日米協定 審議深まらず 閣僚辞任、「桜」に埋没 あす衆院本会議採決
2019年11月18日
日米貿易協定の承認案を賛成多数で可決した衆院外務委員会(15日、国会で)
日米貿易協定の国会審議が充実しないまま、19日に衆院本会議での採決を迎える。相次ぐ閣僚の辞任、要求資料の提出に応じない政府・与党に対する野党の反発などで攻防は激化したが、衆院外務委員会での採決は与野党全員の出席で静かに行われた。国会運営を巡る駆け引きの材料となったことも審議充実につながらなかった一因で、政局を重視した野党側にも課題を残す結果となった。
今国会は、閣僚辞任や英語民間試験を巡る混乱など、政権の不手際が相次いだ。野党側の国会対応を仕切る立憲民主党の安住淳国対委員長は、これらの問題を重く見て、安倍晋三首相出席の予算委員会開催を要求し、民間試験は延期に追い込んだ。日米協定の審議も、こうした与野党対立の中で2度延期。審議が正常化した後は、要求資料の提出を拒む政府・与党に反発し、野党側が相次ぎ退席するなど一時は激しい攻防が続いた。
ただ、野党側は13日、審議の終了に応じ、本会議採決までの日程も受け入れた。首相主催の「桜を見る会」の追及に手応えをつかんだことなどが背景にあるとみられる。
衆院外務委員会での審議時間は11時間にとどまった。環太平洋連携協定(TPP)で70時間以上、米国抜きのTPP11でも20時間以上だっただけに、少なさが際立つ。野党内には「協定を取引材料にするなら、協定の審議そのものを充実させるための駆け引きも重視すべきだった」(農林幹部)と、疑惑追及に終始した対応を疑問視する声もある。
「桜を見る会」などを巡り、野党は攻勢を強める構え。協定の審議を埋没させず、徹底論戦に持ち込めるかどうかが問われそうだ。
今国会は、閣僚辞任や英語民間試験を巡る混乱など、政権の不手際が相次いだ。野党側の国会対応を仕切る立憲民主党の安住淳国対委員長は、これらの問題を重く見て、安倍晋三首相出席の予算委員会開催を要求し、民間試験は延期に追い込んだ。日米協定の審議も、こうした与野党対立の中で2度延期。審議が正常化した後は、要求資料の提出を拒む政府・与党に反発し、野党側が相次ぎ退席するなど一時は激しい攻防が続いた。
ただ、野党側は13日、審議の終了に応じ、本会議採決までの日程も受け入れた。首相主催の「桜を見る会」の追及に手応えをつかんだことなどが背景にあるとみられる。
衆院外務委員会での審議時間は11時間にとどまった。環太平洋連携協定(TPP)で70時間以上、米国抜きのTPP11でも20時間以上だっただけに、少なさが際立つ。野党内には「協定を取引材料にするなら、協定の審議そのものを充実させるための駆け引きも重視すべきだった」(農林幹部)と、疑惑追及に終始した対応を疑問視する声もある。
「桜を見る会」などを巡り、野党は攻勢を強める構え。協定の審議を埋没させず、徹底論戦に持ち込めるかどうかが問われそうだ。
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食べるバラが好調 加工品売り上げ5倍に 愛知の法人
愛知県西尾市と碧南市のバラ農家9戸で組織する、農事組合法人レインボーが開発したバラのジャム「Vaguelette(ヴァグレット)」などの加工品が話題を呼んでいる。2015年に同名の食用バラ品種を使って開発し、加工は全て手作業で行う。ジャムの他、シロップやパウダー、花びらなども商品化した。ホテルや製菓店などからの引き合いが強く、口こみで評判が広がり、発売当初と比べて売り上げを5倍に伸ばした。
バラ「ヴァグレット」は国産のオリジナル品種で、花びらはしっとり柔らかく肉厚。通常、花弁は熱を加えただけで花の色や香りを失うが、「ヴァグレット」は鮮やかな色合いと芳香がとどまる。保存性や加工性にも優れ、低温保存すれば鮮度が損なわれにくい。ジャムやフリーズドライ製法のパウダーは1年間、花びらは鮮度保持袋に入れれば2週間の保存が利く。
