続く暖冬に警戒 情報把握し管理万全に

 かつてない暖冬である。一時的に寒気が入ったが、気象庁の予報では、今週後半から気温は平年より高い水準で推移する見通しだ。農作物への影響が懸念される。栽培管理には万全の注意を払いたい。

 日本列島は先週末から寒波に見舞われたが、冬型の気圧配置は続かない見込みだ。日本付近の偏西風が北へ蛇行し、寒気が南下しにくい状況だ。気象庁の予報では、2月末まで気温は全国的に高くなる。北、東、西日本の日本海側の降雪量も例年より少ないと見通している。

 心配が増すのは農作物への影響だ。軟弱徒長や病虫害発生などへの懸念が強まっている。寒気の一時的な南下による凍霜害の発生も気掛かりだ。農家は例年以上に注意が必要だ。農水省は、地方農政局を通じて県などに被害防止に向けた技術指導を呼び掛けているが、農家に届くように徹底する必要がある。

 積雪量が例年の半分以下の地域が多い。稲作地帯からは、代かき時の農業用水が不足するのではないかとの不安の声が届く。計画的な配水ができるように、政府は関係機関の調整を促す必要がある。

 生活環境への影響にも注意が必要だ。雪崩や落雪、融雪水による河川の氾濫、土砂災害が起こる危険性がある。落雪の恐れのある屋根や軒下、傾斜地、河川などの危険な場所に近づかないようにすることが肝心だ。軽率な行動は命に関わる。慎重な行動を心掛けよう。農作業時にはヘルメットをかぶったり、滑りにくい履物にしたり、1人ではなく何人かで作業をしたりするなど安全確保が重要だ。

 営農計画の見直しが必要になることも考えられる。既に麦類は早期化している地域が多く、赤かび病などの適期防除が必要だ。農家は自治体が提供する病害虫発生予察情報は小まめにチェックしたい。

 野菜は軟弱徒長にならないように適正な肥培管理が不可欠だ。コナジラミやアザミウマ、ハダニ類発生の早期化が懸念される。早期発見が肝心だ。果樹は開花期が早まり、降霜や低温による凍霜害が心配だ。防霜用資材の準備や防霜ファンの点検を早める必要がある。雪が少なく野生動物の動きも活発だ。豚熱やアフリカ豚熱などの発生にも細心の注意を払いたい。

 野菜価格が低迷し農家の経営は厳しくなっている。積雪地帯では農家の収入源である除雪作業や雪下ろしの作業がなく、収入が減る農家も出始めた。政府は経営支援策を検討すべきだ。

 地球温暖化が進む中で、異常気象は今後も繰り返されるだろう。一層きめ細かな営農管理が欠かせない。食料供給の不安定さも世界的に高まりそうだ。重要品目をはじめ今のように輸入に頼り過ぎるのは危険だ。一方で国内の生産基盤は弱体化が進む。国民への食料の安定供給は国の責務である。温暖化対策を含めて産地への総合的な支援体制を早急に構築すべきだ。
 

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