18年度は鳥獣被害158億円 6年連続減も13道府県で増 現場の負担調査へ 農水省

 農水省は26日、自民党の野生鳥獣に関する合同会議で、2018年度の野生鳥獣の農作物被害額が158億円となったことを報告した。6年連続で減ったが、13道府県で増えている。直接的な被害だけでなく、営農意欲の減退や耕作放棄地の増加などにも結び付いているとし、現場の負担感など金額以外の被害実態を調査する考えを示した。議員からは、狩猟者の確保や野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用促進などを課題に挙げる意見が相次いだ。

 18年度の被害額は前年度比6億円減。被害額が減少に転じた12年度からは72億円減った。鳥獣別では鹿54億円、イノシシ47億円。被害額が生産額に占める割合は減少傾向にある。同省は今後、地域特有の問題にどう対応するかを課題に挙げた。

 一方、農村地域に与える打撃は、鳥獣による食害だけにとどまらないとし「地域からは被害の減少が実感できないとの声がある」(農村政策部)と報告。被害金額以外の実態把握に乗り出すとした。

 同党鳥獣被害対策特別委員会の鶴保庸介委員長は「なかなか被害が減らない。裏で何があるのか検証することが必要」と訴えた。

 堂故茂氏は、猟友会員の高齢化を課題に挙げ、「行政職員や消防団員、JA職員には、組織で責任を持てば会員になりたい人が多い」と指摘。地域で狩猟を担う人材の掘り起こし策を求めた。

 同省は、新たな食料・農業・農村基本計画に「JAや若者、農業者が捕獲活動に参画できるような方向を求めていきたい」(鳥獣対策・農村環境課)との考えを示した。

 同党の鳥獣食肉利活用推進議員連盟の小里泰弘幹事長は「出口をしっかりすれば捕獲も進む」と、ジビエ利用の推進を重視した。

 日本ジビエ振興協会の藤木徳彦代表は、全国の農業高校などから、地域の鳥獣被害やジビエの調理方法を学ばせたいというニーズがあると紹介。被害対策に携わる人材育成を視野に入れ、授業に盛り込むよう提起した。
 

二階氏 政府にハッパ 予算倍額で徹底的にやって


 関係者は職務を果たしたことになるのか──。自民党の二階俊博幹事長は26日、同党の鳥獣対策合同会議に出席し、いまだに被害に苦しむ地域が多い状況を踏まえ、苦言を呈した。政府には「予算を倍額にするとか対策を徹底的にやっていただきたい」と注文。「鳥獣がこの話を聞いたら、せせら笑っていると思う」と対策のてこ入れを強く求めた。

 同党鳥獣捕獲緊急対策議員連盟会長も務める二階氏は「こんな会議毎年ずっとやっているが(鳥獣に)負けている」とも指摘。今後の被害防止に向け、「この問題は何年度で解決したと言えるぐらいのことをやってみようじゃないか。気概があるなら、われわれは全力で努力する」と、政府にハッパを掛けた。


■この記事の「英字版」はこちらをクリックしてください。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは