台風15号半年 千葉の花農家 長期的な支援を

出荷を控えるストックを確認する早川組合長(千葉県館山市で)

再建人手不足 コロナ脅威に


 関東を直撃した昨年9月の「令和元年房総半島台風(台風15号)」から半年。農業被害額が427億円を記録した千葉県では、猛烈な風で倒れた農業ハウスの再建が、人手、資材不足などで思うように進んでいない。新型コロナウイルスも懸念材料となり、営農再開した一部の農家で需要減で計画が狂う事例もある。復旧・復興、営農再開には時間がかかる見込みで、現場は長期的な支援を求めている。

 千葉県は農業被害の復旧対策として、台風19号と10月25日の大雨も含めた被害額や市町村の要望から総額269億円の補正予算案を編成、復旧を進める。全体の復興状況は地域でばらつきがあり、県は「ハウスを建て直す人手が足りず、復旧に時間がかかっている地域もある」という。

 台風15号で施設を中心に大きな被害が出た館山市神戸地区では、花き栽培用のハウスの建て直しが徐々に進む。ストック産地の同地区は、台風直撃で半壊や全壊の施設が相次ぎ、大打撃を受けた。

 地区の花農家約50人が所属する、館山市神戸花卉(かき)生産組合の早川善行組合長は、地区内での栽培用施設の復旧状況は「ほとんどの農家が営農再開を希望しているが、農家で差があり平均して5割前後」と見る。JA安房神戸支店の井月裕次支店長代理も「人員や資材が不足し復旧が遅れ気味だ」と話す。

 今シーズンの出荷見込み量は、例年の5割程度。3月は卒業式や春の彼岸など需要期で地区では可能なところから、ハウスを自力再建して栽培を始め、好値での販売を期待していた。しかし復興に水を差したのが新型コロナウイルスだ。

 小中高校の一斉休校、各地のイベント自粛で需要が落ち込んでいる。井月支店長代理は「花の販売価格はここ数年と比べ4割程度下がっている」と肩を落とす。早川組合長は、不安を隠さないが「需要が減るのが本当に心配だが、こういう時だからこそ花の癒やしは必要。家に花を飾ってもらえるように栽培をしたい」と胸の内を明かす。

 同県は今年1月にかけて、被災農家らに要望を調べた。農業用施設の復旧など要望は約9000件。県は被災農家の支援に向け、昨年12月と今年2月に補正予算を組んだが、農家からの要望に応えるために19年度に加え、20年度にも事業を繰り越して、切れ目なく復旧できるよう対応をしていきたい考えだ。

 早川組合長は「台風前の生産量に戻すのは簡単なことではない。少なくとも3年はかかる」とみる。施設復旧に2年、栽培・出荷に1年という計算だ。「復旧支援には、息の長い支援をお願いしたい」と訴える。
 

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