切り花用のバラと栽培区域を分け、食品基準での農薬管理を徹底。酢やでんぷんなど自然由来の農薬を使い、減農薬栽培を心掛ける。朝摘み・即日出荷で歯応えのある食感の良い花びらを届ける。同法人は、観賞用バラの消費が減少傾向にあるため、14年に加工品開発に着手した。
バラは最近、食材としてケーキやチョコレート、飲料など幅広い用途で活用されている。発売当初は販売に苦戦した。食材の添え物として、さまざまな花弁が使われだしたことをきっかけに認識され、売り上げを伸ばして今では黒字になったという。
企画・開発に当たった若山アキ子さん(61)は「固定観念にとらわれず、バラの“花”としての力を多方面に広げていきたい」と話す。
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2020年03月19日
[未来人材] 30歳。夢は法人化と観光農園 消費者の笑顔励みに 山田永太郎さん 千葉県鋸南町
千葉県鋸南町の山田永太郎さん(30)は富山、群馬、鹿児島の3県で研修した後、2013年に同町で新規就農した。人口減少や高齢化が進む同町では数少ない専業農家だ。キャベツやサニーレタスなどの野菜、パッションフルーツなどの熱帯果樹を手掛ける他、17年から栽培面積40アールで始めた水稲は近所の農家から農地を借り受けて年々規模を広げ、今年は14ヘクタールになった。また県内外で町の魅力を発信するなど、若手のホープとして活躍している。
東京都新宿区で生まれた山田さんは小学生の頃に、雑誌の付録で付いていた植物の種を育てたことを契機に植物栽培に興味を持った。中学校では園芸部に所属し、都立園芸高校に進学。この頃から農業を仕事にしたいと考え、長野県の八ケ岳中央農業実践大学校に進んだ。その後富山や鹿児島で農業の研修を積んだ。
就農先は、一年に複数回農作物が作ることができ、直売所が多い場所を考え、南房総エリアを想定。好きな熱帯果樹を作れることにも引かれ、旅行で町の人と交流があったことなどから鋸南町に決めた。祭りや消防団活動に参加するなど、地域に溶け込むことで農地の借り受けもスムーズに進んだ。
経営のこだわりは「売り上げアップよりも、経費の節約」。農機は中古でそろえ、修理は自身で行う。小屋や栽培用ハウスの資材なども材木店や近所からもらい自身で組み立てる。昨秋の令和元年房総半島台風(台風15号)ではハウスが倒れたが、自力で再建した。
今、営農で最も力を入れるのが4年目を迎える水稲栽培だ。収量が多く、強風でも倒伏しにくい早生品種「ふさおとめ」を主に栽培するが、栽培面積の拡大に伴い、昨年から多収性品種「大粒ダイヤ」にも挑んでおり、今年は県開発の「粒すけ」も試す考えだ。「収量をどれだけ増やせるか考えて作りたい」と目を輝かせる。
「自分が育てた農作物を、客に喜んで食べてもらえるのが農業の魅力」と話す山田さん。将来の夢には、地元や農業をやりたい人を集めて農業を法人化することと、観光農園を手掛けることを挙げる。(中村元則)
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2020年03月15日
さぞ、悲しく悔しかったろう
さぞ、悲しく悔しかったろう。理不尽な事件に小さな命の大切さを思う▼相次ぐ児童虐待に、自身の子や孫を振り返り心を痛める方も多かろう。小学校4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10)の事件は、何度も〈SOS〉を発しながら命を救えなかった。遺体には全身に数十カ所のあざ。胸の骨が折れ、胃の中には食べ物がなかった▼〈未来のあなたを見たい。あきらめないで〉。亡くなる3カ月前、自分宛ての手紙を書いていた。祖母は、学校からこの手紙を受け取り読み、涙が止まらなかったという。勉強も頑張ると書き、虐待にも〈あきらめないで〉と自らに言い聞かせながら▼あす千葉地裁で、被告の父親に判決が言い渡される。検察は「壮絶、比類なき重い事案だ」と、異例の懲役18年を求刑している。被告は暴行に関連し「心愛がうそを書いた」と否定。検察は「今なお心愛ちゃんへの虐待は続いている」とも指摘した。うなずくしかない。〈木蓮(もくれん)の芽は毛に包まれてそのように大切に子をくるみいし日々〉前田康子。本紙1面「おはよう名歌と名句」の歌は、過ぎ去りし育児の日々を懐かしむ。親なら皆が感じる。万葉から詠まれた〈みどりご〉と読む緑児。子どもは、かけがえのない存在との意味もこもる▼今回の事件を〈なぜ〉と問い続けたい。
