贈り物は難しい

 贈り物は難しい。何を贈るか選ぶ時間は、相手を思う時間。きょうはバレンタインデー。チョコや花が飛び交い、愛のささやきが交わされるのだろう▼英語でギフト。この言葉、ドイツで使うのは要注意。「毒」の意味になる。なぜ贈り物が「毒」なのか。諸説あるが、政敵へ贈り物と称して毒でも盛ったか。さしずめ日本なら「贈収賄」を思い浮かべると合点がいく。人間、甘い毒に弱い。その点、バレンタインデーの「義理チョコ」や「友チョコ」は罪がない▼いま、新型肺炎で苦境にある中国に向け、日本からマスクなどの支援物資が続々と贈られている。そこに添えられた応援の漢詩が、中国の人々を感涙させているというニュースを見た。「山川異域 風月同天」。住む国や場所は違っても同じ空の下にいる。だから私たちは一つ。そんな意味になろうか。千数百年前に詠まれた8文字の漢詩が、二つの国をつなぐ▼支援物資の箱には、応援を意味する「加油」の文字も目立つ。両国には、歴史認識など複雑な問題も横たわるが、困った時はお互いさま。一衣帯水。海も空もつながっている▼「他人への思いやりと共感は、私たちが差し出せる最大の贈り物である」(タルサン・トルク)。誰かが困難な時、手を差し伸べることに勝る贈り物はない。

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