平安時代の教えにある。「山高きが故に貴からず、樹あるをもって貴しとなす」。子どもに人の道を説いた教訓書『実語教』の一節である

平安時代の教えにある。「山高きが故に貴からず、樹あるをもって貴しとなす」。子どもに人の道を説いた教訓書『実語教』の一節である▼これには次の続きがある。「人肥えたるが故に貴からず、智あるをもって貴しとなす」。山に樹木、人に知恵。どんなに見た目が立派でも中身が伴わなければ意味がない。外見より実質。子どもらよ、自分を磨き学問に励みなさい。普遍の真理だろう▼安倍首相の通算在任期間が19日、憲政史上最長に並んだ。この先は、戦前の桂太郎を抜き未踏の領域へ。歴史に名は残るが、人々の記憶に何が残るか。冒頭の教えを引き問うてみる。「政権長き故に貴からず、成果あるをもって貴しとなす」と▼「美しい国づくり」を掲げ、悲願の憲法改正で「戦後体制」を総決算する。そんな政治信条の下、数の力で改革を断行。農業・農協もその激流にのみ込まれた。潤う大企業の果実はついぞ庶民に下りてこず、格差社会は階級社会へ。長きが故、公と私のけじめもゆがむ。首相の敬愛する郷里の偉人で明治維新の立役者、吉田松陰は泉下で何を思う▼松陰は「二十一回猛士」を名乗り、国家のため21回の「猛(たけ)きこと」を自らに課した。首相は、新自由主義で振るう蛮勇を「猛きこと」とはき違えていないか。長きこと貴からず。

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは