市販装置で振動測定 メロン食べ頃たたいて予測 売り場に表示、購入を促進 千葉県が技術開発
2020年03月16日

千葉県農林総合研究センターは、メロンをたたいた音で熟度を予測する技術を開発した。メロンの振動数と果肉硬度の関係性から判断する仕組みで、非破壊で予測できる。同センターは予測結果を基に、果実に貼るラベルや店頭で食べ頃を示せば、消費者の購入促進につながるとみる。
青果物の品質検査などに使われる打音解析測定装置を使う。装置にメロンを置き、果実の赤道上の5カ所をばちでたたき、その音から振動数を測定する。測定後は、内部を切り出して果肉の硬さを調べ、硬度と振動数との関係式を作った。
メロン「タカミ」で調べたところ、振動数は201ヘルツで食べ頃になると分かった。メロンは収穫後から徐々に果肉が軟化する。振動数は貯蔵2日後から、1日当たり5・5ヘルツずつ減少するため、食べ頃までの日数が予測できる。収穫当日の振動数は年によってばらつきが見られ、貯蔵2日以降の測定が適切という。
メロンは、果肉の硬度が食べ頃に影響する。糖度は貯蔵中に変化しない。消費者が売り場や家庭で、適切な硬さを判断するのは難しく、購入をためらう要因と考えられている。同センター流通加工研究室は「食べ頃までの日数が分かれば、売り場やパッケージに明記でき、消費者が購入しやすくなる」と消費拡大に期待する。
打音解析測定装置は市販されており、選果場などで導入が可能だ。振動数と硬度を測定すれば、他の品種にも応用できるという。
青果物の品質検査などに使われる打音解析測定装置を使う。装置にメロンを置き、果実の赤道上の5カ所をばちでたたき、その音から振動数を測定する。測定後は、内部を切り出して果肉の硬さを調べ、硬度と振動数との関係式を作った。
メロン「タカミ」で調べたところ、振動数は201ヘルツで食べ頃になると分かった。メロンは収穫後から徐々に果肉が軟化する。振動数は貯蔵2日後から、1日当たり5・5ヘルツずつ減少するため、食べ頃までの日数が予測できる。収穫当日の振動数は年によってばらつきが見られ、貯蔵2日以降の測定が適切という。
メロンは、果肉の硬度が食べ頃に影響する。糖度は貯蔵中に変化しない。消費者が売り場や家庭で、適切な硬さを判断するのは難しく、購入をためらう要因と考えられている。同センター流通加工研究室は「食べ頃までの日数が分かれば、売り場やパッケージに明記でき、消費者が購入しやすくなる」と消費拡大に期待する。
打音解析測定装置は市販されており、選果場などで導入が可能だ。振動数と硬度を測定すれば、他の品種にも応用できるという。
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イチゴ増産応援 ふるさと納税 JA農福連携に寄付 三重県志摩市
三重県志摩市は、ふるさと納税で特定の事業向けの寄付金を集めるガバメントクラウドファンディングを活用し、特産イチゴ「レッドパール」の増産に力を入れる。寄付金は「レッドパール」を栽培するJA伊勢の育種苗施設改修工事の費用に充当。ハウス増設、加工施設新設の他、車椅子での利用が可能な通路の確保、障害者用トイレの整備など施設全体のバリアフリー化に役立てられる。
JAは農福連携による障害者雇用を通じ、「レッドパール」の生産量維持と市内の農業活性化を目指している。障害者が働きやすい環境のため、施設のバリアフリー化に取り組む。市も特産振興と障害者雇用の場の確保を進めており、ガバメントクラウドファンディング実施につながった。
寄付金の目標額は300万円。返礼品は10万円以上の寄付に対し、市から「志摩のめぐみレッドパールジャム」が贈られる。期限は29日まで。
JAの担当者は「生産者が年々減っており、このままでは生産が途絶えてしまう。この農福連携をきっかけに、レッドパールの生産量維持と市内の農業活性化につながってほしい」と期待する。
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2021年01月28日
食料供給確保へ連携 気候変動にも対応 閣僚宣言を採択 ベルリン農相会合
世界の90の国・国際機関が参加したベルリン農相会合が22日夜、テレビ会議形式で開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動への対応が世界的な課題になる中、食料供給の確保に向けて連携を強化することで一致。食料価格の乱高下につながる輸出規制などの措置の制限、持続可能な農業生産に向けた国内農政の改革など、各国に求める行動をまとめた閣僚宣言を採択した。
同会合は、ドイツ政府主催で2009年以降、毎年開いている。今回のテーマは「パンデミック(世界的大流行)や気候変動の状況下で、いかに世界の食料供給を確保するか」。日本から出席した野上浩太郎農相は、人と家畜に共通する感染症を含めた「将来のパンデミック防止」の分科会で議長を務めた。
閣僚宣言では、新型コロナ禍の中で食料供給に努める農家らに「深い感謝」を表明。一部の国が食料の輸出を規制したことを念頭に、「貿易の不必要な障壁や、世界の食料供給網に混乱を生じさせてはならない」「食料価格の過剰な乱高下につながりかねない、いかなる措置も行われないよう注意する」などと明記した。
持続可能な食料供給と気候変動への対応の両立を重視する方針も打ち出した。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標達成に向けて、「市場と規制措置を含む国内政策を実施する」と表明。化石燃料の使用を削減する生産方法や作物の開拓を支援する。新たな技術は、特に小規模農家が導入しやすい価格にする必要性を強調した。
野上農相は、鳥インフルエンザなど越境性の動物疾病の感染拡大が食料安全保障のリスクを高めるとの考えから、人や動物の保健衛生を一体的に見る手法が重要と指摘。農林水産業の生産力向上と環境保全を両立するため、技術革新と投資を促す必要性を訴えた。こうした考え方も閣僚宣言に盛り込まれた。
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2021年01月24日

