全中営農指導実践全国大会 最優秀は鈴木公俊さん(JA山形市)

大会で営農指導の取り組みを報告した発表者ら(27日、東京都港区で)

 JA全中は27日、第4回JA営農指導実践全国大会を東京都内で開き、生産基盤強化などの課題に対応する、全国のJA営農指導員の取り組みを共有した。全国8ブロックの発表者が後継者育成などに奔走し、部会員や生産量の増加につなげた事例を報告。最優秀はJA山形市農業振興課長の鈴木公俊さん(43)、審査員特別賞はJA兵庫みらいあぐり創生課係長の多鹿文彰さん(37)が選ばれた。

 八つの報告のうち七つは、縮小する産地の活性化を目指すものだった。品目はセロリ、レタス、ブドウ、エダマメ、トマト、スイカ、ブロッコリーなど多様。高齢化や後継者不足、資材高騰で苦悩する産地を営農指導、担い手育成、販売強化などJA事業を効果的に組み合わせて支えた。
 

生産基盤強化に貢献


 最優秀の鈴木さんは入組以来、信用・共済、不動産などの部署で働き、2015年に38歳で初めて営農分野に配属。未経験業務が多い中、セロリ産地の振興に乗り出した。JAが農家に貸すハウス団地を作り、生産を後押しした他、ベテラン農家による研修を開き、新規就農を促進。協同組合のつながりを生かし、東北6県の生協と販売提携を結ぶなど多彩な角度で生産・販売を強化した。取り組み後、生産者数は4割増の21人、出荷量は9割増の333トンになった。

 鈴木さんは「信用業務の経験を生かし、農家にアドバイスできたこともあった。営農分野は初めてだったからこそ、ひらめいたアイデアもある」と説明した。

 農研機構元理事の丸山清明審査委員長は「団地化による担い手の呼び込みや販売先の開拓がしっかり成果につながった」と講評した。
 
 
 

アスパラ 産地化の種自ら 組合員と信頼構築 JA兵庫みらい多鹿係長


 大会では、全国8ブロックの代表が野菜や果樹のブランド化や新品目・品種導入などの取り組みを報告した。農家戸数の減少で産地の生産規模が縮小する中、JA営農指導員らは生産基盤の維持・拡大や、農家の所得向上へ奮闘。審査員特別賞に輝いたJA兵庫みらい営農経済部あぐり創生課の多鹿文彰係長は、新たな園芸品目としてアスパラガスの産地化に努めた経緯を発表した。

 JA兵庫みらい管内は、2016年度から農家所得の増大へ収益性の高い園芸作物を強化する方針を立てた。新たな品目としてアスパラガスの導入を決定。目標を作付面積5ヘクタールで販売高1億円と設定した。

 19年には22人が94アールを栽培し、販売高約940万円(同年12月時点)を達成した。JAによる試験栽培を16年に始め、17年には農家9戸が栽培を開始し、18年には部会を設立。JAは独自の助成金制度や、集出荷販売体制を築くなど支援した。

 多鹿係長は「JA職員が自ら栽培して普及し、組合員との信頼関係を構築できた」と振り返った。審査員からは、ゼロから産地化を始め、JA自ら栽培して営農指導に生かしている点などが評価された。

 産地が縮小する中、品種の切り替えで生産基盤を維持・拡大するハードルの高い取り組みも発表された。

 JA高知県香美地区夜須支所の石原浩信営農指導員は、ブランドスイカ「ルナピエナスイカ」を、従来品種から品質が安定する「茜SORA」に切り替えた経緯などを説明。栽培実績をもとに技術を広め農家の不安を払拭(ふっしょく)した。鳥取県のJA鳥取西部日野営農センターの池本亮平さんは、JAの夏秋トマトブランド「日南トマト」の品質安定に向け、「りんか409」に変えたことなどを報告。食味試験などを通じて生産者の理解を得たという。

 大会は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、参加対象者を発表者と最低限の随行者、審査委員などに絞って開催。当日の発表内容はDVDに記録し、全JAや都道府県中央会に無償で配布する。JA全中のホームページでも公開する予定だ。
 

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