[未来人材] 33歳。茶の店継承し生産も。闘茶会全国3位に 信用磨き若年層狙う 前野裕蔵さん 大津市

「量り売りは店の象徴。幅広い年代の人が訪れる店にしたい」と語る前野さん(大津市で)

 大津市で69年続く前野園茶舗を経営する前野裕蔵さん(33)は、「近江の茶を世間に広めたい」という思いを形にしようと、茶と向き合う。まず目指すのは、茶を鑑定でき信用される存在になること。甲賀市の農事組合法人スタッフとして働く生産者として、今年の茶審査技術大会(闘茶会)では全国3位に入った。一層の技術向上に意欲を燃やしている。

 祖父母が営んでいた店を継承したのは24歳。土木作業、工場勤務、専門学校を経て就職し、地元百貨店で服を売っていた。祖父が高齢になる中で、愛着ある店の存廃の話が転機だった。「やめておけ。茶は厳しい」と、父や親戚の茶農家は大反対だった。

 継いだ当初、茶業青年団に刺激を受けて、県外で近江の茶を扱う店へ飛び込みで営業した。「自分は後先考えないところがある。自分らしい営業ができればいい」。そう思い、その店で扱っていたものと同じ品を用意し、値を少し下げて納めた。

 取引は数回で打ち切られた。長年の取引先との関係もあっただろうが「技術(信用)がない。何も分かってないと思われた」と人づてに聞いた。茶を学び、再び取引をすることが目標になった。「(鑑定技術で)納得できる結果を残したら挑戦しよう」と誓った。

 「滋賀の茶はうまいよ。通好みの味だね」。茶を見て実際に飲み、品種を当てて点数を競う闘茶会で聞いた、静岡の人の言葉が印象的だった。長崎の生産者からも「問屋の見る目がないから茶業界が傾いている」と言われ、はっとした。

 2018年からは、生産から販売まで一貫して行う法人で働きながら、茶について学んでいる。店の経営と一人二役。「近江の茶を広めるには、自分がどれだけ動けるのだろうか」と考える。

 前野さんは若い頃、大阪や名古屋のクラブに遠征して遊んだ。「青春だった頃とは違うが、憧れは今もある」という。

 若者が集うクラブで試したいことがある。「茶を使って、健全に格好よく楽しめること。企画を店に持ち込み、あっと言わせたい」。茶と若者を近づける。具体策を明かすにはまだ早いが、構想は固まっている。(加藤峻司)
 

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