[未来人材] 31歳。地域資源生かし循環する経営実践 酪農と里山守りたい 木下荒野さん 長野県小布施町

ジャージー牛と生まれたばかりの子牛を前に笑顔で「地域で循環する小規模酪農を目指したい」と語る木下さん(長野県小布施町で)

 長野県小布施町の「小布施牧場」の代表を務める木下荒野さん(31)は、地域資源を有効に使った放牧酪農に取り組み、地域内で循環する経営を実践する。牧場のカフェでは、育てたジャージー牛の生乳から作ったジェラートやチーズを提供し、食や命の大切さも発信する。

 小さい頃から動物好きだったこともあり、北海道の酪農学園大学に進学。卒業後は、県内の農場で3年ほど働いた。

 その後、約2000頭の牛を飼育するニュージーランドの牧場で働いたのが転機だった。餌となる飼料を一から作るなど、牧場内で全てが循環する酪農を目の当たりにした。現地では、牛が下草ややぶを払うことで里山の美しい姿が保たれていたという。古里の同町で酪農をしたい思いが強まった木下さん。「自然の力強さに感動した。小規模でも、牧場をやるなら、地域で循環する放牧スタイルの経営だと感じた」と話す。

 現在は、搾乳用のジャージー牛10頭を飼育する。放牧する牛が下草を食べることで景観を守る。また、同町の水田から出る稲わらや、遊休農地で育てた牧草、ジュース工場から出るリンゴのかすを餌に利用し、地域にある資源をフル活用する。

 生乳は1日平均で80~90リットルを搾乳する。量はホルスタインより少ないが、ジャージー牛特有の濃厚なミルクの価値を生かして、ジェラートやチーズを作る。

 商品は、牧場が運営する工房兼カフェの「milgreen」で販売。店舗周辺は約5ヘクタールの森に囲まれており、森の一角に子牛を放牧。客は子牛と触れ合うこともできる。「放牧している牛を見ると、食べている商品が牛から生まれていることが実感できる。牛を身近に感じながら、食と命が密接に関わっていることを感じてほしい」(木下さん)と説明する。

 この他にも、ジャージー牛の雌牛に、和牛の受精卵を移植して子牛を出産させる繁殖にも挑戦。牧場の収益の一つにしている。

 木下さんは「今後は、牧場のモデルを講演活動などを通じて広めていき、日本の酪農や里山を守っていきたい」と意気込む。(藤川千尋)
 

おすすめ記事

若者力の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは