[ゆらぐ基 広がる危機](2) 増える加工・業務野菜 需要取りこぼす国産

スーパーのバックヤードなど向けにパッキングされる多様なカット野菜(写真の一部を加工しています)

 「厨房(ちゅうぼう)は常に人が足りない。働き方改革以降、その傾向がより強まった」。しゃぶしゃぶ店などをチェーン展開する東京都内の大手外食業者は、飲食業界の窮状をこう説明する。人手不足を受けシェアを高めているのが、用途別に1次加工されたカット野菜や具材と調味液がセットのミールキット。国産を活用する動きがあるものの、安さや供給の安定性を武器に輸入野菜が確実に入り込んでいる。
 

3割が輸入品 安定性で攻勢


 西日本のカット野菜メーカーは「スポット的ではなく、定時、定量で調達しやすい輸入物を通年で扱う動きが加速している」と明かす。輸入品の攻勢で、国産は需要を取りこぼしているのが現状だ。

 国産原料が不足している冷凍野菜では、その傾向が鮮明だ。財務省の貿易統計によると、2019年上半期(1~6月)の輸入量は52万6178トンで過去最多。農畜産業振興機構の調べでは12年以降、冷凍野菜の国内流通量は100万トンを上回る水準で、90万トン以上は輸入品が占める。

 共働き世帯の増加などで拡大が見込まれる加工・業務用市場だが、産地は生産基盤の課題を抱え、国産は供給量が伸び悩む。野菜の主要品目の国内仕向け量は、直近の農林水産政策研究所のデータで加工・業務用が57%(15年)と家計消費用を上回る。そのうち国産は7割で、3割を輸入に奪われている。
 

メガ団地育成 効率化で対抗


 この需要を確実に捉えようと動き出した産地がある。秋田県は米依存からの脱却を目指し、「園芸メガ団地」の育成に力を入れる。JA全農あきたは、ネギやキャベツを中心に加工・業務用対応を強化。人手不足や高齢化が産地拡大の足かせとなる中、コンテナ出荷による省力化などで生産を伸ばしている。「加工・業務向けの需要は年々高まっている」(園芸課)と実需者ニーズの高まりをチャンスと捉え、対応を強化する構えだ。

 秋田県男鹿市で加工・業務用ネギを生産する、おがフロンティアファームは、1ヘクタールで始めた栽培面積を現在は15ヘクタールに拡大。冬の積雪という課題解決に向け、今冬から埼玉県の農場での栽培も始め、リレー出荷できる体制を構築する計画だ。宮川正和代表は「人手不足は大きな課題だが、人材育成も進めながら生産を増やしたい」と話す。

 加工・業務用野菜の流通に詳しい石川県立大学の小林茂典教授は「国産を安定供給するには、加工施設の共同利用や共同物流などで、産地と中間業者が連携を強め、課題に対応する必要がある」と提起する。
 

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