パラオ 食の自立 支援を期待 元農水政策統括官・柄澤大使に聞く

 農水省で政策統括官などを務めた柄澤彰・駐パラオ大使が本紙インタビューに応じ、パラオの農業振興には流通の整備などが鍵を握るとして、日本からの民間協力・支援を呼び掛けた。同国は食料を輸入に依存し、食料安全保障は現実の問題だと指摘。基幹産業の観光と連携させ、産業としての農業の力を強める道筋を示した。

 ──大使としての使命をどう感じているか。

 パラオは世界一といっていい親日国。実は日本とは200カイリ(水域)で接している。安全保障上も非常に重要な位置を占め、日本が安定を支えていかなければならない。私の最大のミッションだ。

 産業はあまり成熟しておらず、観光が支えだ。2020年は日本からの直行便が飛ぶようになると聞いており、日本への期待は大きい。

 ──パラオの農業の現状と課題は。

 島国なので魚は豊富だが、流通が未整備なので十分手に入らない。農業も同様。生産はタロイモやパパイヤ、バナナなど種類が限られ、スーパーに並ぶ野菜のほとんどは米国からの輸入だ。食べるものは、まず自分たちで作ってほしい。

 そのためには野菜の品種を増やし、地場流通させること。さらに加工して付加価値の高いものにして輸出することだ。美しい自然の中で取れた農産物はブランドになり得る。産業として自立できるようにしたい。

 レメンゲサウ大統領をはじめ、日本への期待は大きい。農水省には近く官民合同の派遣団を送ってもらい、現地を見てもらう。日本の企業・団体からパラオの水産・農業のために投資したいという人が出てくれば、両国の利益になる。

 ──食事情は。

 米を食べる人が多い。輸入米だ。肉もよく食べるが、それも輸入。日本からも豆腐や納豆などいろいろな商品が入ってくるが、台風で船便が止まったりすると、スーパーの棚が本当に空になる。日本以上に、パラオでは食料安全保障が実感として危ういと感じる。

 パラオの人口は1万8000人程度だが、観光客数は年間10万人以上いる。観光客を増やしマーケットを広げていけば、そこを狙って国内生産を増やそうという動きが進むと思う。

 観光面で自然を大切にしていることもあって、環境意識は非常に高い。日本の農業関係者にも、自然を楽しむというパラオの良いところをぜひ見てもらいたい。(聞き手・岡田健治)
 

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