コロナ禍の観光・飲食業 農家が人材受け入れ JAや行政が就労を仲介

マッチングの取り組みに期待する片山さん(長野県軽井沢町で)

 農業の人手不足が深刻化する中、新型コロナウイルスの影響で営業を縮小する観光業や飲食サービス業などから農業分野に労働力を回す取り組みが始まっている。観光業などは訪日外国人の減少に外出自粛も加わって経営が厳しく、従業員の雇用継続が難しい。そこでJAや行政が人材を仲介し、互いの労働力の課題解決につなげようとしている。(高内杏奈、藤川千尋)
 

長野・JA佐久浅間 旅館組合と協力


 長野県のJA佐久浅間は、地元の軽井沢旅館組合と協力し人材のマッチングを始める。宿泊施設は、各従業員に農家での就労希望の意向を尋ね、希望する場合は出勤可能日などの情報をJAに提出。JAは農家にその情報を示し、条件が合えば面接などを経て農家が雇用する仕組みだ。

 今回の人材マッチングをJAに提案、相談したのは、JA軽井沢事務所野菜部会の前部会長でJA野菜専門委員会常任委員の片山修さん(48)。片山さんは人材不足に悩み、今季は収穫の手間がかかるレタスの一部をキャベツに転換した。片山さんは「労働力として来てもらえればありがたい。これを機に軽井沢の野菜のおいしさを再認識し、宿泊施設で利用が広がればいい」と期待する。

 旅館組合の鈴木健夫組合長も「軽井沢の観光客は野菜のおいしさに感動する。感染終息後の集客につなげたい」と話す。

 JAは全国にリゾートホテルを展開する星野リゾートとの連携も検討する。同社も仕事量が減少する見込みで、従業員の雇用確保が課題。JAは農家や選果場などの仕事を紹介する。JAと同社は、雇用条件面や希望人数などを協議中だ。

 JAでは新型コロナウイルスの影響で、94人の中国人技能実習生が来日できていない。実習生は5月以降にピークを迎えるレタスやキャベツなどの収穫作業を担う。JA営農経済部の内藤浩部長は「産地には安全で安心できる、おいしい農産物を届ける使命がある。生産基盤を守ることにつなげたい」と強調する。
 

マッチング支援 青森県が窓口設置


 青森県は10日、営業自粛する観光業や飲食サービス業から労働力を農業分野に回す人材マッチング事業を始めた。青森市の無料職業紹介事業・あおもり農林業支援センターに窓口を設置。JAグループやハローワークと連携して、農業法人などの求人情報を集約する。

 センター職員が観光業、飲食サービス業、運送業を巡回し声掛けして、短期労働力のマッチングを後押しする。県農林水産部は「労働力不足は加速する。利用者を増やしたい」と説明する。

 同県はナガイモや露地野菜の出荷最盛期を迎えるが、中国を中心とする技能実習生が来日できず、人手不足が深刻化している。東北町でナガイモを3・5ヘクタール栽培する甲地武彦さん(64)さんは「人手不足で作付け縮小を検討する農家も出てきた。短期でも労働力が増えるのはありがたい」と期待する。


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