[新型コロナ] 進むテレワーク導入 地方拠点で都市圏の仕事 北海道で誘致盛ん

旧でんぷん工場を改装した施設。上部には製粉機の一部が残る(北海道ニセコ町で)

大学多数、災害同時発生リスク少で注目


 新型コロナウイルスの感染を防ぐため注目されている、在宅勤務などの職場以外で仕事する「テレワーク」。北海道では、企業のサテライトオフィスを誘致できる拠点を整えて、地域に人を呼び込む動きが以前から活発だ。先進地域の北見市では東京のIT企業が拠点を構え、学生にテレワークの体験の場を提供。ニセコ町では旧でんぷん工場を改装した施設が注目を集める。同市の担当者は今後、東京で働く必要性を考え直す企業や人が増えると予想、新たなニーズを地域の活力にと期待する。(洲見菜種)
 

学生を地元に…インターン重視 北見市


 道内の自治体は、東京と同時に災害が起こるリスクの低さや大学の多さなどを背景にテレワークに注目。インターネット環境を整えた施設を設けるなどで企業や個人を呼び込んできた。道によると、道内35市町村がテレワークできる拠点を設置。2018年度末時点で、首都圏のIT企業を中心に64企業が道内にオフィスを開設しており、徳島県と並んで全国1位の数だった。

 全道に先駆けテレワークを軸に企業誘致を進めてきた北見市。地元の北見工業大学と連携し、IT企業の誘致にも力を入れ、20年5月時点で、東京に本社を置くジモティーなどIT企業4社が同市内に自社で拠点を持つ。うち3社は15年から総務省が始めた「ふるさとテレワーク推進事業」を活用して同市を訪れた。同事業を活用した地域数は15年度の15から19年度で58に増えた。

 同市の中心商店街に設置したサテライトオフィスには、テレビ会議システムやWi―Fiを完備する。このオフィスを事務所として使ったり、一時的に利用したりする人は年間延べ3000人。地方に拠点がない企業の「出張所」としてもニーズが高い。

 同市で現在力を入れているのが、同市外に進学した大学生を誘致した4企業などに就職を促すことを目的にした「ふるさとインターンシップ」だ。帰省費用は同市が負担し、東京の企業の仕事をテレワークで3日間、体験してもらう。2017年に始め、3年間で25人の学生が参加。市工業振興課の松本武工業係長は「地元の学生は北見には仕事がないと漠然と思っている。北見でも東京と同じような仕事ができると伝えている」と話す。

 市民に知ってもらう機会も設ける。東京に子どもがいる50、60代の親に、盆や正月の前に説明会を開く他、ちらしを配る。帰省した子どもに「テレワークについて伝えてほしい」と呼び掛けてもらう作戦だ。

 松本係長は今後、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが注目され、社会全体で勤務形態が多様化すると、地方移住が進むのではないかと予想する。「東京に会社があるため仕方なく(都心に)住んでいる人もいただろうが、本当に会社に行く必要があるかを考え始めると思う。その時に北見市が選択肢に出てきてほしい」と話す。
 

観光+αの力に ニセコ町


 スキーなど世界的な観光地・ニセコ町は、国内外からの長期滞在者向けに仕事もできる場所をつくろうと、地域の交流施設「ニセコ中央倉庫群」にテレワークできる環境を整えた。JAが所有していた倉庫やでんぷん工場を町が改修し、観光だけではなく仕事でも人を呼ぶ込む拠点にした。旧でんぷん工場には作業室、倉庫にはプロジェクターなどを整備した。19年度の利用者は延べ434人で、年々増加している。

 同倉庫群では、4月から地域おこし協力隊が企画したお菓子「NISEKO農OKAKI」を発売。同工場をかたどったパッケージには農業の歴史が書かれ、利用者に施設を紹介している。

 総務省は、企業のテレワーク導入の利点として優秀な人材の確保やコスト低減などを説明する。東京が本社の企業に勤め、同施設を利用する30代の男性も「賃貸で事務所を借りるよりも柔軟に動ける」と話す。

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