[新型コロナ] 外食休業、販路模索も在庫の山… 青果仲卸展望見えず かさむ人件費継続か解雇か 豊洲市場

国内外からの見学客でにぎわう豊洲市場も、人波が途絶えて久しい(東京都江東区で)

 新型コロナウイルスの影響で飲食店の休業が長期化し、仲卸業者が苦境に立たされている。売上高が激減し、資金繰りに窮して従業員を解雇する業者も出てきた。青果物の安定供給を支える仲卸だが、中小規模の業者がほとんど。雇用維持への支援策はあるものの、緊急事態宣言は延長される見通しで、終息の見通しがつかないまま経営体力を奪われている。(橋本陽平)
 

「リスク回避 すべなし」


 レストランや料亭など飲食業者による仕入れが多い、東京都中央卸売市場豊洲市場。青果物を扱う、ある仲卸業者は「緊急事態宣言の発令後、売り上げは前年比で3割を切った。底が見えない」と、日増しに悪化する経営に不安を募らせる。

 同社は正規・非正規を含め、12人を雇う。築地から豊洲への移転に伴い、青果店など個人店の廃業が増加。チェーン展開するレストランや居酒屋など、業務筋への販路開拓を進めていたところだった。

 焼き肉チェーンに卸していたサラダナは、店の大半が休業して注文が激減。在庫の山を積み上げた。他の販路を模索するが、百貨店は客足が減り、価格帯や取引慣習が違うスーパーにも回せない。地方市場への転送も、観光需要の低迷で縮小。「ウイルスは場所を問わず、全国に影響を及ぼす。リスク回避のすべがない」と嘆く。

 販売不振が長期化し、経費の過半を占める人件費が重くのしかかる。入社して日の浅いアルバイト2人は既に解雇し、他の従業員にも休業を通知。一層の解雇も頭をよぎる。「この売り上げでは給料を出せない。失業手当で当座をしのいでもらい、後で再雇用する方が本人のためか」と思案する。ただ、終息のめどが見えない中で、再雇用を確約できるのか。正解の見えない決断を迫られている。
 

解除?延長?急ぎ判断を 仲卸の組合


 同市場の仲卸約70社でつくる丸中組合の山田安良理事長は「豊洲の仲卸は、飲食店や給食関係の取引先が多い。休業や休校の長期化で各社とも経営は非常に厳しい」と指摘する。

 緊急事態宣言の期限は5月6日からの延長がほぼ確定的だ。山田理事長は「宣言解除で規制が緩み、再び感染が拡大する事態は避けないといけない」と理解を示した上で、「宣言解除を想定した注文も入っており、延長すればキャンセル対応も出てくる」として、取引先との混乱が生じないよう早急な判断を求める。
 

助成金支給1割止まり


 企業の倒産や従業員を解雇するケースは増えている。東京商工リサーチによると、感染拡大に伴う倒産は100件を超え、4月は75件と急増した。厚生労働省によると、新型コロナによる会社の業績悪化で解雇や雇い止め(見込み含む)となった数は、4月28日時点で3495人。3月末から3倍に増えた。

 雇用維持に対する支援策はある。政府は、経営悪化を受けて事業縮小する企業が、休ませた従業員に支払う休業手当を助成する「雇用調整助成金」を拡充。解雇しない場合、中小企業は5分の4だった助成率を10分9以上に引き上げた。雇用保険に加入していないパートやアルバイトも対象となる。しかし、同助成金の支給決定件数は、329件(2月14日~4月28日・速報値)。申請書の提出件数3459件に対し、各段に少ない。
 

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