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2020年03月18日
猛威 アフリカ豚熱収まらず 相次ぐ肉持ち込み 探知犬足りぬ 10空港に53頭
アフリカ豚熱の侵入リスクとなる違法な豚肉製品の持ち込みに歯止めがかからない。アフリカ豚熱は62カ国で発生しているが、発生国からの渡航者全員に探知犬をあてがうことは難しいのが状況だ。日本への肉製品の違法持ち込みは年間11万件を超えており、一層の水際対策の強化が問われている。
2005年以降に報告があったアフリカ豚熱の発生国はアフリカ30カ国、アジア12カ国・地域、欧州20カ国の計62カ国・地域。うちチェコは清浄化した。アジアではベトナムの感染が深刻で、中国では全土で広がっている。一方で韓国は野生イノシシで発生しているものの、昨年10月以降は、養豚場では発生しておらず、封じ込めに一定の効果を見せている。
中国便も「抽出」
農水省によると、探知犬は成田や羽田、関西などの10空港で合計53頭。全ての便を見ることはできず、中国便であっても抽出して検査する。
同省によると、海外からの入国者による肉製品の違法な持ち込みは19年で11万58件、69トンに上る。違反品を確認した場合、警告書を出し、刑事告発をする場合もある。昨年4月から始め、3月上旬までの過去1年で警告書は1000件に上った。さらに、18年8月から今年2月までで、アフリカ豚熱ウイルスの遺伝子が検出されたのは88件で、うち2件は感染性があった。
農水省は「水際で止めることだけでなく、違法な肉製品を持って来させないよう情報発信を強化していく」と説明している。
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2020年03月17日
豚熱被害農家苦境に 手当金「足りない」 まだ支払い半数課税負担も増加
豚熱の被害に見舞われた養豚農家が、経営再建に向かう中で苦境に立たされている。殺処分に伴う手当金は課税対象となっている上に、その金額が農水省と折り合わないなどの課題がある。母豚を導入しても、分娩(ぶんべん)を経て収入が得られるまでは1年近くかかる。収入が途絶え、経営再開しても従業員への給与や衛生管理に伴う借金がのしかかる。経営安定までの支援を求める切実な声が上がる。
豚熱の発生は全国58。手当金は家畜伝染病予防法に基づいて支払われる。農水省によると、手当金が振り込まれたのはおよそ半分の農家にとどまる。手当金は殺処分した頭数に対し、飼育期間に応じて市場価格をベースに経費などを踏まえて算出する。経費は農場ごとに違い、手当金額は農家によって異なる。このため、発生順ではなく、書類を整え国と合意した農家から支払われる。
同省は手当金の算出に当たり、殺処分時点の豚の評価額について、ソーセージ加工など付加価値を高めた利益までは認めていない。さらに豚の日齢ごとに経費を算出するため、子豚ほど経費が少なくなり、手当金は減る。被害農家からはこうした算出方法に不満の声が相次ぐ。また、2010年に発生した宮崎県の口蹄(こうてい)疫で家畜を殺処分した農家の手当金は議員立法で免税になったにもかかわらず、豚熱は課税対象だ。養豚農家からは「深刻な負担だ」との声も上がる。
20農場で豚熱が発生した愛知県田原市は、多くの被害農家が増える支出に苦悩する。JA愛知みなみ養豚課の牧野健司課長は「手当金は豚を殺処分した農家の資産に対する補償にすぎない。経営再建は非常に厳しい道のりだ。経営が安定するまで、農家に寄り添う国の支援が必要だ」と訴える。
岐阜県山県市の養豚農家、武藤政臣さん(40)は昨年5月下旬に殺処分した2050頭の手当金が、ようやく2日に振り込まれた。算出方法に疑問は残るが、「経営資金が底を突くので、もうどうしようもなかった」と受け入れ、再開を模索する。母豚はまだ導入できず、シャワー施設など衛生管理に向けた工事を進める。「自己資金が減る一方で、再開に向けての支援が欲しい」と切望する。
