[新型コロナ] 直売所従業員の要望重視 感染防止を徹底 神奈川・JAさがみ
2020年05月19日

JA直売所で支援活動する支店職員(神奈川県藤沢市で)
神奈川県のJAさがみは、新型コロナウイルスの影響で農産物直売所の客が増えているため、感染防止対策を強化し、直売所の業務を応援する態勢を作った。事業継続に向けてコミュニケーションを重視し、対応策を協議。直売所従業員の意見を聞いて衛生管理の順守事項を細かく定めた他、JA内で応援職員を募り店舗に派遣できるようにした。
JAは8市町に8店のJA直売所を展開する。4月に緊急事態宣言が出されて以降は、家族連れや県外からの客も目立つようになった。従業員はレジなどの業務量が増加。客の案内や店内消毒など感染リスクを下げる作業も加わり、大きな負担が課題だった。
そこでJAは事業継続コミュニケーション(BCCP)という考え方を取り入れ、対応策を協議した。有事の際の事業継続計画(BCP)に、コミュニケーションの要素を取り入れたものだ。
直売所従業員の意見や要望を聞き、密集や近距離での会話の他、不安など「心理的な影響」が大きいという店舗の課題を抽出。従業員の生命と健康を守るために、何ができるかを考えた。
具体的には、入店規制やレジガード、検温など感染防止策を明文化して徹底。直売所の従業員が応援に来る職員を指導する時のマニュアルも作成した。それには体調管理や感染防止策、応援業務の内容や注意点などを示している。
また、出荷者はマスクを着用し、生で食べる農産物は手指で直接触れないようフィルムやビニール袋、紙袋などで包むといった感染対策を依頼。ラベル発券機のタッチパネル入力にはタッチペンを導入した。
JAは直売所を支援する姿勢を明確化。職員を募り、直売所に自主的に応援に駆け付けられる態勢にした。
応援職員は客が多い店を中心に派遣され、これまで28人が支援を申し出た。健康なことや上司の承認などを条件に、直売所に出向く。
わいわい市藤沢店を応援したJA渋谷支店の高橋秀明さん(23)は客の誘導を担当した。同店は店内が混雑しないよう、6平方メートルに1人を目安とし客の入店を制限。客の誘導に必要な要員を最低4人と見積もり、支援してもらった。
高橋さんは「店長らから説明があり、安心して作業できた。現場の負担が減り、店内の安全対策に人が回せれば、リスクを回避できる。直売所の職員に感謝され、一体になれたこともうれしい」と語る。
JA販売課では「コミュニケーションを重視したことで直売所従業員の不安を減らすことができた。後に取り組みを検証し、災害などあらゆる事態に対応できるようにしたい」と話す。
JAは直売所の応援職員を6月末まで募集する予定だ。
JAは8市町に8店のJA直売所を展開する。4月に緊急事態宣言が出されて以降は、家族連れや県外からの客も目立つようになった。従業員はレジなどの業務量が増加。客の案内や店内消毒など感染リスクを下げる作業も加わり、大きな負担が課題だった。
そこでJAは事業継続コミュニケーション(BCCP)という考え方を取り入れ、対応策を協議した。有事の際の事業継続計画(BCP)に、コミュニケーションの要素を取り入れたものだ。
直売所従業員の意見や要望を聞き、密集や近距離での会話の他、不安など「心理的な影響」が大きいという店舗の課題を抽出。従業員の生命と健康を守るために、何ができるかを考えた。
具体的には、入店規制やレジガード、検温など感染防止策を明文化して徹底。直売所の従業員が応援に来る職員を指導する時のマニュアルも作成した。それには体調管理や感染防止策、応援業務の内容や注意点などを示している。
また、出荷者はマスクを着用し、生で食べる農産物は手指で直接触れないようフィルムやビニール袋、紙袋などで包むといった感染対策を依頼。ラベル発券機のタッチパネル入力にはタッチペンを導入した。
JAは直売所を支援する姿勢を明確化。職員を募り、直売所に自主的に応援に駆け付けられる態勢にした。
応援職員は客が多い店を中心に派遣され、これまで28人が支援を申し出た。健康なことや上司の承認などを条件に、直売所に出向く。
わいわい市藤沢店を応援したJA渋谷支店の高橋秀明さん(23)は客の誘導を担当した。同店は店内が混雑しないよう、6平方メートルに1人を目安とし客の入店を制限。客の誘導に必要な要員を最低4人と見積もり、支援してもらった。
高橋さんは「店長らから説明があり、安心して作業できた。現場の負担が減り、店内の安全対策に人が回せれば、リスクを回避できる。直売所の職員に感謝され、一体になれたこともうれしい」と語る。
