韓国の農業政策 成長至上主義、貧富の差拡大… 「総幸福」へ大転換 多面的機能を重視 大統領諮問委 朴委員長に聞く

朴委員長

 韓国は、大統領諮問機関の農漁村・農漁業特別委員会(農特委)が指揮を執り、農業政策の大転換を進めている。朴珍道委員長に農政転換の目的や課題などを聞いた。
 

GDP下位社会で阻害


 農政転換で直面している最も重要な課題は、三農(農漁業・農漁村・農漁民)の位置付けだ。この三農問題は現在、まるで島国のように社会から疎外されている。大陸の人は島国でなにが起きているか知らない。関心もない。たまに遊びに行った時だけ話題にする。

 なぜこうなったのか。背景には、成長至上主義がある。経済成長を通じて社会問題を解決する論理で、国内総生産(GDP)が指標になる。農漁業はその割合が低く、三農の価値も小さく評価される。貿易自由化を進める時には「成長のために犠牲もやむを得ない」と言われてしまう。

 成長至上主義の下で、生産性を高めることで農業問題を解決しようとする生産主義の農政も影響している。1990年代以降は、単純に生産性を高めるだけではなく、国際競争力を高める必要性も主張され、国際競争力のない農業は必要ないような雰囲気が漂った。そして、規模拡大や競争力強化に集中する政策が展開された。

 農業支援策は、少数農家に集中し、規模拡大、施設化、近代化などに資金が投じられる。結果、農村にさまざまな問題が発生した。少数農家は恩恵を受けるが、大多数の農家は疎外され、貧富の格差が深刻になった。

 このような生産主義の農政では、三農問題は解決できない。農産物の増産ではなく、農業、農村が持つ経済的な機能、社会的機能、環境的な機能など多面的機能を発揮することに留意すべきだ。つまり、政府支援金による生産中心の農政から、農民の自律的な努力による多面的機能中心の農政に転換が必要だ。
 

国民の合意方向性示す


 農政転換の実現には、既存の政府機関や予算などに対する抜本的な改革が求められる。そのため、農特委が正しい方向を示し、農民と国民の共感や合意を形成する必要がある。

 農特委は、昨年10月から3カ月間、全国各地を巡回しながら各地域の農民団体、市民、専門家、公務員の4分野の人を集め、「農政の枠組みをどう転換するか」を議論した。農政転換の必要性には全員が賛成したが、実現可能性には疑問を持つ人が多かった。農民代表からは「農政転換は困難だ」との声があった。既得権者や政治家の強い抵抗が予想されるからだ。

 確かに農政転換の道のりは険しい。しかし、巡回を総括する12月の報告会では、文在寅大統領が「農政の枠組みを果敢に転換する」と強い意思を表明し、大きな力添えとなった。

 農特委は今後、「農漁民の幸せこそ、国民の幸せ」をスローガンに、農政が農民だけではなく、“国民総幸福”に寄与することを訴え続け、三農問題を国民全員の議題に引き上げ、確実な農政転換につなげたい。

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