[あんぐる] 厄にらみ めらめらめらめら 東光寺の鬼会(兵庫県加西市)

「東光寺の鬼会」で燃えるたいまつで本堂の柱をたたいて厄を払う赤鬼。激しく打ちつけると勢いよく火花が飛んだ(兵庫県加西市で)

 兵庫県加西市で毎年1月8日、地元農家らが正月行事「東光寺の鬼会(おにえ)」を開く。農作業の所作を演じたり、たいまつを持った鬼が火花を飛び散らして暴れ回ったりしながら、豊作や無病息災を祈願した。

 当日早朝、住民が上万願寺町の東光寺に集まり準備を進めた。本堂に直径約80センチの巨大な鏡餅を二つ供え、木の枝を花状に削った縁起物「鬼の花」を飾った。本番が始まる午後7時が近づくと見物客が詰め掛け、真冬の境内は熱気を帯びた。

 行事は、その年の豊作を祈る「田遊び」で幕を開けた。昔の農家「福太郎」「福次郎」に扮(ふん)した地元住民が、田起こしやもみまきを軽妙に演じて会場を沸かせた。

 7時半ごろになると、突然「鬼が来るぞー」の掛け声とともに2人の鬼が現れ、「鬼追い」が始まった。赤鬼は松の木で作ったたいまつ、青鬼は長さ約2メートルの矛を振り回しながら暴れ回り、悪霊や災難を払った。たいまつが柱に当たるたびに、火の粉と観客の悲鳴が上がった。

 行事が終わると集まった皆が本堂に飾られた「鬼の花」に殺到した。世話役で、野菜を栽培する大豊雅宏さん(60)は「これを田の水口に挿すと稲に虫が付かないといわれている」と話す。
 
寺の本堂に巨大な鏡餅を設置する住民。行事が終わると切り分けて配る

 この行事は2006年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。「鬼追い」は県内で広く行われている行事だが、豊作を願う「田遊び」と併せて催すものは珍しい。行事の起源は定かではないが、室町時代後期には既にあったと伝わる。「田遊び」に使う面の裏には、江戸時代の天保13(1842)年に作られたと記されている。

 「田遊び」の農家や鬼は地域に住む厄年の男性が務めた。上万願寺町区長で稲作農家の高井誠三さん(61)は「今年は風が強く、一段と火に勢いがあった。豊作で、大きな災害のない年にしたい」と笑顔を見せた。(富永健太郎)

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