同省は「農家の声は承知しているが家畜伝染病予防法の理念に基づき対応している」とする。
希望と2000万円差 三重県いなべ市加工手掛ける法人
三重県いなべ市の養豚場と、精肉や加工品の直売所を経営する松葉ピッグファーム。昨年7月末に4200頭を殺処分した。代表の松葉泰幸さん(39)は「苦しい日々だった。今もしんどい」と振り返る。
松葉さんは昨年11月に母豚82頭を導入し、経営を再開した。直売所の売り上げはあるが、来年9月の子豚出荷まで農場分は無収入。昨年11月から今年3月末まで従業員3人は基本給を保障し、他の畜産農家で働いてもらっている。
農水省からの手当金は昨年末に振り込まれた。発生から3カ月間、松葉さんはほぼかかりきりで過去の領収書、請求書など書類、データを洗い出す膨大な作業に明け暮れた。最終的に書類の山を積み上げると高さ1メートル近くになった。手当金の算出には、豚の3分の1を自社の直売所に出荷して高めた付加価値を反映させたかったが、農水省との交渉は不調。希望する金額と振り込まれた額には、2000万円もの差があった。だが、年内に現金が入らなければ会社資金が枯渇するため、受け入れざるを得なかった。現状は、4月に戻る従業員3人の給与をどう捻出するかという問題に直面する。
人生はいつも豚と共にあったという松葉さんに、離農は考えられない。「従業員、再開を応援してくれる地域や仲間の養豚農家、親身になってくれた県の担当者が心の支えで、ぎりぎりの状況を踏ん張ってきた。再開前の規模には戻したい」と語る。
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2020年03月14日
農政の新着記事
MMJ集乳一部停止 実態把握へ調査 農相 制度見直し示唆
江藤拓農相は19日の閣議後会見で、生乳の集荷・販売を手掛けるMMJ(群馬県伊勢崎市)が北海道の一部酪農家からの生乳集荷を停止していることを受け、実態把握に向けて調査する考えを示した。政府の生乳流通改革では、指定生乳生産者団体以外にも加工原料乳生産者補給金の交付対象を広げたが「いかなるものも不断に見直すことが大事」と述べた。
江藤農相は、集荷停止について「生産者の手取りに直結する。原因、理由を明らかにする必要がある」と強調。状況を把握した上で、流通が確保されるよう農水省として対応する考えを示した。
同省は同日、同社に事実関係を聞き取り調査。酪農家にも聞き取る方向で検討している。
MMJは、全国で指定団体を通さずに生乳を集荷し、飲用主体に中小乳業メーカーなどに販売。……
2020年03月20日
基本計画 コロナ対応追加 地域政策に「田園回帰」
農水省は19日、食料・農業・農村政策審議会企画部会で、新たな食料・農業・農村基本計画案を示した。新型コロナウイルス感染症への対応策などの記述を新たに追加。農林水産物の需要減や人手不足などの影響を踏まえ、国内外の需要喚起や労働力確保を重視する姿勢を打ち出した。地域政策では「田園回帰」の表記を加え、幅広い層による農村振興を後押しする考えを示した。
新型コロナを巡り、農林水産業・食品産業は「深刻な需要減少や人手不足などの課題に直面している」と指摘。その上で「状況を速やかに解消し、生産基盤・経営の安定を図ることが重要」とした。
対応方向として、消費拡大運動による内需喚起、輸出促進などを挙げた。外国人技能実習生の入国が困難になっている状況を受け「入国制限がかけられていない国も含めた労働力確保」にも言及した。JA全中の中家徹会長は、新型コロナへの対応の記述が追加されたことを評価し「農業・農村で幅広い影響が出て深刻な状況。海外に依存するリスクを改めて実感した」と述べた。「一日も早く(基本計画の)成果を上げることが逆境をはねのける力になる」と強調した。
地域政策では、都市農村交流や農村定住などの動きに対し「田園回帰による人の流れが全国的な広がりを持ちながら継続している」と記述。「半農半X」などを挙げ、関係人口を含め幅広い主体が参画する前提で施策を推進するとした。
