19年産12月 卸の米在庫過去5年で最多 生産量減も消費が低迷 20年産需給に影響も

 2019年産米の卸段階の民間在庫量が、過去5年(14~18年産)と比べて最も多い水準に積み上がっている。農水省によると、直近で公表があった昨年12月末時点で卸が抱える在庫量は、前年同時期比8%増の57万トン。19年産の生産量は前年より減ったものの、家庭用を中心に米の消費低迷が響き、市場には潤沢感が出ている。需給の安定には、今後の販売動向が焦点となる。

 全体の民間在庫量は322万トンで、前年同時期より7%(21万トン)多い。産地から19年産の出荷が始まった9月以降、前年を上回って推移している。在庫量の内訳は、JA全農や経済連、JAなど「出荷段階」が前年同時期比6%(17万トン)増の265万トン。卸など「販売段階」は同8%(4万トン)増え、14年産以降で最多となった。

 19年産の主食用収穫量は726万トンで前年から6万6000トン減った一方、在庫量が前年より増えているのは、米の消費低迷が主な理由だ。

 総務省の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの19年の年間の米購入量は62キロで前年より5%少ない。月別ではスーパー店頭が19年産を中心に切り替わった10月以降の落ち込みが大きい。

 大手の米卸は「消費税増税による節約志向で、家庭用の売れ行きが特に厳しい」と話す。別の大手卸は「業務用だけでなく家庭用でも特売用の値頃な価格帯の注文が取引先から増えたため、対応している」と、低価格帯に動きはあるものの、販売全体としては苦戦している。

 販売の低迷は、需給安定の懸念材料に浮上している。米穀機構が毎月行う卸や集荷業者らを対象にした1月の景況調査でも、向こう3カ月の需給見通し指数が、前月より4ポイント減の46と基準点の50を下回り、「緩む」見方に転じた。

 在庫潤沢の状況が続けば、20年産の需給や販売にも影響する可能性がある。農水省が示す適正生産量は708万~717万トン。各都道府県の農業再生協議会が示した生産量の目安の合計値(設定なしの県も含む)は、適正生産量を上回る見込みだ。米の需給安定には、販売の促進と、一層の転作強化が求められそうだ。
 

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