都市農業サミット 世界的な発展に貢献を

 世界都市農業サミットが29日から12月1日までの3日間、東京都練馬区で開かれる。米国・ニューヨークや英国・ロンドンなど世界5都市の農業者、研究者、行政担当者らが会して意見交換し、都市農業の魅力や可能性を世界に発信する。各国の事例に学びながら交流を深め、都市農業の発展につなげたい。

 主催する練馬区は、2018年8月に開催計画を策定し、区内の農業者やJA、研究者、行政担当者らからなる実行委員会を組織した。サミット開催の背景には、世界の各都市で農業や農地の役割・魅力が見直され、農業への関心が高まっていることがあるという。

 ニューヨークはグリーンサムという事業で農園の設置を後押し。550カ所の農園が運営され、公営住宅の敷地内にある農園では若者の就労支援や新鮮な野菜の市民への供給を行う。ロンドンは、12年のオリンピックをきっかけに「コミュニティー農園」を2012カ所整備する目標を掲げ、現在は目標を超える2700カ所まで増えた。3分の1は学校内にあり、子どもたちも農作業に参加する。

 他の参加都市の動きも個性的だ。韓国・ソウルではレジャーや教育を目的に、市民農園や屋上・裏庭などで園芸作物の栽培が盛ん。カナダ・トロントは、市民の半数を占める移民が地域に溶け込めるよう利用者の祖国の作物を栽培するなどコミュニティーの強化に役立てる。インドネシア・ジャカルタは急速に都市化が進む中で「緑の路地」と名付けた緑化運動を進める。

 世界の都市農業関係者の会合は今回が初めて。景観維持、交流の創出、教育・食育、地産地消、環境保全、防災など都市農業には多面的な機能がある。サミットでは都市農業の意義と魅力を共有し、互いに学び、新たな展開を探り、発信することで世界の都市農業の発展に貢献してもらいたい。

 練馬区も東京23区内の農地面積の約4割を占め、市民が手軽に農作業を楽しめる「農業体験農園」も多いなど都市農業が盛んだ。区は農業者やJAなどと伝統野菜「練馬大根」の復活にも取り組んできた。

 29日は各国の参加者が練馬区の農業を視察する。30日は都市での農産物生産と販売などをテーマに分科会を開き、各都市が活動を報告し意見を交わす。1日のシンポジウムでは、都市農業の魅力や可能性、将来に向けた取り組みを「サミット宣言」としてまとめる予定だ。

 日本では15年に都市農業振興基本法が制定されて以降、都市農地は「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」に変わった。法制度や税制措置も整い、都市農地を守ることに追い風が吹く。この流れをさらに強めるためにサミットを生かしたい。農業者には、区民をはじめ国内の参加者や世界の人たちと都市農業の意義を共有し、都市で農業を営むことへの誇りや意欲をさらに高める機会にしてほしい。
 

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