キャラクターでグループ討議 コロナ下も情報交換密に 中金ローン担当者会合
新型コロナウイルス下でも、参加者同士が気軽に会話できる情報交換会を──。農林中央金庫は26、27の両日、デジタル技術を活用したローン専任担当者情報交換会をオンラインで開く。映像配信ではなく、参加者それぞれが画面上で人型のキャラクターとなって動ける機能を用意。交流したい他の参加者に近づき話し掛けるなど、集合開催に近い体験を追求する。
JAグループではコロナ対策として、多くの会議をオンライン化。……
2021年01月25日

消費者物価 生鮮野菜8・8%下落 1年10カ月ぶり低水準
総務省が22日発表した2020年12月の全国消費者物価指数(15年=100)によると、食料品は前年同月比で0・8%下落し、指数は104・3だった。2カ月連続の下落。好天続きで生育が良好だったことで、生鮮野菜が値下がりした。米も下落が続いた
生鮮野菜は8・8%下落と、19年2月以来1年10カ月ぶりの低水準。……
2021年01月23日
生物多様性保全戦略 流通・消費者も一体で 来年度改定へ新項目 農水省
農水省は、生物多様性の保全方針を示す戦略を2021年度中に改定する。5月に中国で開かれる生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、新たな世界目標が決まることを踏まえる。これまで3回の有識者検討会を開き、ビジョンや目次案などを議論。現行戦略は生産者向けの記述が中心だったが、新戦略は流通、消費まで関係者一体となった取り組みを促す内容となりそうだ。
同戦略は07年に初めて策定し、農薬や肥料の適正使用、農業生産工程管理(GAP)の普及といった施策の展開を盛り込んでいる。今回が2回目の改定で、COP15を受けて決める国家戦略にも反映させる。これまでの議論で、30年に向けた戦略のビジョンは「農山漁村が育む自然の恵みを生かし、環境と経済がともに循環・向上する社会」とする方向となった。
18日の検討会第3回会合では、目次案などを議論。現行の戦略は生産者向けの記述が中心だが、同省は新たに流通業者、消費者向けの項目の新設を提起。環境に配慮した農産物の調達や、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの削減などを促すとした。
農林水産関連のコンサルティングなどを手掛ける、いきもの株式会社の菊池紳代表取締役は「流通業者が生物多様性に関わるには、それに取り組む生産者から優先して調達するのが一番」と指摘。生産者との連携を記述するよう求めた。立教大学特任教授の河口真理子氏は「生物多様性を守る最前線にいる生産者を応援しないと何も始まらない。リレーをつないでいるのが流通、小売りという位置関係も書いてほしい」と強調した。
次回の会合は3月上旬を予定。戦略本文などを検討する。
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2021年01月22日
営農の新着記事
12月農作業死傷事故8件 刈り払い機に注意を 農水省
