改植で果実粒重アップ 高単価や作りやすさで増産も 昭和のスター 令和に脚光

島根県は優良系統「デラウェア」の苗木改植で生産拡大に取り組む。生産者の園山さん(左)は需要に応えようと意欲的だ(島根県出雲市で)

島根県の特産ブドウ「デラウェア」(JAしまね提供)

 令和になった2019年、昭和に活躍した果実が再び注目されている。ブドウ「デラウェア」や伊予カン、イチゴ「女峰」などを経営の主力品目と位置付け、増産に転じる産地も出てきた。粒重の大きい優良系統による高単価や作りやすさ、業務需要への対応などで、昭和、平成、令和と、三つの時代を生きる。(鈴木薫子)
 

デラウェア


 “昭和果実”の代表格が「デラウェア」。島根県のJAしまねでは、1983年をピークに減少傾向だった出荷量が、2020年産から増える見込みだ。粒重が大きい優良系統を選抜した苗木で改植を進めたり、JAのハウスリース事業を活用したりで、面積の減少に歯止めがかかった。成園化が進む20年は1000トン超の出荷を計画する。

 同県産は早期加温栽培で国産果実の出回りが少ない4月下旬~5月に出荷量の2割を出す。「国産の売り場確保に島根産デラウェアは欠かせない」と東海地方の青果卸は断言。固定ファンに加え「種なし人気でも引き合いが強い」と明かす。

 根強い人気に支えられ、19年産1キロ単価は1327円と過去最高を記録。高単価を受け県内では、全国で生産が伸びる「シャインマスカット」など大粒系から「デラウェア」へ転換の流れがある。50アールでブドウを生産する出雲市の園山榮さん(72)は「産地は今が一番活気づいている。需要に応えたい」と話す。半数が優良系統でさらに改植を進める考えだ。
 

伊予カン


 愛媛県は、複数品目を栽培するかんきつ経営で、作業分散や、ロット確保による有利販売を見据え、生産基盤の強化を目指す。JAえひめ中央は、生産量全国一の伊予カンの苗木の無料配布で改植を促し、園地若返りを進める。20年3月中旬までに2万本を配る計画だ。
 

 伊予カンは高級かんきつ「紅まどんな」などへの転換が進んだ。生産量は約2万トンとピーク時の10分の1まで減ったが、JAは「伊予カンは栽培技術が確立しており、高齢農家や新規就農者でも栽培しやすい」と話す。

 

イチゴ「女峰」


 品種戦争とまで言われるイチゴで、希少性を強みに高級路線で再び注目されるのが「女峰」だ。四国電力や高級果実店などが設立した香川県三木町の農業法人あぐりぼんは、今シーズンから生産に乗り出した。

 「女峰」は、85年に栃木県で品種登録され、東日本中心に栽培が広まった。西日本の「とよのか」と並びイチゴの代名詞だったが、平成に登場した「とちおとめ」などへ世代交代が進んだ。いまは香川県が主産地で、全国のイチゴ生産量の1%にも達しない。

 「甘味と酸味のバランスが良い。カット断面が赤くケーキなど加工用の需要がある」と同社。ハウス60アールで栽培し、19年11月~20年6月ごろまで出荷する。栽培1年目は主に市場出荷だが、出資会社の高級果実店・銀座千疋屋へも供給する。品質を高め専門店への販売を増やす方針。23年産で出荷量30トン、売上高6000万円を目指す。
 

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