WAGYU欧州で急増 日本産の遺伝資源 流通網の追跡を 畜産技術協会調べ

 和牛の遺伝子を持ち、海外で飼養された肉用牛「WAGYU」の生産が欧州で急速に増えていることが、畜産技術協会の調査で分かった。米国やオーストラリアから和牛受精卵や精液が欧州に導入され、欧州産まれの和牛の純粋種や交雑種(F1)が、国境を越えて欧州内や中東に輸出されている。輸出を狙う日本産和牛肉との競合が懸念される一方、世界的な視点で和牛遺伝資源の把握が重要と同協会はみる。

 和牛の遺伝資源が、国境を越えて頻繁に往来している実態が浮き彫りになった。1976年に米国へ流出したのを契機に、米国やオーストラリアを起点に各国で急速に生産が増えてきた。

 ドイツでは2014年に94頭だった繁殖雌牛が17年に282頭と3倍に拡大。英国、スペインでは、2000年代前半に米国やオーストラリアから遺伝資源が導入され、2000年代後半に動きが本格化した。オランダやニュージーランドからも精液や受精卵が輸入され、受精卵移植(ET)を利用し、急速に増えている。受精卵は1個6、7万円ほど。精液はストロー1本が1450~2900円という聞き取り調査の結果も報告する。

 購入した受精卵や精液を基に牛群を造り、14頭もの優良種雄牛をそろえた牧場もある。生産したフルブラッド(純粋種)の雄牛をアラブ首長国連邦(UAE)に売る予定があるという話や、ルーマニアやポルトガルに販売したとの聞き取り調査結果も紹介する。

 純粋種、F1の取り組みは多様。出荷月齢は、14カ月齢の子牛で出荷する経営体がある一方、2歳を過ぎてから1年間の肥育期間を設ける経営体もあった。

 英国の生産者は、系列レストランや直売所でWAGYU肉を販売し、香港への輸出経験もあった。ロンドン市内では、スペイン産や南米産のWAGYU肉が販売されている。和牛の遺伝資源も牛肉も国を越えて動いている。調査報告では生産・改良・流通を世界規模で「把握することが重要」としている。

 調査は「Wagyu肉生産・流通等実態調査事業」。日本中央競馬会の助成を受けて昨年から始まり、英国やスペイン、ドイツで現地調査した。
 

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