「市田柿」 こく、うまみを楽しもう 長野・JAみなみ信州

柿を収穫する「市田柿本舗ぷらう」のスタッフ(長野県飯田市で)

 長野県南信州地域特産の干し柿「市田柿」は、あめ色の果肉と小ぶりな外観で、もっちりとした食感と上品な甘さが特徴です。JAみなみ信州管内では、11月下旬から出荷が始まります。高齢化が進む生産現場での品質と生産量の確保に向けた取り組みやこだわり、風味を引き出す食べ方を紹介します。
 

栽培500年 歴史伝える


 「市田柿」は渋柿の品種名であり、それを干し柿にしたものも指します。現在の高森町市田地区で栽培されていたことが名前の由来で、500年以上といわれる栽培の歴史があります。干し柿としての「市田柿」は2016年に農水省の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。

 JAみなみ信州管内では、柿部会に所属する約1800戸が、約260ヘクタールで栽培しています。JAは19年度、取扱数量1200トン、販売額25億円を計画しています。

 柿の品質が、加工後の出来を左右します。農家は、柿の状況を見ながら剪定(せんてい)や摘果、防除などを行い、10月下旬の収穫に向けて作業を進めます。

 「今年は大きさも甘味も十分。ぽってりとしたおいしい市田柿ができると思う」と太鼓判を押すのは、JA柿部会上郷支部長の井坪功さん(74)です。井坪さんは、11月上旬に家族や親戚などで手分けをして柿の皮をむき、柿のれんを作ってつるす作業などに汗を流しました。
 

生産・加工を後押し


 おいしい「市田柿」作りを後押しするのが、地域の気候です。東西を中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地で、その間に天竜川が流れています。晩秋から冬にかけて朝に発生する川霧が、鍵となります。柿が一気に乾かないようにする天然の加湿器の役割を果たし、独特のもっちり、ねっとりとした食感を生み出すといわれます。

 JAは品質と生産量の確保に向けて13年、加工や包装、荷造りを担う施設「市田柿工房」を設立しました。高齢化などで加工まで手が回らない農家から、生柿での出荷希望が増えてきたことも背景にありました。19年9月には工房を拡張。生柿を受け入れる能力は、従来の2倍の年間600トンに強化。「市田柿」生産の拠点となっています。

 栽培面では、JA出資法人「市田柿本舗ぷらう」が活躍します。同社は、高齢化などで維持・管理が難しくなった農家の8・5ヘクタールと、遊休農地を活用した13ヘクタールで柿を栽培しています。古木誠専務は「市田柿は3週間ほどの短い期間で一気に収穫しなければならず、労力が必要だ。今後も産地のブランド維持のために頑張りたい」と意欲的です。

<ショッピングメモ> JAみなみ信州の農産物直売所「りんごの里」など管内の農産物直売所の他、全国のスーパーや百貨店などで購入できます。
 

市田柿のブルスケッタ

 
 
 「市田柿の魅力は、他のドライフルーツにはない圧倒的なこくとうま味が詰まっていること。長年、農家が作ってきた市田柿は地域の宝だ」と語るのは、長野県飯田市にあるシルクホテルのレストラン「カジュアルダイニングフルフル」で西洋料理の料理長、秦峰男さん(40)です。

 今回紹介するのは「市田柿のブルスケッタ」。赤ワインと砂糖を煮詰めたシロップに「市田柿」を漬けて作ったコンポートにクリームチーズを混ぜたものや、生ハムなどを、薄切りにしたフランスパンの上に載せて楽しむものです。

 「市田柿」の表面を覆う白い粉がこの料理のポイントとなります。秦さんは「白い粉は、柿を干した時に発生するブドウ糖だ。この粉が煮詰めたワインに溶けることでコンポートにこくが生まれる。濃厚なクリームチーズとの相性が抜群だ」と解説します。

 コンポートはアイスクリームに添えたり、汁を煮詰めてソースにして肉に掛けたりします。食材の味が引き立ち、用途の広さも魅力だといいます。

<カジュアルダイニングフルフル> 地産地消を基本に料理を提供。ランチは午前11時半~午後2時。ディナーは午後5時半~午後9時。JR飯田駅から徒歩3分。長野県飯田市錦町1の10。(電)0265(23)8383。
 

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