法政大学の図司直也教授は「田園回帰」の表記を評価し、他省庁や自治体と連携を深める「地域政策の総合化」を掲げたことに着目。「事業が細切れになりがちなところを、どうカバーしていくかが肝だ」と見据えた。
計画の副題は「我が国の食と活力ある農業・農村を次の世代につなぐために」とした。
計画案は同日の同部会で了承された。今後は同審議会への報告、政府への答申後、月内の閣議決定を予定する。
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2020年03月20日
生産性高め数量拡大 基盤強化へ省力支援 果樹振興基本方針
農水省は18日、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会を開き、新たな果樹農業振興基本方針案を示した。販売農家が10年で2割減り、60歳以上が8割を占めるなど生産基盤が弱体化する中、省力樹形などの導入による労働生産性の抜本的な向上や経営継承の支援強化を掲示。2030年度の生産数量目標としてミカンは約78万トンと18年度実績比1%増、リンゴは約82万トンと同8%増、その他かんきつは約36万トンと同15%増など生産拡大の目標を掲げた。
生産基盤の強化に向けた対策としては①省力樹形導入による労働生産性の抜本的な向上②園地と樹体をセットにした経営継承③苗木・花粉など生産資材の安定供給──を軸に、供給力の回復を急ぐ方針を掲げた。
労働生産性の向上へ、管理や収穫作業を省力化できる樹形や機械化体系の導入を重視。ドローン(小型無人飛行機)による薬剤散布や自動収穫機の現場実装を急ぐ。新技術は主に平地や緩傾斜地を前提に基盤整備を並行して進める。
円滑な経営継承の先進例として、JAや行政が連携して農地集約、整備を担い、リースで担い手に受け渡す取り組みを記述。担い手の初期投資を軽減する試みとして、全国展開していくとした。
品目ごとの30年度の生産数量目標は、ミカンやリンゴといった品目は微増とした。一方、消費者ニーズの高いブドウ「シャインマスカット」など消費が伸びるブドウは約21万トンと18年度実績比20%増と一層の生産拡大を掲げた。
部会委員のJA愛媛中央会の西本満俊会長は「大宗を占める中小規模、家族経営も生産基盤を担う存在。下支えが重要」と中小規模などへの支援充実を求めた。
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2020年03月19日
MMJ 生乳集荷停止
生乳の集荷・販売を手掛けるMMJ(群馬県伊勢崎市)が、北海道内の一部の酪農家からの生乳の集荷を停止していることが18日、分かった。同日の自民党畜産酪農対策委員会で、農水省がこうした実態を認め、調査を進める方針を示した。
MMJは、全国で指定生乳生産者団体を通さずに生乳を集荷し、飲用主体に中小乳業メーカーなどに販売してきた。
政府の生乳流通改革では、規制改革推進会議の議論に同社の意向が色濃く反映され、指定団体の位置付けや加工原料乳生産者補給金制度が見直された。新たな制度で、補給金の対象事業者だ。
畜酪対策委では、当時の改革議論の経過を踏まえ「その時の考え方を総括しなければいけない」(山田俊男氏)と、制度の問題点を指摘する声が出た。
野村哲郎農林部会長は「被害を受けるのは農家。(需給調整や安定供給を目的にした)制度としておかしい」と指摘。今後、同省からの報告を踏まえて対応を協議する方針だ。
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2020年03月19日
アフリカ豚熱侵入の恐れ 豚肉持ち込み 年17万人 本紙、東大、宮崎大共同調査で推計
日本農業新聞は、東京大学大学院、宮崎大学と共同で、アフリカ豚熱の主要な侵入源となり得る豚肉製品の違法持ち込みについて、訪日中国人248人にアンケートをした。2・8%が250グラム~2キロの豚肉製品を持ち込んだと答え、推定で少なくとも年間17万人の訪日中国人が違法に肉製品を持ち込んでいる恐れがあることが分かった。調査した研究者らは水際対策や啓発の強化を呼び掛ける。
