農高初 花き国際認証取得へ 世界と未来視野 県立栃木農高

農場を審査する審査員と生徒(栃木県栃木市で)

模擬会社で経営を学ぶ 環境配慮した生産実践 


 県立栃木農業高校の模擬会社「フローラTOCHINOU」が、来年1月にも国内の農業高校として初めて、花き栽培の国際認証MPS―ABC(花き産業総合認証環境部門)を取得する見通しだ。既に仮認証を取得し、11月に行われた現地審査の結果を待つ。環境への配慮で、花きに国際的な付加価値をつけることで、将来的な海外輸出も視野に入れる。

 模擬会社は2016年に、草花の栽培や経営をより専門的・実践的に学ぶために設立した。農業科の生徒ら7人が参加し生産部、販売部、企画部、経理部、広報部の5部門からなる。シクラメンやサイネリアの鉢花を中心に8品目を栽培し、アジサイやトルコギキョウも生産する予定だ。

 生徒らは、15年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)について学ぶ中で、欧州の園芸技術や環境への意識の高さを痛感。オランダを発祥とし花き生産の環境負担を低減する国際認証である、MPS取得を目指すことにした。

 MPSは農薬や肥料、エネルギーをできるだけ削減し、環境と安全に配慮した花き栽培を行う。認証取得に向けては、同校の農場での栽培記録を審査機関に報告し、18年10月には国内の農業高校で初めて仮認証を受けた。

 さらに19年11月中旬には、審査員が学校を訪れ、農場を現地調査。農薬や肥料、エネルギー、水の使用状況や廃棄物の分別状況など五つの環境負担要素について審査した。今後、これまで約1年間の栽培記録と現地での審査を基にポイントを算出。来年1月に、ポイントに応じた認証を受ける予定だ。

 農業科3年生の佐々木一哉さん(17)は「花き栽培などの農業は、見た目の美しさだけでなく、常に循環型・持続可能であり、環境に配慮した産業でなければならないと学んだ。この取り組みを多くの消費者に発信していきたい」と話す。

 「MPS―ABC」は農業大学校が取得した例はあるが、高校では初となる。同校生徒の取り組みについて、本多淳一MPS審査員は「世界的潮流である環境負荷が少ない生産への意識を高める上で、認証の教育的な意義は大きい」と強調。「取得はゴールではなくスタート。蓄積した情報を基に、翌年以降のさらなる改善に挑戦してほしい」と期待する。

 同校は8月、ユネスコ憲章に示された理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校「ユネスコスクール」への加盟が決定。気候変動への対応や持続可能な生産と消費など、国際社会が達成を目指すSDGsの17の目標に積極的に取り組んでいる。


<メモ>


 MPS(花き産業総合認証)は、花き業界の世界標準的な認証制度。2018年現在、45カ国以上、約3200団体が認証を取得している。認証の対象は、花きの生産者、流通業者。日本では07年からMPSジャパンが認証の取り扱いを始め、現在78の個人・団体が参加している。
 

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