JA販売課では「コミュニケーションを重視したことで直売所従業員の不安を減らすことができた。後に取り組みを検証し、災害などあらゆる事態に対応できるようにしたい」と話す。
JAは直売所の応援職員を6月末まで募集する予定だ。
おすすめ記事

筋肉スーツ 続々販売 各社農業向け意識 腕上げる動作補助 都内でロボット展示会
京都江東区の東京ビッグサイトで22日まで開かれている産業ロボット関係の展示会「ロボデックス」で、梨の収穫など、腕を上げる作業を助けるアシストスーツの新製品を、各社が展示している。他産業に比べ安価にするなど、農業向けを意識した。今春の農作業シーズンに向けて販売を本格化させる。……
2021年01月22日

「愛妻の日」にチューリップを 主産3県が合同展示
JAグループなどチューリップの主産3県(新潟、富山、埼玉)と花き卸の大田花きは25日、東京都中央卸売市場大田市場でチューリップの合同展示を始めた。31日の「愛妻の日」に向け、来場する買参人へ主力品種や産地独自品種など、多彩な色や形のチューリップをPRする。29日まで。
JA全農にいがたとJA全農さいたま、富山県が協力し、大田花きへ出荷する11JAのチューリップを展示する。「クリスマスドリーム」など主力のピンク系のほか、黄色や白、紫や複色など100種類以上を陳列する。普段は指名買いでしか出回らない珍しい咲き方の品種や、近年人気のミニチューリップも並んだ。
大田市場での合同展示は3年目。今年は新型コロナウイルス禍で、人を配置する売り込みを見合わせた。29日には仲卸売り場に無人のフェア台を設置してアピールする。
チューリップの主力産地、新潟県の1月以降の出荷計画は前年比で2割近く少ない。新型コロナ禍による需要減を懸念し、作付けを減らした農家が多かった。直近の強い冷え込みで生育はやや遅れているが品質は良好。3月中旬の出荷ピークに照準を合わせる。
JA全農にいがたは「産地も品種もそろってくる時期。暗い話題が多い中、家庭で色鮮やかなチューリップを飾り、晴れやかな気持ちになってほしい」と勧める。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月26日
和歌山 豚熱発生 ワクチン接種豚で初
和歌山県かつらぎ町の養豚場で豚熱の感染が確認されたことを受け、県は27日、養豚場で飼育されている約290頭の殺処分を始めた。2019年10月に国内で13年ぶりに飼養豚へのワクチン接種が始まってから、接種済みの豚での豚熱確認は初めて。
発生農場が「衰弱している豚がいる」と県に通報。26日に農研機構動物衛生研究部門の精密検査で患畜と分かった。18年9月に国内で26年ぶりに豚熱が確認されて以降では11県、62例目となる。和歌山県内はワクチンを接種済みのため、移動や搬出制限は行わない。
発生を受け野上浩太郎農相は26日夜、農水省の豚熱・アフリカ豚熱防疫対策本部で「ワクチン接種済みの豚で発生したことは遺憾。接種しても免疫を獲得できるのは8割で、全ての豚に適切な時期に接種できるわけではない」と強調。「決して気を緩めず、飼養衛生管理を徹底するよういま一度お願いしたい」と呼び掛けた。
ワクチン接種県での発生は、群馬、山形、三重に次いで4県目。和歌山県は20年6月にワクチン接種を始め、同月内に初回接種を終えていた。
飼養管理再徹底を
豚熱のワクチン接種では、子豚の未接種期間や一部に免疫が十分ではない豚が出るという課題が当初から指摘されていた。接種開始から1年以上がたち、あらためて飼養衛生管理を徹底することが求められている。
農水省は今月、豚熱ワクチンの接種地域が28都府県に広がったことから特に注意すべき防疫ポイントについて専門家らの提言をまとめた。牛豚疾病小委員会の委員からは「ワクチンに頼り切り農家の対策がおろそかになっているように感じる」との声も出ていた。
注意点では従来通り、ウイルスを農場に持ち込まないための車両などの消毒、イノシシの侵入対策、豚舎ごとの手袋や長靴の交換を強調した。
また、ワクチンを接種しても2割程度は免疫を獲得できず、全ての豚が適切な時期に接種できるわけではないため、未接種の離乳豚などは感染の可能性を念頭に置いた入念な衛生管理が必要。低温の時期には効果的な消毒液の濃度が変化することや、定期的な手順の確認も重要とした。
農場ごとに獣医師や診療施設から家畜の健康管理について指導を受けることも求めている。農家単独では慣れなどの要因で注意が行き届かなくなる可能性があるためだ。
ワクチン万能薬ではない 接種後の発生に衝撃
