ノムさん逝く

 ノムさん逝く。「理想と(現実)のはざまにあるのが、ぼやき。僕がぼやかなくなったらご臨終」。まだ、たくさんぼやきたかっただろうに▼「生涯一捕手」にして名伯楽。プロ野球の一時代を画した。野村克也さんは、テスト生から三冠王になり、監督として弱小ヤクルトを3度日本一に導いた。理と情の人は、言葉の人でもあった。持論の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、江戸の剣豪・松浦静山の剣術書『剣談』から引いた▼10年前、政権を失い下野した自民党の党大会に呼ばれた。「場違い」と照れながら、この言葉を紹介した。負けた時は反省するが、勝った時はあまり反省しない。「そこに皆さんの落とし穴があるのではないか」。自民党と巨人軍を重ね、常勝に慣れた組織故のおごりをいさめた。安倍政権は、いま一度この教えをかみしめるといい▼一番の功績は人を育てたこと。ヤクルトの主力投手だった川崎憲次郎さんは、野村さんから教わった「奇跡を起こす三つのポイント」を書き留めている。「初めてのことを何かやってみる」「知らない人に話し掛けてみる」「古いものにしがみつかない」▼結果論でなくプロセスを大切にした。「失敗と書いて、せいちょう(成長)と読む」。野村語録は生き続ける。

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