[あんぐる] 天空の特等席 田んぼに泊まろう 棚田キャンプ(長野県上田市)

夜の「稲倉の棚田」でさまざまな色に光る「棚田キャンプ」参加者のテント。気温は氷点下になるが、市街の夜景を見下ろす絶景が楽しめる(長野県上田市で)

 農閑期の棚田を期日限定のキャンプ場とするユニークな取り組み「棚田キャンプ」が、長野県上田市の「稲倉の棚田」で開かれている。5回目となる11月9、10日の開催には約150人が集まり、秋の絶景を満喫した。

 この棚田は北アルプスを望む標高640~900メートルの急斜面にあり、約780枚、合わせて30ヘクタールほどの水田が連なる。

 「棚田キャンプ」は春と秋の稲作に影響しない時期に開かれる。今回は約20枚の棚田に設けた、一つ60平方メートルの区画それぞれに、アウトドア愛好家がテントを張った。

 ハイライトは夜だ。日が沈むと、明かりがついた約60張りのテントが暗い棚田に浮かび、遠くに市街の明かりが輝いた。

 参加は4度目で、自分で田植えや稲刈りをする「棚田米オーナー」でもある東京都荒川区の会社員、石井由紀さん(48)は「冷えて風も強いが景色がきれい。都内からのアクセスも良い」と魅力を話した。
 
参加者に配られた新米のコシヒカリ「稲倉の棚田米」。「おいしい」と評判だ

 江戸時代に開かれたと伝わる「稲倉の棚田」は大きな農機を使えず、一時は耕作放棄が目立った。だが1999年の「日本の棚田百選」入りを契機に、地元有志が荒れた水田の再生を始めた。

 2003年には、住民やJA信州うえだ、市などが棚田保全を目指した組織を発足。15年からは「稲倉の棚田保全委員会」の名称でオーナー制度などに取り組んでいる。

 「棚田キャンプ」は、各地の棚田保全を支援するNPO法人棚田ネットワークの玉崎修平さん(44)の案を、同委員会メンバーらの任意団体「棚田フューチャーズ」が形にした。18年春に始めるとアウトドア情報誌で紹介されるなど注目を集め、毎回満員になっている。参加後に棚田米オーナーになる人も多い。

 次回は来年春の予定。同委員会の事務局を務める石井史郎さん(57)は「これからも活用を含めた棚田の新しい在り方を探りたい」と話す。(釜江紗英)

「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます    

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