[コロナと闘う](7) JA北海道中央会 飛田稔章会長 深刻な需要減、労力不足 協同の真価発揮を

飛田稔章氏

 新型コロナウイルス感染拡大で農畜産物の消費減少を最も心配している。生産した農畜産物を食べてもらわなければ農業経営が成り立たない。

 特に牛乳・乳製品は学校給食の休止や飲食店の営業自粛などで業務用需要が減退している。式典やイベントの中止などで花の需要も落ち込んでいる他、牛肉も外食需要の減少もあり価格が下がっている。

 多くの肥育農家は価格が高い時期にもと牛を購入しており、経営を直撃している。生乳は全国の半分以上を北海道が生産し、これから生産量が最も多くなる時期を迎える。各品目の消費拡大の取り組みは急務だ。農水省や各関係機関とも連携し、JAグループ全体で取り組んでいる。外食やイベントの需要が戻ることも重要だが、生産基盤の維持・強化を見据えた長期的な対策も必要だ。

 組合員の営農では外国人技能実習生が来日できず、農作業に影響が出ているところもある。組合員の感染リスクにも備えており、国や道などとも連携し対策を進めている。感染防止のために作成された農水省のガイドラインを活用して感染防止策を徹底していることに加え、万一、感染者が発生した時の対応も想定している。

 こういう時だからこそ、相互扶助と共生を理念に持つ協同組合の力が欠かせない。2018年に発生した北海道地震の際には、JAや組合員が率先して被害を受けた施設の復旧作業をした他、全国から多くのJAや同じ協同組合などから支援を頂いた。

 今回も道内の各JAでは消費拡大だけでなく、新型コロナと最前線で闘う医療機関や保健所をはじめ、高齢者施設や組合員に牛乳・乳製品などを贈呈する活動も広がっている。食料生産と医療、立場は違えど医療従事者の皆さんには日々、国民の命と生活を守っていただいている。JAグループ北海道としても何かできることはないか考え、取り組んでいきたい。

 新型コロナの世界的な感染拡大は、経済や物流に混乱を招き、食料の輸出を制限しようとする国も出るなど、食料安全保障の危うさを露呈した。

 日本の食料自給率はカロリーベースで37%しかない。一方で、環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定などで農畜産物の輸入自由化が進む。これからの食料供給の体制をどう構築していくか、日本農業の在り方を国民全体で真剣に考える時期にも来ている。

 今までに経験したことのない未曽有の状況だが、乗り越えていかなければならない。食料を安定供給していくという責任を全うするべく、組合員とJAグループが一致団結していきたい。(聞き手=望月悠希)

 〈プロフィル〉1947年幕別町生まれ。JA幕別町の理事・組合長、JA道中央会副会長を経て、2008年から現職。
 

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