訪日中国人の2・8% 水際対策が急務
共同研究は、東京大学大学院農学生命科学研究科の杉浦勝明教授や宮崎大学農学部獣医学科の関口敏准教授ら研究者や本紙記者ら12人で行った。研究結果は英語の論文にし、海外の科学誌で16日までに公表された。
アフリカ豚熱がまん延する中国から日本への侵入が危ぶまれることから、豚肉製品の持ち込みの実態を把握するため、中国人旅行者にアンケートを実施。無記名、自記式で、大阪や東京の観光地で昨年8月に調査。精査し、同じ条件で回答した248人の結果を分析した。
その結果、2・8%が豚肉製品を持ち込んだことがあると答え、持ち込みは「簡単だ」「少し簡単だ」と考える人は12・9%に上った。「極めて難しい」は44%で、半数を下回った。
また、豚肉製品の持ち込みに対し「違法性を十分に認識している」と回答した人は44%と半数を下回った。一方、2・8%が違法であるという認識をしていなかった。
研究チームは、持ち込みに影響を与える要因を特定するため、回答者の属性や違法性の認識などを独自に分析。持ち込みが難しいと考える人ほど持ち込みを控え、違法性の認識の高い人ほど持ち込みが難しいと考えていることが分かった。
調査結果を法務省の出入国データを基にした年間訪日中国旅行者数(2018年、約600万人)に基づいて推定すると、推計で年間約17万人の中国人旅行者が肉製品を持ち込んでいることになる。空港の探知犬や税関職員による尋問で摘発された豚肉製品の違法持ち込み者数を大きく上回る結果だ。
調査は観光地で行っており、杉浦教授は「調査対象は観光客が多いが、日本に住む家族や親戚、知り合いがいる訪日中国人だけを対象とした調査にすれば割合は高まる」と指摘する。
杉浦教授は、一層の水際対策の徹底や食品残さ飼料(エコフィード)の安全性確保に加え、農家や地域の防疫対策(バイオセキュリティー)強化を呼び掛ける。既に国内にアフリカ豚熱のウイルスが持ち込まれていることを前提にした防疫対策の必要性を指摘する。
日本農業新聞は今回の共同調査に先立ち、本紙独自で昨年5月中旬~6月上旬にアフリカ豚熱発生国から来た訪日外国人202人に聞き取り調査をしている。本紙調査で肉製品の持ち込みは8%だったが、共同調査は2・8%。この差は、独自調査は肉製品全体の持ち込みを聞いたため牛肉や鶏肉を持ち込んでいる人がいたが、共同調査は豚肉製品に限ったことや、農水省や各国の啓発が奏功したことなどが考えられる。
調査結果や分析をまとめた論文は、獣医の疫学分野では最も権威のあるオランダの国際的な科学雑誌『Preventive Veterinary Medicine』の3月分に審査を経て、公表された。
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2020年03月17日
猛威 アフリカ豚熱収まらず 相次ぐ肉持ち込み 探知犬足りぬ 10空港に53頭
アフリカ豚熱の侵入リスクとなる違法な豚肉製品の持ち込みに歯止めがかからない。アフリカ豚熱は62カ国で発生しているが、発生国からの渡航者全員に探知犬をあてがうことは難しいのが状況だ。日本への肉製品の違法持ち込みは年間11万件を超えており、一層の水際対策の強化が問われている。
2005年以降に報告があったアフリカ豚熱の発生国はアフリカ30カ国、アジア12カ国・地域、欧州20カ国の計62カ国・地域。うちチェコは清浄化した。アジアではベトナムの感染が深刻で、中国では全土で広がっている。一方で韓国は野生イノシシで発生しているものの、昨年10月以降は、養豚場では発生しておらず、封じ込めに一定の効果を見せている。
中国便も「抽出」
農水省によると、探知犬は成田や羽田、関西などの10空港で合計53頭。全ての便を見ることはできず、中国便であっても抽出して検査する。
同省によると、海外からの入国者による肉製品の違法な持ち込みは19年で11万58件、69トンに上る。違反品を確認した場合、警告書を出し、刑事告発をする場合もある。昨年4月から始め、3月上旬までの過去1年で警告書は1000件に上った。さらに、18年8月から今年2月までで、アフリカ豚熱ウイルスの遺伝子が検出されたのは88件で、うち2件は感染性があった。
