新型肺炎拡大 農村じわり影響

 新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中、国内農業にも影響が広がってきた。春節(中国の旧正月)で帰省した中国人技能実習生が日本に戻って来られなくなっている他、観光農園や農家民宿ではキャンセルが相次ぐ。影響の長期化を懸念する声が高まっている。
 

帰省したきり日本に戻れず 茨城県内の中国人技能実習生


 茨城県のJA岩井管内では、春節で中国に一時帰国していた技能実習生3人が日本に戻れない状態だ。JAが監理団体で3人は農家実習を受けていたが、春節に合わせ1月16日に日本を出国。同28日に日本に戻る予定だった。2人は湖北省、1人は四川省の実家にいるが、中国国内の交通機関が止まっており、空港まで移動できないという。JAは実習生の送り出し機関を介し、3人と連絡を取っている。

 技能実習支援課の吉岡忠志課長は「一刻も早く終息し、実習生が戻って来られるようになることを願う」と話す。

 JA茨城県中央会が主導して設立した協同組合エコ・リードを通じて来日し、県西地区の農家で実習を受ける20代の男性1人も、中国に帰省して戻れない状態だ。同組合によると、中国からは2月中旬と3月上旬に新たに実習生12人が来日し、実習を終えた実習生7人が同時期に帰国する予定。だが、現在の状態が続けば、実習生や受け入れ農家などにも影響が出そうだ。同組合の成井貞行理事長は「事態の推移を見守りたい」と話す。
 

予約キャンセル 想定外の減収に 観光農園・農家民宿


 インバウンド(訪日外国人)を対象にした観光農園や農家民宿などにも影響が出ている。

 北海道では観光牧場でキャンセルが相次ぐ。釧路地方弟子屈町の渡辺体験牧場では、2月上・中旬に来場を予定していた中国からの団体旅行が10組ほど中止に。バター・アイス作り体験や雪遊びなど200人分以上がキャンセルとなった。同牧場の渡辺隆幸さん(57)は「冬場の貴重な収入源が減った」と話す。

 岐阜県白川村で農泊や自然体験ができる「トヨタ白川郷自然学校」では、中国系企業1社から30人の団体予約のキャンセルが出た。施設利用者の約3割が中国や台湾などからの旅行者だ。

 鳥取県米子市でサツマイモの生産や加工、販売、イチゴの観光農園を営む「富ますシルクファーム」のグループ会社で、輸出と海外での観光農園誘客に取り組む「KOGANE」の西上光弥取締役は「客足が予想より低調だ」と指摘する。

 観光農園は、昨年オープン。香港との直通便がある米子空港に近い立地で、現地での宣伝や受け入れ態勢を整えた。今年は昨年の2、3倍の来園を見込んだが、今は昨年と同程度の1日1組約4人にとどまる。

 福岡市の佐賀牛レストラン「博多季楽」では、中国人観光客が例年よりも減っている。「規制が個人旅行にまで広がれば、さらに厳しい状況になりそうだ」と危惧する。

 日本人の利用にも影響が出る可能性がある。外国人観光客から人気を集める九州のある観光農園では、日本人客から、感染が多い中国本土からの旅行者が訪れていないか尋ねられることがあるという。
 

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