農山村と関係人口 「関わりしろ」広げ育もう

 住んでいなくても地域や住民といろいろな形で継続して関わる「関係人口」。三大都市圏では居住者の4分の1近くに上る。この流れを確かなものにするため、地域と関わる伸びしろ、「関わりしろ」を広げていこう。地域外の人との交流を育み、関係人口を農山村の担い手や応援団につなげたい。

 国土交通省は11月、首都圏、近畿圏、中京圏に住む2万9254人にインターネットで行った関係人口に関するアンケート結果を公表した。関係人口に当たる「日常生活圏や通勤圏以外に、定期的、継続的に関わりのある地域を訪れている」と答えた人は24%。「地縁、血縁先の訪問」10%、「盆や正月に帰省」3%だった。

 地域との関わり方は多様だ。調査結果から同省は、買い物や趣味を楽しむ「余暇型」、住民との交流や体験に参加する「参加交流型」、農林水産業への従事や副業など「就労型」、地域づくりへの参画など「直接寄与型」に分類。地域を訪れなくても、首都圏での販売促進を手伝うといった関わり方もある。

 農山村には、この流れをどう捉えるかが問われる。訪れる人が気軽に農家と話せる場をつくったり、祭りや運動会への参加を呼び掛けたりするなど、都市住民が地域を訪れ、住民と出会う機会を増やし、関心を寄せる層を広げる仕掛けが必要だ。

 離れた場所に住む人が草刈りや祭りを担うなど、地域に欠かせない存在になっている小規模集落もある。例えば、世界遺産で有名な石川県輪島市の「白米千枚田」。地元農家はわずか1戸で、周辺住民、行政やJA、大学生や都市住民らが協働で棚田を守り続けている。

 地域側が注意したい点は、関係人口は「人口」という言葉が付いているものの、人数を増やすことにとらわれると対策を間違えるということだ。住民がおもてなしをするだけで終われば、地域は疲弊してしまう。地域に共感し行動する人になってもらえるよう、一人一人との関わりを大切にしたい。

 一方で、農山村を訪れる都市住民も、棚田や里山などの感動する景色は、脈々と続く人々の日々の営みがあるからだということに思いをはせてほしい。地域住民と関係人口が理解し合うことが欠かせない。

 関係人口を育むことは地域農業やJAにとっても重要だ。就農を目指さなくても、農業に関心を持っている若者との接点づくりを始めよう。専業農家以外の若者と関わるJAには、気付きを得たり新たな発想や交流が生まれたりしている。

 国交省の調査では、特定の地域と関わりのない人のうち3割が、居住地以外の地域と何らかの形で関わりたいと希望していた。「関わりしろ」を求めていることがわかる。

 人手不足、担い手不足が農業・農村の課題だ。関係人口を育む、その視点が農山村再生の鍵になる。
 

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