるのが魅力だ」と話します。
稲わら細工を始めたのは3年前。以前からしめ縄を販売していましたが、水引の本で十二支の作り方を見付け、稲わら用に編み方を変えて、作品を作り始めました。
2年前から、熊野古道中辺路の土産店や和歌山市のカフェ、フリマアプリなどで販売を始めました。土産店では、世界遺産を訪れる外国人が購入していきます。
乾燥した稲わらは割れやすいので、霧吹きで水を掛けてから作ります。途中で稲わらが乾燥したら、霧吹きで水を掛けるのが、こつです。稲わらを折るときは爪で折り目を付け、編み込むときは隙間を作らないようにします。
河原さんは「子どもと食べものを作る農家の間には、距離があるようだ。稲穂の米を食べ、残った稲わらで遊ぶことで『この稲わらの先に米が付いていたんだ』と感じられる」と、食農教育の効果にも期待します。
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2019年10月11日

最新鋭その目で 「農業Week」千葉で開幕
日本最大の農業生産資材の展示商談会「農業Week(ウィーク)」が9日、千葉市の幕張メッセで始まった。初出展の170社を含む国内外680社が出展し、スマート農業など最新技術を活用した農機や生産資材、農薬などを農家らに売り込んだ。11日までの3日間で、同時開催のガーデニング展示会などと合わせて4万8000人の来場者を見込む。主催はイベント運営会社のリードエグジビションジャパン。
昨年まで「農業ワールド」と題して開いていたイベント。今回は「農業資材」「次世代農業」「6次産業化」「畜産資材」の四つの分野で、肥料や土壌改良材、被覆資材、鳥獣被害対策資材などの最新の商品を来場者に売り込んだ。畜産資材を総合的に集めたのは初めて。畜舎やふん尿処理施設、検査・測定器、飼料添加物など養鶏、養豚、肥育・酪農に関する資材を対象とした。
会場では注目度が高いドローン(小型無人飛行機)や施設環境制御装置の展示が目立った。多くの農家らがメーカーのブースを訪れ、担当者に性能や特徴を聞いていた。
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https://www.youtube.com/watch?v=Ugolq5Ky3YM
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2019年10月10日

[活写] ゆらり畑に秋風 きらりルビー色
長野県箕輪町の「赤そばの里」で、花が赤いソバの品種「高嶺ルビー2011」が見頃を迎え、約4・2ヘクタールの畑が一面に色づいた。
一時は遊休農地となったものの、中箕輪そば組合が1997年、信州大学などが開発した「高嶺ルビー」の栽培を開始。2006年からは地元農家らがつくる「古田の里 赤そばの会」が受け継ぎ、地域の観光資源として定着した。12年には、品種を花色がさらに鮮やかな「高嶺ルビー2011」に更新した。
開花期の幻想的な風景が人気で、昨年は約2万5000人が足を運んだ。米などを作る農家で同会会長の押野光さん(68)は「もっと畑がむらなく色づくように育てたい。南アルプスに囲まれた風景を楽しんで」と笑顔を見せる。
見頃は10月上旬まで。(釜江紗英)
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https://www.youtube.com/watch?v=sk3F2I8KNbc
2019年09月29日