「私、新聞に載るのよ」

 「私、新聞に載るのよ」「えーっ。新聞って悪いことせんでも載ることあるんやね」「ははは、そうね」▼放映中のNHK朝ドラマ「スカーレット」の母娘の会話から引いた。主人公が、女性初の絵付師として地元紙に紹介されることになったくだりである。「悪いことすると新聞に載るぞ」。昭和の時代は、そんな脅し文句もあった。今なら「ネットで拡散するぞ」か▼きょうは、横浜でわが国初の邦字日刊紙「横浜毎日新聞」が生まれた日。およそ150年前、文明開化の横浜で産声を上げた。貿易や両替相場、天気情報などを載せた。記念碑は「これが端緒となって、日本が大新聞国へと発展した」と晴れがましい▼その世界に冠たる「大新聞国」の衰退が著しい。新聞の総部数は10年で約1000万部超も減った。人ごとではない。ネットメディア隆盛のせいばかりではあるまい。もはや新聞は特別なメディアではない。悪事を働き新聞に載っても恬(てん)として恥じないやからが政財界を闊歩(かっぽ)する。新聞側も権力者の悪巧みを忖度(そんたく)している節がある。権力への監視機能を忘れ、政府広報に堕すなら没落は自明の理▼「政府を批判しない新聞は存在する意味がない」。ジャーナリズムの先駆、米ワシントンポストの元社長キャサリン・グラハムの言葉である。

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