農作業死亡事故 高齢者安全対策が急務

 農水省が2018年に発生した農作業死亡事故をまとめた。65歳以上の割合が87%と現状の年齢区分での調査開始以降、最高だった。農業就業者の平均年齢は67歳と高齢化が進んでいる。地域ぐるみ、家族ぐるみで安全意識を高め、対策を徹底し、事故をなくそう。

 18年の農作業死亡事故者は274人。調査を始めた1971年以降で最も少なかった。しかし、就業人口10万人当たりでは、全産業の10倍以上という実態は変わっていない。全産業が1・4人なのに対して農業は15・6人で、65歳以上を見ると19・7人とさらに高くなる。また、農作業死亡事故者の53%が80歳以上だった。

 同省は、農業機械による事故死を17年の211人から、22年には半減させるとの目標を設定。18年の同事故死は164人で、目標達成には高齢者の事故をいかに防ぐかが重要になる。

 高齢農家の安全対策に同省も力を入れている。高齢者は若者に比べ身体機能が劣り、整備不良の農機を使うケースも多いとして、①農家が集まる機会を捉えた身体機能測定や安全意識の確認②農業機械の点検を通じた指導③記録映像を使った運転指導──といった取り組みをする団体などに、今年度も費用の一部を支援する。JAや地域の農業機械士会などは、こうした事業も活用して地域ぐるみで安全対策や指導を強めてほしい。

 農機メーカーも対策に乗り出した。国内の主要農機メーカー4社は今春、安全フレームなどの安全装備を付けていない旧式トラクター所有者に重点を置き、展開している。安全装備の後付けや点検、旧式トラクターの下取り後の廃棄が柱だ。トラクター事故の主因は転落や転倒だ。防止策として安全フレームが1997年度に義務化されたが、それ以前のトラクターは未装着が多い。安全基準に満たない古い農機を使うのは危険だ。

 今月末までの春の農作業安全確認運動でも死亡事故が多いトラクターの安全装備の強化に重点を置き、装備の追加や買い替えも呼び掛けている。シートベルトやヘルメットの着用、灯火器の設置、日常的・定期的な点検・整備なども重要だ。農家は家族で注意し合い、安全対策に取り組む必要がある。

 また、農作業死亡事故は「農機・施設以外」が35%で、そのうち熱中症によるものが半分近くを占め、04年の調査開始以降、最多だった。18年夏の全国的な猛暑が背景にあるとみられる。

 同省は、過去10年の農作業中の熱中症による死亡者の発生状況をまとめている。10年間で229人が死亡し、70歳代以上が86%を占めた。7、8月が多いが、5、6月や晩夏の9月にも発生。気象庁の暖候期(6~8月)予報によると、今夏の平均気温は全国的に平年並みか高い見込みで、注意が必要だ。同省はホームページなどで熱中症の事故事例や対策などを紹介している。参考にしたい。
 

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