協同組合100の言葉 思想の核心先人に学ぶ

 世界の分断が進み、経済格差が広がる。今こそ相互扶助を核とした協同組合の出番だ。その思想の核心は、魂がこもる先人の言葉に見いだせる。協同組合“100の言葉”を考えたい。

 日本農業新聞3面で現在、「協同組合を学ぶ100の言葉」を連載中だ。日本協同組合連携機構(JCA)が、多彩な言葉を挙げ解説している。3月上旬まで100回続く予定だ。連載を参考に、先人の言葉も手掛かりに、改めて協同組合の役割を多面的に捉えたい。

 第20回で掲載した「レイドロー報告」は、40年前に協同組合の進路を示した歴史的文書。レイドローは協同組合の三つの危機、「信頼の危機」「経営の危機」そして「思想の危機」を挙げた。特に「思想の危機」を前に、協同組合の思想と理論と系譜を改めて学ぶことは重要だ。

 協同組合への攻撃は世界各地で起きた。こうした中で、第62回の「農協改革」、第63回の「自己改革」は意義深い。馬場利彦JCA専務が執筆。「政府の言う『農協改革』の反対語として『自己改革』を使う」と説く。JAグループはあえて、政府の農協改革とは一線を画し、各JAの自主性の発揮を唱えた「創造的自己改革」を実践中だ。

 連載中のこうした協同組合の個別項目の解説とは別に、先駆者らが残した「言葉」を振り返るのも重要だ。本質を突き、今に通じるものが多い。

 まず明治維新の立役者、西郷隆盛。「政の本体は、文を興し武を振るい農を励ますの三つにあり」と農本主義を提唱。江戸城開城の時に見つけた二宮尊徳の農業関係書を写本し、流布したほどだ。協同組合の源流でもある報徳精神を説いた尊徳の名言に、目先の利益を戒めた「遠きをはかる」。理念を見失い、目前の損得を考える組織に明日はない。西郷が敬愛した幕末の思想家に佐藤一斎がいる。「暗夜に憂うことなかれ。ただ一灯を頼め」の言葉を残す。自分の決した道を堂々と歩めとの信念だ。

 生協を興し共済の父でもある賀川豊彦は今年、没後60年を迎える。「一人は万人のために、万人は一人のために」の言葉が相互扶助の核心を表す。農協運動に命をささげた男と称され、半世紀前に全中会長を務めた宮脇朝男は「先憂後楽」の4字を好んだ。今のJA運動、組織改革とも重なる。困難を突破する力こそが、後に楽しい明日を切り開くとの決意を込めた。

 北の大地、十勝を耕しホクレン、全農会長を務めた太田寛一。前回のNHK連続テレビ小説「なつぞら」でもモデルにした人物が登場した。「農民自らが農畜産物を加工し、付加価値を高め販売していくことが、農村が豊かになる道だ」と主張し実践する。「適正乳価の実現」を社是とする農民資本、よつ葉乳業の創始者でもある。

 結集を基軸に、JAごとに協同組合“100の言葉”を探してみたい。
 

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