農水省は12月の農作業死傷事故の発生状況をまとめた。都道府県や農機具販売店、製造事業者などから収集した情報から、8件の死傷事故を確認した。農業機械に関わるものが6件あり、このうち2件は動力刈り払い機が関係していた。同省では刈り払い機の正しい使い方を呼びかけるとともに、安全機構が付いた新機種への買い替えも勧めている。
農水省が把握した12月の動力刈り払い機による事故のうち、1件は除草作業中に刈り払い機のエンジンを止めずに点検をしたことが原因だった。点検作業中に急に刃が動き出して負傷した。
動力刈り払い機ではこれまでにも同様の事故が発生している。このため農水省は「点検の際はエンジンを止めて作業をすることが基本」と、正しい使い方を守るよう呼びかけている。
最近は、ハンドルから手を離すと、刈り刃が止まる機構が付いた機種も多く販売されている。こうした機構が付いていない古い機種を使っている場合は「できるだけ早く、買い替えましょう」と、農水省。安全な機種への切り替えを勧めている。
農水省は昨年、都道府県や販売業者に要請し、農作業の死傷事故の情報を集め、昨年6月の発生分から、発生月ごとに公表している。
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2021年01月28日

小さいトレー重ね 果実への衝撃吸収 リンゴ梱包法開発 農研機構
農研機構食品研究部門は、リンゴの輸送時の傷を軽減する包装方法を開発した。果実より一回り小さいトレーに入れ、果実を浮かせた状態にする。トレーを2枚重ねにすれば、落下による衝撃をさらに減らせる。土産や直売所などで販売する手提げの携行容器に向く。
市販のパルプ製のモールドトレーを使う。……
2021年01月28日

土壌水分に合わせ適正かん水自動化 広島県など装置開発
広島県立総合技術研究所農業技術センターと寿エンジニアリングは、土壌水分に応じた自動かん水ができる指令機(制御盤)を開発し、製品化した。土壌が乾燥状態になると、設定した水量のかん水を始める。乾燥を検知した系統だけをかん水する単独モードと、全ての系統を順番にかん水する連動モードを切り替えられるのが特徴。今春の発売を予定する。
土壌にセンサーを挿し、水分量を計測する。……
2021年01月27日

超高糖度晩かん「あすき」育成 3月以降露地で成熟 農研機構
農研機構は、超高糖度な晩生のかんきつ品種「あすき」を育成した。3月以降に成熟し糖度が16程度と高い。マルチなど特別な栽培管理をしなくても高糖果を生産できる。皮を手でむける「ミカンタイプ」で、風味が良い。果汁の流出が少ないため、消費が伸びているカットフルーツにも向く。
1、2月に成熟する中生かんきつは数多く育成されてきたが、3月以降に露地栽培で成熟する晩生品種は十分開発されていなかった。……
2021年01月27日

ドローン空から直まき 低コスト稲作へ 10アールわずか7分
水稲の直播(ちょくは)をドローン(小型無人飛行機)で行う動きが広がっている。育苗、田植えが不要で作業時間が短縮できる一方、収量の安定化には課題も残る。今年は、農水省が主食用米からの転換を支援する水田リノベーション事業で、低コスト生産を交付要件としており、取り組みの拡大も期待される。“空から直まき”の可能性と課題を追った。
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
2021年01月26日

