ヒット中の映画を見に行った

 ヒット中の映画を見に行った。ほぼ満席。期待にたがわず導入から息をのむ。圧倒的な映像世界に引き込まれる▼とその時、突然、画面が消え、場内が明るくなった。一瞬、往時の映写機を思い出した。デジタル全盛時代の珍事に客席がざわつく。おもむろに係員が現れ、説明し始めた。「先ほど販売したポップコーンに異物混入の疑いがあります。決して食べないでください、後ほど払い戻しに応じます」▼係員は不手際をわび、程なく映画は再開された。上映後は、観客全員に無料の映画券が配られ、スタッフ総出で頭を下げた。その機敏な対応と誠実な姿勢は、映画の余韻と相まってすがすがしかった。幸い体調不良の人もなく、クレームもなかった▼福沢諭吉が、「事小なるにもって決して小ならず」という言葉を残している。福沢家は、病院から牛乳を取り寄せていた。ある朝、牛乳瓶が汚れているのに気付き、病院に衛生管理を正す。たとえ小さな汚れであっても信頼を大きく損ねる。健康を預かる病院であってはならぬことだと叱る▼往々にして小さなミスが命取りになる。事実を説明し、迅速に対応すれば致命傷には至らない。こちら花見酒に酔って「小事」と高をくくっていたか。ほころびが広がり、最長政権の「大事」になりつつある。

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