県内の養豚場で豚熱が発生し、関係者に衝撃が走った。同県では昨年6月から飼養豚へワクチン接種をしており、発生した養豚場でも定期的に接種して感染対策を取っていたからだ。「ワクチンは“万能薬”ではない」という現実が、改めて突き付けられた形となった。(北坂公紀)
県内の養豚場で豚熱が確認されるのは、1971年以来、50年ぶり。国内で26年ぶりに発生が確認された2018年9月以降では、近畿地方で初の発生となった。発生養豚場では27日午前から殺処分を開始。県職員延べ200人体制で作業に当たり、28日午前までに終える見通しだ。
県では昨年6月に全ての飼養豚を対象にワクチン接種を行い、生まれてくる子豚にも接種を続けていた。ワクチンは母乳から移行してくる抗体が減ってくる50~60日齢ほどの子豚に打つことで、徐々に免疫を付けていく。今回感染した60~70日齢の子豚も、8日にワクチンを打っていた。県内で養豚を営む女性は「必ずしもワクチンで感染を防げないとされていたが、実際にワクチン接種後に感染が確認されてショックは大きい」と肩を落とす。
農水省によると、ワクチン接種で十分な免疫を獲得できる豚は8割程度にとどまり、豚熱への感染リスクは完全になくならない。今回感染が確認された豚には1月上旬に接種されたものもいた。接種後も引き続き飼養衛生管理を徹底し、豚熱の侵入を防ぐ必要がある。
国のイノシシ対策 見直し急務
各養豚農家の飼養衛生管理とともに重要となるのが、感染源となる野生イノシシ対策だ。
同省は野生イノシシでの感染拡大を防ごうと、いわゆるワクチンベルト対策を進めるが、十分に抑え込めていないのが現状だ。和歌山に奈良、大阪を加えた近畿3府県では昨年10月、それまで確認されていなかった感染イノシシが立て続けに見つかっていた。
県によると、今回の発生農場はイノシシ対策の柵や防鳥ネットの設置など、十分な対策をしており「飼養衛生管理を徹底していた養豚場での発生だけに残念だ」(畜産課)としている。
北海道大学大学院の迫田義博教授は「ワクチンは万能薬ではない。各農家は再度、自身の対策を見返してほしい。ただ、国内での豚熱問題の終結には、野生イノシシで豚熱を封じ込めることが大前提だ。野生イノシシ対策の立て直しは急務だ」と注文を付ける。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月28日
予算・税制に要望反映 コロナ禍の支援手厚く JAグループ20年の農政運動
JA全中は、2020年にJAグループが取り組んだ農政運動の結果をまとめた。新型コロナウイルス対策では、経営継続補助金や高収益作物次期作支援交付金など「影響を受けた農業者などに対する手厚い支援策を確保」できたと評価。集まっての働き掛けが難しい中でも、機動的な要請で予算や税制に要望を反映できたとした。
全中は18年以降、年間の運動成果をまとめJAグループ内で共有している。……
2021年01月26日
「年忘れ以上に気になる物忘れ」
「年忘れ以上に気になる物忘れ」。今週の本紙川柳欄に膝を打った。まさにわが身のこと▼年々物忘れがひどくなる。「わからない おもいだしても わからない」。ラジオで紹介された川柳も笑えない。幸い締め切りはまだ忘れないでいる。特に人の名前が出て来ない。久しぶりに知人に会った時など困る▼抜群の記憶力を誇ったのが田中角栄元首相。人たらしの達人は、名前を覚えることで相手の心をつかんだ。忘れた時はどうしたか。「君、名前は」と悪びれず聞く。相手が「鈴木ですよ、お忘れですか」と言おうものなら、すかさず「ばかもん、それは知っとる。下の名前だ」。名前を聞き出す角栄流高等テクニックだ。ただし目上の人には使えない▼わが町には「物忘れ相談シート」なるものがある。例えば妻が夫の様子を見て、当てはまる症状をチェックしていく。「同じことを何度も聞いたり、話したりする」「身なりを気にしなくなった」「薬の飲み忘れが多い」など。家族に異変があれば、かかりつけ医に相談して、認知症の早期発見・対応に役立てる▼やってみて自信を失う。「一日中家でぼーっと過ごすことが多くなった」などはステイホーム中だからと言い訳もできるが、極め付きは「物忘れを認めようとしない」。不安になってきた。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月27日
新型コロナの新着記事

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