葉の成分 「フィトール」 新防除剤に有望視 ネコブセンチュウに効果 農研機構
農研機構は、葉から抽出できる成分の「フィトール」がネコブセンチュウ対策に使えることを発見した。トマトなどの根に付けたところ、抵抗性が高まって被害を抑えられた。新たな線虫防除剤の成分として有望視し、農薬メーカーなどと開発を進めたい考えだ。
「フィトール」は、葉緑体に含まれるクロロフィルを構成する天然物質。……
2021年01月26日

リンゴ枝折れ前にドローンで空から発見 優先度判断し雪害減 長野
長野県中野市で果樹を栽培する三井透さん(34)は、大雪が降った後の園地をドローン(小型無人飛行機)で上空から確認し、除雪する場所の優先順位を決めている。徒歩で片道30分かかっていた確認作業が5、6分に短縮できた。枝が折れそうな園地を優先して除雪し、被害の軽減に役立てている。
三井さんは就農6年目で、桃やリンゴ、プラムなどを約2ヘクタールで栽培する。規模を拡大する中、園地の見回りを効率化しようと、3年前からドローンの活用を始めた。冬は雪が積もると河川敷の園地に車で近づけず、かんじきなどを履いて歩く必要があった。
12月や2月など気温が高い時期に大雪が降ると、雪が水分を多く含み重くなる。果樹に積もった雪が解けて、既に積もっている地上の雪にくっつくと、枝が引っ張られて折れやすい。
2020年12月中旬の大雪では、10本の木で主枝が折れた。三井さんは「ほんの数十分でも対処が遅れたら、ばきばきと折れてしまう」と説明。折れてしまった枝は戻らないが、折れそうな木から優先的に除雪すれば、被害を減らせる。
ドローンは撮影用のものを使った。雪がやんだら上空から動画を撮り、枝折れの程度を確認する。木の生産性などを考慮し、作業する園地の優先順位を決めた。
三井さんは「助けられる木が増えた」と効果を実感する。確認にかかる労力も削減できた。改植が必要な木も把握でき、苗木の注文もスムーズになる。今後は大きなドローンを使い、枝に積もった雪を風圧で落とす方法も考えているという。
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2021年01月25日
鳴き声で牛個体特定 健康状態把握に応用 愛知県立大と県農試
愛知県立大学と愛知県農業総合試験場は、複数の牛の鳴き声のデータを分析し、どの牛が鳴いているか特定することに成功した。成牛と育成牛の鳴き声を混ぜた状態でも90%以上の精度で識別できたという。人の声を分析して感情や健康状態を読み取る技術の開発が進んでいるが、将来は牛の鳴き声のデータを基に健康状態の把握や、繁殖管理への応用も検討していきたい考えだ。
同試験場のホルスタイン種の成牛4頭と育成牛6頭の計10頭を鳴き声を収集した。成牛と育成牛の群に分けて録音し、識別に使った発声データ数は、成牛は251、育成牛は446。集めた音声データを編集して混ぜて、改めて分析をすると、声の違いを聞き分けて識別することができたという。
人が子どもから大人にかけて声が変わるのは牛も同じだ。識別の結果、声帯の筋肉の付き方が成牛と育成牛で違い、牛も人と同じく成長に伴って声道が伸びることを確認した。成牛は声の高さや低さを表す基本周波数の値が育成牛より大きいことも確かめた。
愛知県立大学情報科学部の入部百合絵准教授は「牛も発声方法や声質が一頭一頭違った。声そのものの分析だけでなく、発声するタイミングや頻度なども分析していきたい」と見据える。
同試験場は「牛がどういう欲求を表現しているか分かるようになれば、病気の兆候や発情の早期発見にも役立つだろう」と期待する。
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2021年01月23日

広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……
2021年01月22日

筋肉スーツ 続々販売 各社農業向け意識 腕上げる動作補助 都内でロボット展示会
京都江東区の東京ビッグサイトで22日まで開かれている産業ロボット関係の展示会「ロボデックス」で、梨の収穫など、腕を上げる作業を助けるアシストスーツの新製品を、各社が展示している。他産業に比べ安価にするなど、農業向けを意識した。今春の農作業シーズンに向けて販売を本格化させる。……
2021年01月22日