帯広農高エース 井村塁主将 兄の夢 左手に…いざ甲子園

十勝牛の皮革で作ったグラブで甲子園の大舞台に挑む井村選手(13日、兵庫県淡路市で)

関西遠征をスタートさせた帯農ナイン(13日、兵庫県淡路市で)

 3月19日開幕の第92回選抜高校野球大会に、21世紀枠で出場する北海道の帯広農業高校。エースで主将の井村塁選手(2年)は、十勝牛の皮革で作ったグラブで甲子園の大舞台に挑む。このグラブは井村選手の兄で幕別町の農家、陸さん(19)からのプレゼント。井村選手は「愛着がある地元産のグラブで甲子園のマウンドに上がりたい」と闘志をみなぎらせる。(前田大介)
 

農家の陸さん 弟へエール込め 「十勝牛グラブで つかめ勝利」


 陸さんが購入した音更町のスポーツ用品店「年中野球」は、道産牛の皮革を使ったオリジナルグラブを扱う。同校の前田康晴監督(43)が前任の倶知安農業高校時代に、野球部員が育てた黒毛和種の皮革からグラブを作った際にも協力するなど、同店と農高野球部との縁は深い。

 「十勝らしいグラブを作れないか」と陸さんは店主の佐藤肇さん(56)に相談。音更町産の十勝牛の皮革を兵庫県姫路市でなめし、奈良市のグラブ製造工場で仕上げた。価格は約5万円。陸さんは約30ヘクタールの農地で大豆やビート、小麦などを育てる傍ら、スポーツジムでアルバイトし、購入費用を捻出。昨年12月に贈った。

 陸さんも帯広農業高校の野球部出身。3年時に夏の甲子園出場を懸けた北北海道大会十勝地区で強豪校を相手に延長サヨナラ負けを喫し、甲子園出場の夢は果たせなかった。それだけに「何らかの形で援護射撃したかった。このグラブで帯農野球部がまだ果たせていない甲子園1勝をつかんでほしい」とエールを送る。

 協力した佐藤さんは「地元の生産者が手塩にかけて育てた十勝牛の皮革をグラブとして生き返らせたかった。『地産地消』ならぬ『地産地生』。甲子園のマウンドで使ってくれたらこれ以上うれしいことはない」と話す。

 関西遠征初日の13日、井村選手は地元産のグラブで軽快なフィールディングをみせた。「甲子園では一勝でも多く勝ち、十勝牛を育ててくれた畜産農家にも恩返ししたい」と早くも大舞台を見据える。
 

関西遠征で“予行演習”


 帯広農業高校野球部37人は13日から関西遠征をスタートさせた。帯農ナインが冬に道外遠征するのは異例。雪に閉ざされた北海道を抜け出し、土のグラウンドで白球を追い、3月19日に開幕する春の甲子園へ実践力を養うのが狙い。

 新千歳空港から関西入りした帯農ナインは兵庫県淡路市の淡路佐野運動公園野球場で初日を迎えた。同日の最高気温は17度を上回るぽかぽか陽気。帯農ナインはランニングから練習を開始し、ボール回しや試合を想定したノックなど約2時間半のメニューで汗を流した。

 約3カ月ぶりの屋外グラウンドの感触を確かめた井村塁主将(2年)は「氷上と違い土の上ではしっかりと踏ん張りが効く。帯広とは全然違う」と環境の違いに驚きの様子だった。

 17日までの遠征期間中、プロ野球の公式戦でも使用する球場ほっともっとフィールド神戸(神戸市)で紅白戦を行う。また、阪神甲子園球場(西宮市)内の甲子園歴史館に立ち寄り、一足早く大舞台を体感する予定。

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