「自信はまだないけれど、怖いほど迷いがない。きっと僕は農業が好きなんだと思う」。新型コロナウイルス禍の2020年度に日本農業実践学園に入校した18人の中で最年少、28歳の雙田貴晃さんが、ナスを促成栽培する温床を作ろうと土壌を掘り返しながら、白い歯を見せた。
挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……
2021年01月21日

メロン・大葉 相場低迷 再発令 時短営業響く
緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の時短営業や休業を受け、一部青果物の相場低迷が加速している。メロン「アールス」の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は平年の3割安を付け、前回発令された4月上旬と同水準に落ち込む。刺し身のつま物に欠かせない大葉も、業務需要が減って平年の3割安に低迷。小売りでの販売にも勢いがなく、相場を下支えできていない。
小売りも勢い欠く
メロン「アールス」は12月、「GoToキャンペーン」の活況により、上位等級を中心に引き合いが強まり、歳暮需要も加わり高値で推移。だが、年が明けて環境は一変した。中旬(19日まで)の日農平均価格は1キロ799円と平年の32%安で、同4割安を付けた日もある。東京都中央卸売市場大田市場では、初市以降、静岡産の高値が1キロ4320円と止め市の半値に急落し、一時は同3240円まで下げた。
卸売会社は「正月に百貨店や果実専門店に客足が向かず弱含みとなる中、再発令が重なった。ホテルやレストランが営業縮小し、売り先がない。低価格帯を中心にスーパーに売り込むが、上位等級と下位等級の価格差が縮まっていく」と厳しい展開を見通す。
加温にコストがかさむ厳寒期の軟調相場に、産地からは嘆息が漏れる。主産地の静岡県温室農業協同組合によると、交配から収穫までは、 50日程度。収穫時期をずらすことができず、供給の調整は難しい。「コストをかけ、丹精したものに値段が付かないのはつらい。スーパーなどへの販売を通し、家庭での消費拡大に期待したい」と話す。
小物商材も厳しい販売を強いられている。大葉は、1月中旬の日農平均価格が1キロ1690円。元々需要が減る時期ではあるものの、平年の28%安と低迷が顕著だ。
産地は前回の宣言時、巣ごもり需要で好調だったスーパーに販路を切り替えた。ただ、「今回はスーパーからの注文は勢いを欠き、相場を下支えし切れない」(卸売会社)情勢だ。
主産地を抱えるJAあいち経済連は「業務筋が大半を占める契約取引分の販路を新たに確保しないといけない」と説明。春の需要期の販売も見据え、コロナの早期収束を望んでいる。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(中) 国際協力から転身 「まず農家に」 地に足着け精進
吹き抜ける風が肌寒さを増した2020年11月下旬、水戸市にある日本農業実践学園の講義用あずまやで、多品目の野菜農家を目指す吉田誠也さん(30)が、パソコンに野菜の生育データを打ち込んでいた。背後には自身で種から育てた10品目の畑が広がる。
東京大学大学院で植物のバイオテクノロジーや分子生物学を修め、昨春から海外で農業の国際協力に携わるつもりだった。「半年前まではここにいるとは想像できなかった。でも、本当はこれが本来の順序。急がば回れで、新型コロナウイルス禍で僕は農家への道に踏み出す決断ができた」
入校者数が右肩下がりを続けていた実践学園は、研修生がゼロとなった19年度と打って変わり、20年度は18人が入校した。
2021年01月20日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(上) コロナで体感「農業っていい」 多業種から入校生 日本農業実践学園
0度近くまで冷え込んだ晩秋、丘陵地のビニールハウスの中は春のような暖かさで、イチゴの白い花の周りには蜜蜂の羽音が響いていた。「蜂が近くに来ても払わないで。攻撃されるかもしれないから」。水戸市の郊外、新規就農者の専門学校「日本農業実践学園」の研修施設。2カ月前に入校し、1年後にイチゴ農家として独立を目指す小林克彰さん(39)が、実習作業の手伝いに来た妻の瞳さん(37)に語り掛けた。
克彰さんは、芸能人のホームページやコンサート情報を制作していた自営のウェブデザイナーだった。会社員だった30歳の頃、副業として会社が認めていた個人受注が増え、独立を決意した。2年前に工業デザイナーの瞳さんと結婚し、埼玉県三郷市に居を構えた。克彰さんが自宅で仕事、瞳さんが会社勤め、2人の生活は順風だった。
