五輪Vブーケ採用 国産花き回復に生かせ

 2020年東京五輪・パラリンピックでメダリストに贈呈する副賞に、国産花きを使用した花束「ビクトリーブーケ」の採用が正式に決まった。花きの消費量と国産のシェアを反転拡大させる契機にするべきだ。

 五輪と花の関係は深い。12年のロンドン大会では大会専用のバラが育種されるなど、その国や開催地の花き文化を象徴する花を扱ってきた。日本では1998年冬季の長野大会で県産アルストロメリアなど多様な花を使い、大きな話題となった。

 しかし16年のリオ大会以降、ブーケは姿を消している。同大会のテーマ「持続可能性」を受け、花きの日持ち性や検疫の面から国によっては選手が自国に持ち帰れないことが課題に挙がり除外された。18年冬季の平昌大会も同様の対応となった。

 日本の花き業界はブーケ復活へ結束した。17年に生産や流通、販売に携わる団体などが日本花き振興協議会を設立。自民党フラワー産業議員連盟を通じ、政府や大会関係者への申し入れなどを行った。産地側も早い段階から対応に動いた。大会期間が夏場のため、高温下でも耐えることのできる花の栽培実験を各地で重ねた。ビクトリーブーケは業界の悲願だった。

 花材は東日本大震災で被災した東北産を中心に使う。「復興五輪」を掲げた大会で、被災地復興の後押しに期待がかかる。ブーケのデザインはオリンピック用、パラリンピック用の2種類。福島産のトルコギキョウと岩手産のリンドウを共通の花材として採用する他、宮城産のヒマワリとバラを使い分け、計約5000束を用意する計画だ。

 大会組織委員会はプレスセンターや競技会場などの装飾で、被災地以外の花の活用も検討している。盛り上がりを全国の産地に広げる視点が欠かせない。

 国産切り花は高齢化など生産基盤に課題を抱える。18年の出荷量は35億3400万本と過去20年間で最低だった。一方、外国産は安さや安定供給で攻勢を強め、同年の輸入量は13億本強と、最多だった12年に次ぐ水準だ。国産のシェア低下が続く。

 五輪は国産花きの魅力をアピールする絶好の機会になる。日本は、花きの高い育種・栽培技術を持つ。今回ブーケに採用されたヒマワリやトルコギキョウには、花粉が落ちないよう改良された日本独自の品種を使う予定だ。生け花などで育んだ装飾技術も発揮される。日本花き振興協議会の磯村信夫会長は「世界に誇る高い品質の花きを届けたい」と強調する。

 夏場の花の品質維持は容易でない。産地から定温で輸送し、選手に渡すまで会場では保冷剤を添えて保管する。期間中の交通規制で物流の混乱も予想されるなど課題は多い。業界一丸で態勢を整えるべきだ。

 機運の高まりを一過性にとどめてはいけない。課題への対応で連携をより強固にし、大会後の花き振興につなげ、停滞する生産や消費を盛り上げたい。
 

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