[あんぐる] 春の味がする 食用八重桜(神奈川県秦野市)

食用八重桜を収穫する小野さん。1日に50キロを収穫する(神奈川県秦野市で)

 「花より団子」といわれるが、八重桜は古くから日本人に親しまれてきたエディブルフラワーの一つ。桜湯、ジャム、あんパンやスイーツのトッピングなどに使われる。塩や梅酢で漬け込んだ「桜漬け」を特産とする神奈川県秦野市は、全国の収穫量の7、8割を占める産地。木にはしごを掛けて花を収穫する風景は、地域の春の風物詩となっている。

 中心となるのは千村地区で、江戸時代末期から歴史のある産地だ。植栽本数は2500本に達し、「八重桜の里」と名高い。品種は、鮮やかな発色が特徴の「関山」がほとんどで、「一葉」なども栽培されている。地域の年間生産量は15~20トンに及ぶ。

 収穫は4月中旬、開花率8割で始め、満開になる前までの1、2週間で取り終える。長年、収穫を行ってきた小野孝允さん(74)は「効率よくもぐには技術が必要だ」と強調する。小野さんは子どもたちの収穫体験を積極的に受け入れる。「文化やもぎ取り方を教え続けることが、伝統を守ることにつながっていくはずだ」と将来を見据える。

 市内では新たな動きが出てきた。飲食店が食用八重桜を使ったスイーツやラーメンなどオリジナルメニューを提供し、地産地消を促している。

 
八重桜を塩と梅酢で漬けた特産の桜漬け。ご飯に混ぜるのが地元で人気の食べ方だ

 地域おこし団体「フィールド・フォー・シチズン」は1月26日、樹体ジョイント仕立ての実証のため、同市柳川地区の遊休農地に苗木35本を植えた。樹高を低くし、高所作業を減らすことで、高齢農家の転倒事故防止や後継者不足の解消を狙う。2023年春に収穫が可能になる見込みだ。代表の小池勉さん(53)は「将来も食用八重桜を残していくため、市内にこの仕立て方を広めたい」と話す。(釜江紗英)

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます

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