朝の散歩でカワセミを見た

 朝の散歩でカワセミを見た。東京の郊外、住宅街を流れる小さな川で。ひすい色の「飛ぶ宝石」は、天からの贈り物のようだった▼清流を好むカワセミは、高度経済成長期、乱開発などですみかを追われた。「滅びゆく自然のシンボル」と言われたが、都会の川辺でも見事に復活した。今の地に越して20年余り、自然はよみがえりつつある。川は野鳥や魚でにぎわい、わずかに残る里山や湿地では、小さな生き物が息づく。むろん都会の農地も一役買っている▼だが世界に目を転じれば、温暖化や開発などで生き物の受難が続いている。世界自然保護基金(WWF)は、生物多様性が持つ自然の回復力や生産量を25%も上回る規模で環境破壊が進んでいると警告。生物多様性とは、動植物から微生物まで、全ての命のつながりで、それを枯渇させることは、未来を閉ざすことだという▼真の豊かさとは、多様な種が共存できる世界のこと。政府は今国会での種苗法改正を見送るが、登録品種の自家増殖の許諾性をもくろむ。次期作のために種を取り、挿し木をして備える。種取りは農民の糧であり誇りだ。その当たり前の権利に制限をかけるのは、多様性にも逆行する▼きょうは「国際生物多様性の日」。身近な命の営みに関心を寄せる日にしたい。

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