新型コロナ禍で、世界人口の4割が自宅待機を強いられているという

 新型コロナ禍で、世界人口の4割が自宅待機を強いられているという。いまや感染症に侵されていないのは、南極大陸だけ▼多くの陸路、空路、海路が閉ざされ、グローバル世界が一転、鎖国のようなありさまだ。思い出すのは、井上ひさしさんの代表作『吉里吉里人』。東北の一寒村が日本からの独立を宣言。経済は金本位制、食料は完全自給。笑いと風刺をちりばめ、日本の病巣を壮大なパロディーに包む▼小説では、日本政府が自衛隊まで駆り出し、あの手この手で切り崩しにかかるが徹底抗戦。独立国として「東京からの言葉」で指図されることを拒否。「百姓」として生き、「百姓語」を使うことで、自立と尊厳を取り戻す闘いを描いた▼今、世界で広がる鎖国状態は、グローバル化の負の側面をあぶり出す。井上さんが亡くなってきょうで10年。こんな世界を想像しただろうか。政府は国難と言い、伝家の宝刀を抜いたが、私権制限や経済補償は曖昧だ。「ある選択をするということは、その選択によって生まれるはずのマイナスをすべて背負うぞということ」。井上さんの言葉は今を射る▼首相の緊急事態宣言は、進退を懸けるほど重い責任を伴う。国家と個人、中央政府と地方自治、公益と私権の在り方まで、私たちに問い掛ける。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは