協力隊とJA 地域活性化への仲間に

 農山村に魅力を感じ、都会から移住して活動する地域おこし協力隊。日本農業新聞の調べではJAを知らない隊員が半数を超えた。JAは地元の隊員と関わり、地域の活性化を進める仲間として受け入れよう。まず接点を持つことから始めたい。

 地域おこし協力隊の168人に本紙が聞き取り調査したところ、JAを「よく知らない」と答えた隊員が55%だった。また80%の隊員が何らかの形で農業に関わる活動をしているにもかかわらず、JAとの関わりが「ない」「あまりない」が82%に上った。隊員は農業との関係が深いが、JAとの接点が乏しい実態が浮き彫りになった。一方、「JAと関わりたい」との回答は65%で、隊員とJAが連携できる可能性は大いにある。

 協力隊はPR、販路拡大、観光、特産品開発、農業、鳥獣害対策など多様な活動を担い、各地域で存在感を発揮している。しかし、現状でJAは、農業や地域の“担い手の卵”である隊員との関わりがほとんどないといえる。ただ、JAに良いイメージを持つ隊員も多い。農山村で活躍する若者の力を尊重し、JAは連携する機会を探すべきだ。

 2月2日に東京都内で総務省が開いた地域おこし協力隊全国サミットでは、参加した隊員から「農業の活動をしているが、JAの職員と会ったことがない」「JAのすぐそばの直売所で活動しているが、全く連携していない」といった声が相次いだ。一方で、「カメラマンとしてJAの事業を手伝っている」「JAの役員と何かできないか話している」など、JAと連携している隊員もいた。

 愛媛県JAうま管内の四国中央市金砂・富郷地区で活動する菊池睦さん(38)は、JAの施設を活動拠点にしているという。JA職員とは毎日顔を合わせる関係で「JAが地域にないと地域そのものが成り立たないし、JAのおかげで活動できている」と感謝する。いずれは定住し、お世話になった地域に恩返しをしたいと考えている。

 2018年度の隊員数は全国で5359人。総務省のアンケート調査によると、“卒業”した後の定住は約6割になる。定住に至らなくても、人生の貴重な時間を過ごした農山村と関わり続けたいと願う隊員が大半だろう。定住するかどうかは未知数でも、農山村に希望を抱きチャレンジする隊員を応援する存在になることができれば、JAの意義や価値を理解するファンを増やすことにもつながる。

 隊員は地域を救う「スーパーマン」ではない。失敗はつきものだ。過度に期待したり、逆に「よそ者扱い」したりせず、まずは地域の協力隊と出会い、どんな活動をしているかを知り、隊員と話すことが出発点となる。

 その先に、JA自己改革の目標である地域の活性化にもつながる、新たな可能性が開けてくるはずだ。

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