2021年01月19日

緊急事態下、切り花低迷 葬儀縮小し輪菊平年の半値
政府の緊急事態宣言再発令を受け、業務や仏花で使う切り花の相場が大きく下落している。主力の輪菊は平年の半値近くで、カーネーションやスターチスなど他の仏花商材も低迷する。都内卸は「葬儀の縮小が加速して業者からの引き合いが弱く、小売店の荷動きも鈍い」とし、販売苦戦の長期化を警戒する。
日農平均価格(全国大手7卸のデータを集計)を見ると、年明けから軟調だった輪菊の相場は、東京など4都県で緊急事態宣言が発令された後の11日以降、一段と下げが進んだ。11都府県への拡大が決まった13日には1本当たり28円と、昨年4月の宣言発令時以来、9カ月ぶりに30円を割った。15日は35円とやや戻したが、平年(過去5年平均)比28円(45%)安と振るわない。
15日の市場ごとの相場も、前市から小幅に反発した東京こそ39円だったが、大阪と名古屋で27円となるなど、大消費地を抱える宣言発令地域での低迷が目立つ。
輪菊の主産地のJA愛知みなみは「上位等級の値が付かず、平均すると平年より1本当たり30~40円安い。需要の落ち込んだ状況が続けば、来年度は定期契約で販売できる量が減り、作型の変更も検討しなければならない」と訴える。
黄菊の主産県のJAおきなわも「直近まで冷え込みが強く、例年より出荷量が少ないのに相場は上向かない」と、白菊の低迷が黄菊にも影響していると実感する。
スーパーの加工束向けも低調だ。「花持ちする時季で、店の仕入れも進まない」(都内卸)。スターチスは平年比3割安、カーネーションやLAユリは同2割安など、仏花の相場低迷が深刻だ。切り花全体の平均価格も56円と過去5年で最安水準で推移。入荷量は平年以下だが、行事の中止や縮小で需要が減少し供給過多となっている。
別の都内卸は「輪菊は供給量が落ち着けば相場をやや戻す。しかし需要は当面戻らないので、安値の展開は避けられない」と、苦しい販売環境を見通す。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月16日
農業分野の技能実習生 1~3月2000人予定 人手不足を懸念 入国停止で農相
野上浩太郎農相は15日の閣議後記者会見で、1~3月に来日を予定していた農業分野の外国人技能実習生らが約2000人に上ると明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、技能実習生を含む外国人の新規入国は停止中で、生産現場の人手不足が問題となる可能性がある。野上農相は影響を注視しつつ、代替人材の確保を後押しする考えを示した。
昨年12月末時点で今年1~3月に来日予定だった技能実習生らの数を、都道府県やJAなどに聞き取ってまとめた。昨年もコロナ禍による入国制限で3~9月に技能実習生ら約2900人が来日できず、人手不足となる農業経営が出ている。
野上農相は会見で「今後、日本にいる技能実習生らの在留延長や他産業からの雇用などによる代替人材の確保が必要になっていく」と指摘。代わりの人材の確保に必要な経費を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」を通じて、生産現場を支える考えを示した。
政府は14日から緊急事態宣言の解除まで、例外的に認めていた技能実習生らビジネス関係者も含めて外国人の新規入国を一時停止している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月16日

実習生ら対象 外国人入国停止 人手不足深刻化も
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は14日、ビジネス関係者らに例外的に認めていた外国人の新規入国を一時停止した。この例外措置の対象には技能実習生も含まれており、昨年11月から今月10日までにベトナム、中国などから実習生約4万人が入国していた。入国制限で生産現場の人手不足に拍車がかかる可能性があり、農水省は影響を注視している。
農水省 支援活用促す
政府は、コロナの水際対策の入国制限を昨年10月に緩和し、全世界からのビジネス関係者らの入国を再開。感染再拡大を受けて12月28日には一時停止したが、中国や韓国、ベトナム、ミャンマーなど11カ国・地域のビジネス関係者らの入国は例外的に認めていた。だがこの措置も14日から、宣言解除予定の2月7日まで停止した。
