日本農業賞大賞 喜びの声 感謝、栄誉 胸に前進

 第49回日本農業賞の受賞者が31日、決まった。先進的な経営や技術の改善に取り組み、担い手として地域農業の発展に貢献している農家や法人、生産部会と、食と農をつなぐ優れた個人・団体が選ばれた。大賞受賞者に喜びの声や今後の抱負を聞いた。
 

個別経営

 


観光農園大規模に

 

■小松沢レジャー農園代表・町田恒夫さん(69)=埼玉県横瀬町


 大きな賞を頂き光栄です。苦労を掛けた妻に伝えたら「良かったね」と喜んでくれた。家族や社員、指導機関の方々に感謝しています。農業や自然の魅力を少しでも伝えられるよう、お客さまに少しでも喜んでもらえるよう、受賞を励みに努力を続けていきます。

 ▼受賞理由=1971年にブドウ狩りや直売の観光農園を始めた。その後、イチゴやシイタケなども加え、年間来園者数が10万人、売上高が2億7000万円前後の大規模観光農園を築いた。「スタッフ全員の幸福を追求する」との経営理念を掲げ、中山間地域にありながら収益性の高い農業経営を実現した。
 


家族4人輸出開拓

 

■石川哲雄さん(72)、瑞枝さん(67)=愛知県豊田市


 受賞はとてもうれしい。家族経営でここまでやってこられた。これを機に、より一層精進したい。有機茶の輸出を拡大しつつ、仲間と協力して品評会などにも挑戦して、産地としてもアピールしていきたい。

 ▼受賞理由=2世代4人の家族経営。高級茶を仕上げる哲雄さん、労務管理を担う瑞枝さん、海外交渉や通訳をする息子夫婦と、明確に役割を分担している。有機栽培技術を確立し、1997年に国内初のてん茶の有機認証を取得した。商社に頼るだけでなく、自ら輸出先を開拓、家族経営で高収益を実現した。
 


離島でも高利益率

 

■松崎秀利さん(63)、弘子さん(58)=長崎県小値賀町


 JAながさき西海の職員からかかってきた電話で受賞を聞き、驚いた。51歳で就農した時、子牛の価格が底値だった。コストをかけずに経営しようと工夫してきたことが評価されてうれしい。共に働く妻は、子牛の体調を見る目は自分より確かだし、就農に賛成してこれまで支えてきてくれた。感謝したい。

 ▼受賞理由=条件不利な離島で利益率の高い経営をしている。スタンチョンを設置した放牧地を使い、牛舎の投資額を抑制。成牛の粗飼料も自給率100%を達成した。パソコンに蓄積した繁殖データを活用し、子牛の高値販売や母牛の分娩(ぶんべん)間隔を短縮するなど、IT技術も使いこなす。
 

集団組織

 


価格低迷V字回復

 

■下妻市果樹組合連合会会長・大塚武雄さん(69)=茨城県下妻市


 若手の下妻完熟梨プロジェクトから輸出の機運が芽生えた。熟練層も刺激を受けて輸出が大きく発展し、攻めの農業によって産地全体が活性化した。大賞受賞の刺激が後継者や新規就農者の確保につながる。これを契機に若い人には、世界を舞台に活躍してほしい。

 ▼受賞理由=完熟梨の開発、大苗の共同育苗、県オリジナル品種「恵水」の導入、海外輸出、加工品の開発・販売といった先進的な攻めの戦略を実施。バブル崩壊後の梨の価格低迷から、販売額をV字回復させたことが評価された。
 


就農研修細やかに

 

■岡山市農業協同組合一宮選果場果樹部会部会長・今井康隆さん(49)=岡山市


 部会員が高齢化する中で、新規就農者の確保、育成が評価された。2019年までの4年で県外から6戸(8人)が新規就農した。受賞は名誉なことで、気の引き締まる思いだ。産地の維持と発展に、取り組みを続けていく。

 ▼受賞理由=343人が主に95ヘクタールで桃を生産し、約400トンを出荷する。光センサー導入や栽培指針の共有で品質を高位で平準化し、1キロ当たり単価は県平均を大きく上回る。新規就農者育成に力を入れ、部会で造成した研修圃場(ほじょう)を使い、細やかな研修プログラムで習熟、定着を促し、今後10年で25人の新規就農者を育てる計画だ。
 


ほぼ全戸後継育つ

 

■JAえひめ中央釣島支部支部長・池本雄吉さん(50)=松山市


 歴代の支部長が熱望した受賞で、すごくありがたい。支部は後継者も多く、前向きな姿勢が評価されたと受け止める。小さな島で立地条件が悪いが、われわれ親の世代がハウスを建てて、次世代の受け入れ体制を整備している。これからも島の農業を盛り上げるため、この勢いで20、30代の若手と共に頑張りたい。

 ▼受賞理由=同市沖合の釣島と興居島で19戸の農家が所属する。平均56歳と他地域より若く、ほぼ全戸で後継者がいる。「紅まどんな」(愛媛果試第28号)や「せとか」など高級かんきつを柱に生産し、1戸当たりの平均手取り額は773万円とJA管内で最も高い。
 

食の架け橋

 


食ロス減地産地消

 

■ビストロくるるん社長・松藤富士子さん(60)=福岡県大木町


 地域で店をかわいがってもらえたからこその受賞だ。大木町が進める「資源循環型まちづくり」に呼応し、野菜の葉や茎も無駄なく料理に使っている。食品残さはバイオマスプラントに持ち込み、エネルギーに変えている。町役場に受賞を報告すると「町を挙げて応援する」と喜んでもらえた。地域の期待に応えられるように今後も取り組みたい。

 ▼受賞理由=町が建てた「道の駅おおき」内の農家レストラン。「農業の価値を伝える」という理念を実践している。隣接する直売所に出荷する農家と契約して野菜などを仕入れる。8割が町内産。小学生を招待して食育授業も開く。
 

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