コレラで聖火リレーに暗雲

  コレラで聖火リレーに暗雲。コロナの誤植ではない。1964年の東京五輪にまつわる秘話である▼開会式2カ月前の8月、聖火は、アテネでの採火式を終え、一路日本へ。ところが聖火の到着を待つ日本で緊急事態が起きる。千葉県習志野市でコレラが発生、死者も出て国内は混乱に陥る。『東京五輪聖火空輸作戦』の著者・夫馬信一さんによると、米軍の応援を仰ぎ、上空から消毒散布の荒療治までしたという▼こちらは特効薬もない。パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナが、今夏の東京五輪・パラリンピックを初の延期に追いやった。きょうから福島県で始まる予定だった聖火リレーも見送りに。「聖火に罪はない」と夫馬さん。聖火が消えることは何とか避けられたが、いばらの道に変わりない。課題も山積している。それでも聖火は日本にとどまる。「復興五輪」の象徴として、福島の地で灯をつないでほしい▼世界はいま、ウイルスという見えない敵と闘う暗闇の中にいる。延期を決めたIOCは声明でうたう。「オリンピックの聖火が、暗いトンネルの出口を照らす光となるはずだ」と▼トーチリレーは足踏みとなったが、来る五輪が災禍終息の中、祝福の笑顔で満ちるといい。聖火リレーの合言葉は「希望の道を、つなごう。

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