きょうびの医者は、ろくに患者の顔色も見ない

 きょうびの医者は、ろくに患者の顔色も見ない。大抵パソコンの画面とにらめっこしている。たまに聴診器を当ててもらおうものなら、ほっとする▼聴診器が無かった時代、医者は耳を患者の胸に押し当てて肺の音を聞いた。200年ほど前の話。フランスの若い男性医師ラエネックは、内気で女性の胸に耳を当てるのが嫌で仕方なかった。そんな時、子どもたちの遊びからヒントを得て、中をくりぬいた木の筒を造る。元祖聴診器である▼『細菌と人類』(中公文庫)にある大発明の逸話だ。ラエネックは、「死の病」だった結核の研究にも功績を残す。その後、細菌学者コッホが結核菌を発見し、治療に道を開く。24日は、その日にちなみ世界結核デーだった▼過去の病気ではない。今も世界で1000万人が発病し、160万人が命を落とす。日本でも戦後まもない頃まで「国民病」「亡国病」と恐れられた。2018年の統計でも約2300人が亡くなった。結核予防会は「今でも1日平均46人の患者が発生し、6人が命を落とす重大な感染症」と警告する▼結核デーが目指すゴールは「結核流行の終結のために団結しよう。誰ひとり取り残さない」。世界で猛威をふるう新型コロナにも当てはまる。まずは聴診器を胸に当てる検査から。
 

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