沖縄で豚コレラ 8県目 感染経路特定急ぐ

 農水省は8日、沖縄県うるま市の養豚場2戸で豚コレラ(CSF)が発生したと発表した。2018年に国内で26年ぶりに発生して以来、52、53例目で、本州以外では初。県は関連農場を含めた3農場の約1800頭を殺処分する。同県内で野生イノシシの感染は確認されておらず、国は感染経路の特定を急ぐ。

 農場での豚コレラ発生は岐阜、愛知、三重、福井、埼玉、長野、山梨に続き8県目。52例目は農場から6日に沖縄県に通報があり、国の遺伝子検査で8日に感染を確認。53例目は隣接農場で、8日の精密検査で疑似患畜とした。殺処分対象には沖縄固有の希少種「沖縄アグー豚」を含むという。

 沖縄県には野生のリュウキュウイノシシなどが生息しているが、豚コレラ感染は確認されていない。他農場への感染は確認中で、同省は「イノシシへの経口ワクチンや豚へのワクチン利用は専門家と協議し慎重に判断する」としている。

 国の遺伝子検査でのウイルスの型は岐阜などで見つかったものと近かった。ただ解析は一部分で、侵入ルートは不明。詳しい分析は「約2週間後の全遺伝子解析を待つ必要がある」(同省)という。

 県によると、発生農場で死亡する豚が出始めたのが昨年12月20日。抗生物質や解熱剤を投与して様子を見ていたが、死亡するペースが加速し、農家は異常に気が付いたという。26日までに25頭を食肉市場に出荷していた。また、県は豚の飼料に使う食品残さを加熱するよう呼び掛けていたが、発生農場では非加熱で給餌していたという。

 同県畜産課は「残さに含まれた肉の加熱が不十分でウイルスが生きていた可能性もある」と指摘した。

 家畜疾病に詳しい宮崎大学農学部の末吉益雄教授は、早急な対応の必要性を指摘する。「隣県からの感染ではなく、海を隔てて沖縄に発生したことは、人や人が運んだ物が原因でほぼ間違いない。全国どこで発生してもおかしくない状況で安心な所はない。これまで以上に衛生対策の徹底が必要」と強調。「原因ウイルスが一連の発生と同様の症状が弱いタイプだとすれば、死亡豚が見つかった段階で感染から3週間~1カ月経過している可能性がある。その間に取引した農場や業者を十分に確認すべきだ」と注意を呼び掛ける。

 19年2月時点の沖縄県の豚飼養戸数は237で全国5位、頭数は21万頭で同13位。同県の豚コレラ発生は1986年以来、33年ぶり。
 

「経営再開へ支援」 農相


 沖縄県の豚コレラの発生確認を受けて江藤拓農相は8日、同県で玉城デニー知事と会談した。感染が広がっている中部・関東地方から遠く離れた同県での発生に、江藤農相は「深刻な事態だ」と危機感をあらわにした。発生農家への支援を求める玉城知事に、江藤農相は「経営再開に向けてしかるべき支援をしたい」と応えた。

 会談後、江藤農相は同県固有種の「沖縄アグー豚」の種豚と母豚が殺処分の対象に含まれていることに言及。種を守るためにどんな対策が必要か、農家と協議して対応を進める考えを示した。

 昨年10月に首里城の一部が消失して観光客が減っているのを踏まえ、「これ以上沖縄の産業に影響が出ないよう、スピード感を持って対応したい」と話した。

 豚コレラの侵入ルートは調査中だが、他地域のようなイノシシを介した感染は考えにくいため、県畜産課は「ウイルス汚染を受けた人や物による可能性が高い」とみている。

 中国などで感染が広がっているアフリカ豚コレラ(ASF)の侵入リスクも踏まえ、江藤農相は「すさまじい危機感を持っている」と強調。水際対策が重要だとして、那覇空港と那覇港の検疫体制を視察した。

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