農水省は「水際で止めることだけでなく、違法な肉製品を持って来させないよう情報発信を強化していく」と説明している。
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2020年03月17日
品目別30年輸出目標 牛肉3600億、米261億円 生産基盤強化へ 支援拡充が必須
農林水産物・食品の輸出額を2030年に5兆円とする政府の新目標の内訳が14日、判明した。農畜産物の品目別で最も目標額が大きいのは牛肉で、30年に3600億円。19年実績の12倍に当たる。達成には生産基盤の強化や中国との検疫協議の進展が必要だが、実現性を問う声が出る可能性もある。
19年の牛肉の輸出量は4339トン、輸出額は297億円だった。……
2020年03月15日
自然体験した小・中学生 学力テスト好成績 教育政策研が全国調査
自然体験や自然観察の経験があるほど好成績──。国立教育政策研究所の調査で、そんな結果が出た。全国規模の学力テストを受けた小学6年生と中学3年生のうち、自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがあると回答した児童・生徒は、平均正答率が高かった。
2018年度の学力・学習状況調査で学力テストを受けた児童・生徒を対象に調査した。
国語も算数も
小学6年生は、知識を中心に問う「国語A」で、自然体験などの経験が「ある」と回答した児童の平均正答率は72・1%に達している。「ない」と回答した児童の平均正答率は63・6%にとどまった。思考力や表現力を見る国語B、計算やグラフの読み取りなどを見る算数A、文章題が中心の算数B、理科も同様に、自然体験などの経験がある児童の正答率は「ない」などと回答した児童よりも高かった。
中学3年生も同じ傾向。中でも知識を問う国語Aは、平均正答率が78・3%に上った。
調査結果を取りまとめた同研究所は「自然体験が学力向上にどれだけ貢献しているか明確には分からない」とするが、どの教科でも自然体験などの経験の有無で、テストの成績には開きが出ている。
児童・生徒の自然体験を推進するため、与野党5会派は昨年の通常国会に「子どもの農林漁業体験活動を推進する法案」を提出。義務教育の中で2~4泊以上、農山漁村で宿泊体験する「子ども農山漁村交流プロジェクト」の制度化が目的だが、法案は衆院文科委員会に付託されたままとなっている。
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2020年03月15日
牛 血統不一致を調査 全国の状況把握急ぐ 農水省
農水省は13日、取引時の血統と実際の血統が異なる和牛が流通していた問題を受け、再発防止の対応を強化することを明らかにした。同様の疑わしい事例がないかどうか調査に着手。日本家畜人工授精師協会には厳格な人工授精を指導した。今国会には、家畜人工授精所で扱う精液や受精卵の管理強化を盛り込んだ家畜改良増殖法改正案を提出しており、適正な流通に向けて環境整備を急ぐ考えだ。
江藤拓農相は同日の閣議後会見で、沖縄県久米島町で11頭の繁殖雌牛に血統矛盾が見つかったと報告。……
2020年03月14日
家伝法審議が本格化 衛生管理徹底へ 設備投資に助成も 衆院農水委
衆院農林水産委員会で11日、豚熱、アフリカ豚熱対策が柱の家畜伝染病予防法改正案の質疑が本格的に始まった。野党は政府に対し、養豚農家が飼養衛生管理基準を順守するため、どう支援していくかを追及。政府は、法改正を通じ、農家だけでなく国、自治体の責務を明確化することに加え、設備投資への財政支援などにも力を入れる考えを示した。
立憲民主党の佐々木隆博副代表は、飼養豚へのワクチン接種に伴い、国際獣疫事務局(OIE)の「清浄国」への復帰にどう取り組むかを課題に挙げ、「対策を取らなければいけない」と政府の方針をただした。……
2020年03月12日