この例外措置の対象には技能実習生も含まれる。出入国在留管理庁の統計によると、例外措置で入国したのは、昨年11月から今年1月10日までに10万9262人。うち技能実習生は4万808人で、全体の37%を占める。留学などを上回り、在留資格別で最多だった。
国別に見ると、ベトナムが3万6343人、中国が3万5106人で、うち技能実習生はベトナムが2万911人、中国が9322人。農業分野の技能実習生も含まれるとみられる。11カ国・地域に限定後の12月28日~1月10日にも、技能実習生として計9927人が入国している。
農水省は、農業にも影響が及ぶ可能性があるとみる。昨年3~9月は2900人の技能実習生らが来日できず、人手不足が問題となった。今年の見通しは不透明だが、「外国人を受け入れている経営は全国的に多い」(就農・女性課)として状況を注視する。一方、同省は技能実習生の代替人材を雇用したり、作業委託したりする際の労賃などを一定の水準で支援する「農業労働力確保緊急支援事業」の対象期間を3月末まで延長。農家らに活用を呼び掛ける方針だ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月15日
[新型コロナ] 緊急事態追加発令 7府県、栃木・福岡も 政府決定
政府は13日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の7府県を追加することを決めた。発令済みの首都圏4都県と合わせ11都府県に拡大。発令地域の人口は7000万人超で、飲食店への営業時間短縮要請による農産物の需要減少などの影響が広がる可能性がある。
全国拡大には慎重
首都圏4都県以外の都市部でも感染拡大が止まらないことを踏まえた。……
2021年01月14日
[新型コロナ] 営業短縮飲食店の取引先 最大40万円支援
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令を受け、梶山弘志経済産業相は12日の閣議後記者会見で、営業時間の短縮要請に応じた飲食店の取引先に給付金を支給すると発表した。時短の影響などで1月か2月の売上高が前年同月比で半分以下に減った場合に、中堅・中小企業は40万円、個人は20万円を上限に支払う。JAや卸売業者などを通じて間接的に取引する農家も対象に想定する。……
2021年01月13日

緊急事態宣言 ガイドライン順守を コロナ感染防止で農水省
農水省は緊急事態宣言の再発令を受け、農家に新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた業種別ガイドラインの順守を呼び掛ける。ガイドラインは大日本農会のホームページに掲載。日々の検温や屋内作業時のマスク着用、距離の確保などの対策をまとめている。感染者が出ても業務を継続できるよう、地域であらかじめ作業の代替要員リストを作ることも求める。
ガイドラインは①感染予防対策②感染者が出た場合の対応③業務の継続──などが柱。予防対策では、従業員を含めて日々の検温を実施・記録し、発熱があれば自宅待機を求める。4日以上症状が続く場合は保健所に連絡する。
ハウスや事務所など、屋内で作業する場合はマスクを着用し、人と人の間隔は2メートルを目安に空ける。機械換気か、室温が下がらない範囲で窓を開け、常時換気をすることもポイントだ。畑など屋外でも複数で作業する場合は、マスク着用や距離の確保を求める。
作業開始の前後や作業場への入退場時には手洗いや手指の消毒を求めている。人が頻繁に触れるドアノブやスイッチ、手すりなどはふき取り清掃をする。多くの従業員が使う休憩スペースや、更衣室は感染リスクが比較的高いことから、一度の入室人数を減らすと共に、対面での会話や食事をしないなどの対応を求める。
感染者が出た場合は、保健所に報告し、指導を受けるよう要請。保健所が濃厚接触者と判断した農業関係者には、14日間の自宅待機を求める。保健所の指示に従い、施設などの消毒も行う。
感染者が出ても業務を継続できるよう、あらかじめ地域の関係者で連携することも求める。JAの生産部会、農業法人などのグループ単位での実施を想定。①連絡窓口の設置②農作業代替要員のリスト作成③代行する作業の明確化④代替要員が確保できない場合の最低限の維持管理──などの準備を求める。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月09日