新品種流出で刑事罰 通常国会で法改正へ 農水省検討会

 農水省の有識者検討会は15日、優良品種の海外流出防止に向けた対策をまとめた。育成者が利用地域を限定し、地域外への持ち出しを制限することや、農家に認められてきた自家増殖を許諾制にすることが柱。悪質な場合には10年以下の懲役または罰金1000万円(法人は3億円)以下の刑事罰を科す。

 検討会は3月から議論を重ねてきた。同省は今回の対策を踏まえ、種苗法の改正案をまとめ、年明けの通常国会に提出する方針だ。

 育成者権を持つ人や団体が登録品種の販売時に、国内や県内などと栽培地域を限定する条件をつけた場合、域外への持ち出しに育成者権を行使して、差し止めや持ち出し後の損害賠償を請求できるようにする。現行の種苗法では、種苗の販売後は育成者権を行使できず、植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)加盟国向けであれば種苗の持ち出しも自由だった。

 登録品種でも、次期作の種苗として自家増殖することが農家には認められてきた。検討会は、これを許諾制とし、育成者権を持つ人や団体が増殖状況を把握して海外流出を防げるようにすべきだとした。

 権利侵害の立証は、比較栽培が求められて技術的に困難になっているため、品種の特徴をまとめた特性表を使って手続きを容易にする。特許法など他の知的財産制度との整合も図る。種苗法は海外には適用できないため、海外での品種登録を進める一方で、海外登録品種の権利について一元的に対応する体制整備を求めた。委員からは、侵害事例を監視・摘発する実効性が今後の課題になるとの指摘が相次いだ。

 許諾制になれば、種苗利用のための自家増殖に新たな料金が発生する可能性があり、許諾契約の手間もかかる。委員は「知的財産の保護を追求するのではなく、地域の農業振興のために必要なレベルの制度にする。農家に負担がかからないよう留意が必要だ」と意見した。手続きの簡便化や許諾が必要な範囲の明示を求める声も出た。

 検討会は、在来種など登録品種以外の一般品種は、従来通り増殖や利用に制限がないことを強調。国内の種苗生産者の減少を踏まえ、種苗生産の存続や伝統野菜の種子の維持に対する支援も求めた。
 

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