[新型コロナ] 幻の乳製品 蘇 牛乳消費盛りげ レシピ検索人気急上昇

西井牧場で製造・販売する「蘇」。生乳を煮詰めて固形状にしている(同牧場提供)

 古代の日本で作られていた幻の乳製品「蘇(そ)」が注目を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校措置で、学校給食向けの牛乳が行き場を失う中、家庭で「蘇」を作り、牛乳消費を盛り上げようとする動きが広がっている。大手料理レシピ検索サイトでは検索頻度が急上昇しており、専門家からは「平安時代以来のブームの再来」との声も上がる。

 「蘇」は、飛鳥時代から平安時代にかけて作られていたとされる古代日本の乳製品。都が置かれた京都や奈良の貴族階級を中心に食べられていたと考えられている。現在は文献には残るものの、製法が失われた幻の食品となっている。

 「蘇」がどのような食べ物だったのか諸説あるが、平安時代の古文書「延喜式」には「生乳1斗を煮詰めると、1升の(容積の)蘇が得られる」とあり、生乳を約10分の1に加熱濃縮した加工品だったと考えられる。

 全国の小中高校の休校措置を受け、学校給食向けの牛乳が行き場を失う中、牛乳を大量に使う「蘇」を作り、牛乳消費を盛り上げようとする動きが広がっている。

 大手料理レシピ検索サイト「クックパッド」では、3月上旬から「蘇」の検索頻度が急上昇。3月2~8日の1週間の検索頻度は、前の週(2月24日~3月1日)から94倍に大幅に伸びた。

 運営会社は「牛乳さえあれば作れる手軽さと、『古代のお菓子』という珍しさで人気に火が付いた」と分析する。

 ツイッターでも蘇を実際に作ったという投稿が相次いでおり、蜂蜜や砂糖で味付けして自分ならではの蘇を楽しむ消費者が増えている。

 奈良県橿原市で酪農を営み、「蘇」の製造・販売に取り組む西井牧場は「(蘇は)甘さを控えたミルクキャラメルのような食べ物で、酒のつまみにお勧め。家庭でも味わってほしい」と話す。

 学校給食の牛乳は、国内の飲用向け生乳生産量(年間約400万トン)の1割近くを占める。給食の休止による需要の落ち込みで、酪農家の収入減が懸念されている。

 世界の牧畜と乳文化を研究する帯広畜産大学の平田昌弘教授は「古代の蘇がブームとなるのは、少なくとも平安時代以来と考えられる。牛乳の消費拡大につながればいい」と期待する。

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