[新型コロナ禍 農と食] さいたま市の西洋野菜 支え合い地場産守る

西洋野菜の苗を育てる小澤さん。作付け転換も見据え多めに注文した肥料袋が積まれていた(さいたま市で)

 「恐る恐る植える。本音はそんなところです」

 さいたま市岩槻区大森。4月15日、ビニールハウスに並んだ約300の苗ポットに水をやりながら、農家の小澤祥記さん(41)が言った。

 苗は、夏の出荷に向けて畑に植える西洋ナスのヴィオレッタ・デ・フィレンツェやズッキーニ、トウガラシのハラペーニョなどの西洋野菜だ。

 小澤さんは、日本では生育が難しい西洋野菜を「さいたまの特産品」にしようと2013年春に栽培を始めた若手農家グループの一人。さいたまは西洋レストランの多い国内有数の市だが、類似野菜や高価な輸入品でしのいでおり、本場の品を求める声が多かった。

 20、30代だった小澤さんらを支えたのは、レストランや種苗会社の他、若手農家の育成を目指したJA南彩。初年度100万円だった売り上げは7年で60倍に増え、西洋野菜は「日常の食材」へと様変わりした。

 しかし、今回の緊急事態宣言に伴う外出自粛でレストランの休業が相次ぐ。例年通り作ると売れ残る恐怖もあるが、小澤さんは腹をくくった。「買ってくれる人や食べてくれる人がいるから、僕らはやれる。栽培株を減らして『もっと欲しい』と頼まれた時、『ありません』なんて言いたくないですから」

 西洋野菜を仕入れ、県内でイタリアンレストラン8店を営む北康信さん(47)は、3店の休業を決めた。緊急事態宣言を受けた「営業可」と「外出自粛」との狭間で考えたのは、西洋野菜や「武州牛」など地元産品を使った「応援弁当」の販売。2200円は採算ぎりぎりで「共に苦境を乗り越えたい」と願う。

 JR武蔵浦和駅前の同店で15日、40代女性が応援弁当2個を買い、爽やかに言った。「私なりにできることから始めたい」(栗田慎一)
 

<メモ>


 さいたま市の西洋野菜は、イタリアンやフレンチのシェフ、レストランオーナー、種苗会社などが2013年、「さいたまヨーロッパ野菜研究会」をつくり、若手農家に栽培を持ち掛けたのが始まり。生産が軌道に乗った16年、農事組合法人「FENNEL(フェンネル)」を設立し、小澤さんが代表に就任した。納品先のレストランは約1000店に達し、栽培農家も当初の4人が13人に。近年はネット通販にも力を入れている。
 

おすすめ記事

新型コロナの新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは