地図を開くと、南北に長く、海に囲まれ、起伏に富んだ日本列島がある

 地図を開くと、南北に長く、海に囲まれ、起伏に富んだ日本列島がある▼その地図を「お金が要る度合い」で描き直すと、都会に近づくほど大きくなり、遠ざかるほど小さくなる。そんな“金力マップ”のイメージが出来上がる。プランニング・ディレクターの西村佳哲さんの『いま、地方で生きるということ』(ちくま文庫)で教わった▼お金に引き寄せられるように故郷の山村から人が去った。廃校になった学校の校庭に立てば、歓声が飛び交う運動会の光景が浮かぶ。集落対抗の綱引きで大人に交じって一生懸命に引っ張り、青空を見上げながら持ち寄った「重箱」に舌鼓を打った。みんなどこに行ってしまったんだろう。残されたグラウンドに静寂が満ちる▼映画『高津川』(錦織良成監督)は、ダムのない清流が流れる島根県の過疎の山村で生きる人々の葛藤を描いた秀作である。認知症になった独り暮らしの「おっちゃん」が、東京から帰省した弁護士の息子を認識できずに、先祖代々の田んぼを売る思いを主人公の牧場主に打ち明ける。「大学の学費にでもしようかと思うて」。子どもへのいちずな愛が涙を誘う。中国地方で多くの感動を呼び、全国での上映が待たれる▼お金より大切なものに気付いた時、ふるさとがまざまざとよみがえる。
 

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